2018.11.30
大阪府堺市、南海本線の堺駅からさらに和歌山方面へ2駅、石津川駅を降りて線路伝いに1分ほど歩くと、高架と交差する道路に面して「サイクルショップ金太郎」がある。店頭には一般車が並び町の自転車屋さんの風情だが、店内に入るとクロスバイクやロードバイクなど、数十台のスポーツ用自転車とパーツやグッズが、びっしりと並べられている。
店主の内之倉順二さんにショップ名の由来を尋ねると、「“内之倉サイクル”などではなく、覚えやすい名前にしたかった」だそう。金太郎という名前に特段理由はないとのことだが、確かに一度聞いたら忘れないショップ名だ。2002年に独立して開業。その前には一般車中心の自転車販売チェーン店に勤めていたという内之倉さんだが、就職前は競輪選手を目指して5年間、自転車競技に打ち込んでいた経験を持つ。ロードレースの国内プロチーム「マトリックスパワータグ」の監督を務める安原昌弘さん(元アトランタ五輪ポイントレース代表)とも、選手時代はよく練習を共にしていたという。
小さい頃から自転車で走るのが好きだった内之倉さんが、スポーツ用自転車に出合ったのは高校1年生の時。それまでもママチャリで50kmといった長距離を走っていたが、マウンテンバイクを手に入れたことで行動範囲はさらに広がった。鳥取砂丘まで行ったり、富士山まで往復自走してさらに頂上まで自転車を担いで登ったりと、高校時代はどっぷりサイクリングにはまっていたという。
高校卒業時に「自転車を職業にしたい」との想いから競輪選手を志望。選手の夢は叶わなかったが、最終的には自転車が職業になった。独立開業後しばらくは一般車を中心に扱っていたが、徐々にスポーツ用自転車にも力を入れ始め、現在では年間販売台数の半分以上がスポーツ車だという。忙しい合間をぬって今も月に数回、約100kmのサイクリングも楽しむ。
また、安原監督との仲から、10年ほどマトリックスパワータグのメカニックサポートを務めている。レースには帯同しないが、選手の自転車の普段のメンテナンスをしたり、マトリックスが関わる自転車耐久レースイベントでは、オフィシャルメカニックとして参加者のメカトラブルに対処したりもする。幅広い経験に裏打ちされた技術で、他の店では解決できないようなトラブルにも的確に対処する。
こだわりは「かゆいところに手が届く自転車屋」。スポーツ用自転車は細かい調整が乗りやすさにつながるので、乗り手に合った組み方をすることを心がけているという。SBAA PLUSの認定は、SBAAマーク制度が始まった最初の2010年に取得した。「買ってもらった自転車は、常に良い状態で乗ってもらいたい」と基本的な調整やチェックは無料で行う。
持ち込みの自転車の修理や調整も積極的に引き受ける。イベント会場で整備してもらったからと、遠方から訪れるお客さんもいるそう。「いい状態で乗ったバイクは気持ちいいので、その気持ち良さを伝えたい」という内之倉さん。自転車は定期的にプロがチェックすることで調子の良さの維持につながるので、気軽に愛車と一緒に来店してほしいそうだ。
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