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日本で「自転車レーン」が少ない理由って? 交通ルールとマナー

 欧米諸国は「自転車レーン」が多いと聞きます。日本はなぜこんなに少ないのでしょうか?(20代/男性)
 日本では、昭和45年の道路交通法の改正で、それまで車道を走っていた自転車に、指定された歩道に限り歩道通行を認めました。
 これは、当時交通事故死者が1万5千人を超えた、「交通戦争」といわれた事態の緊急措置だったのです。しかし、この緊急措置は、元に戻されることがないばかりか、その後、歩道の拡幅や幅の広い歩道の新設などで、歩道通行するためのハード面の整備が進められ、既成事実になっていきました。
 一見、自転車を歩道に上げることが、車との分離ができて、安全そうに思えるという判断で進められ、自動車と歩行者分離された自転車専用通行帯(自転車レーン)などの専用空間は3000km程度しか整備されなかったのに対して、自転車を収容できる幅の広い歩道など、自転車と歩行者が混在する走行空間は、約8万kmも整備されました。歩道通行を例外的に認めた結果が、このようになっていると考えられます。
 車から見ても、信号機と歩道のある交差点では歩道を走る自転車には気づきにくいため(下図1参照)、歩道から進入した場合の左折巻き込み等の事故や、脇道交差点から出てくる車との出会い頭事故の件数が多いです。例えば下図2のアンケートでは、歩道を走る自転車に車が気付く割合が車道を走る自転車に気付く割合よりも相当低いこと、また、実際の交差点事故のほとんどが歩道から交差点に進入したとみられる箇所で発生していること(出典:松本「自転車走行環境整備の現状と課題」)の両方などから、歩道から進入することの方が事故が多いとみられます。また、交差点以外の道路でも、車道で左側通行をしている自転車が車に引っかけられる事故の件数は少なく、逆に歩道を横切る車に自転車がはねられる事故件数がはるかに多い状況です。
 これらから、交差点及び交差点以外の全体について、車道での正しい左側通行よりも歩道通行の方が事故となる件数が多いとみられるため、車道での自転車レーン等の整備を進めながら、政府の方針である自転車の車道通行の原則(左側通行)がより広く浸透することを期待したいと思います。