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自転車歴60年の店主が導く「楽しいサイクリング」
サイクルエサカ・吉光宗平さん(大阪)

 大阪府吹田市、地下鉄御堂筋線・北大阪急行の江坂駅前から西に250mほど行くと、中学校の向かいに小さな自転車店「サイクルエサカ」がある。店主の吉光宗平さんは昭和9年(1934年)生まれの御年84歳。自転車歴は60年以上で、今も現役でサイクリングを楽しみながら、ショップも一人で切り盛りする。大阪サイクリング協会の常任理事も務め、大阪のサイクリング界の生き字引とも言える存在だ。

 店内には歴史を感じさせるパーツ類のストックが豊富で、まさに宝の山だ。スポーツ用に販売する自転車は、お客さんの目的に合わせてパーツを組み合わせ、オーダーメイドで作り上げる。自転車安全整備士であると同時に、その資格試験の検定員も務める吉光さんの技術は確かで、取材中も修理の依頼が何人も訪れたが、丁寧かつ手際よく対応していた。メカニックだけでなく、文部科学省認定のサイクリングディレクター1級や、(一社)自転車協会のSBAA PLUSの認定も受け、自転車のハード・ソフト両面で深い知識と経験を持っている。

 吉光さんは京城(現在の韓国・ソウル)出身。終戦後は両親の故郷だった福岡県に引き揚げ、中学を卒業した昭和24年(1949年)に、自転車部品の製造・卸を行う星光社(歯磨きで知られるサンスターの自転車部門)に勤めたのが自転車への入口となった。自転車に部品を積んであちこちの自転車店を営業で回っているうちに、自転車で走る楽しさに目覚めたという。

 その後、大阪のサイクリング協会設立に関わり、昭和54年(1979年)に現在のショップを開店。お客さんに自転車の旅の楽しさを伝え続けている。「売る側も自転車に乗らないとダメ」と近場・遠征を問わずツーリングは続け、「いまだに病院の薬は飲んでいない」と健康そのもの。JCA(日本サイクリング協会)の全国サイクリング大会にも毎年参加している。

 お店のテーマを尋ねると、「自転車で楽しむ」その一言だという。一方で楽しさの哲学として「楽しいというのは、苦しくないこと」とも話す。「苦しいと続かない。自転車は5万円でも10万円でもいいから、自転車に乗る楽しさを味わうことが大切」というのが、サイクリング歴60年の哲学だ。

 年に数回、お客さんを連れてのツーリングも企画。お正月に空いた道路を通って大阪城まで走るのも毎年の恒例だという。現在は中高年のお客さんが多いというが、「ちょい乗りでもいいから自転車を楽しもうじゃないか」と生涯スポーツとしての自転車の楽しみを日々追求している。

サイクルエサカ