言葉はツール(道具)ですが、言葉をマスターすることだけがすべてではありません。今、サッカーではフランスのマルセイユに日本代表の酒井宏樹選手が所属していて、あまりフランス語ができないと思いますけど、のびのびとプレーしています。シーズン途中でフランスのメディアが、フランス語もできないし英語も怪しいので、どうやって監督はコミュニケーションを取るんだと懐疑的な記事を出しましたけど、レギュラーで出ています。そのような記事が出ても、本人は気にしていないだろうし、海外だからこうしなきゃという考えは性格としてあまりないみたいです。
語学ができたらもっと楽しいし、監督やチームメイトに自分のPRができて、ファンとの交流も図れて、マルセイユで友だちも増えるかもしれないけど、語学が理由で選手が失敗するかというとそうではないと思います。海外移籍したものの、すぐに帰ってくる選手は、単純に海外が苦手とか、日本の家族が恋しいとか、本当に日本が大好きとかで、言葉は二の次のような気がします。私も昔は語学は大事だと思っていたんですが、野球の野茂英雄さんは、まったく英語を話さないままアメリカで長く生活し、成功もしましたね。でも彼の場合は日本語だけに囲まれる会は作らず、通訳も付けずに過ごし、かといって、日本語でもあまりしゃべらないタイプだったそうです。語学については、どちらが正しいとはなかなかいえませんね。
また、自転車で日本人選手が海外で成功するには、言葉ができなくても人を見極めることができればいいと思います。信頼できるのか、良いやつか悪いやつか。変な方向に道連れにされるような付き合いは避けたいですね。マメな人には色々なアドバイスを求めると良いし、コーチやチームメイトを含めて、誰に出会うかは運もあるけど、見抜くセンスも大切だと思います。人に流さず、自分をしっかりと持った免疫力の高い人であれば、少々悪い人が周りに居ても影響されません。大多数の人は見抜けないから、痛い目にあうこともありますよ。
センスは言葉よりも大事です。観察力、人間力はチームスポーツでは重要で、コーチやゼネラルマネージャー、さらにはスポンサーがどうなのかをまったく理解せずに行くのは危険です。場所によっては罠だらけなんてこともあるから、日本人選手には気をつけて欲しいところだと思います。でも会社や上司を選ぶのと同じことだから、日本人にとっても身近な部分ではないでしょうか。