ここ数年過酷さを増す猛暑。夏の自転車イベント参加はもはや厳しいのかと諦めかけていた矢先、焼け付くような日差しを避けた「夜の自転車イベント」が9月13日に森の中で開催された。場所は三重県鈴鹿市。会場である「椿グリーンパーク」からその名をとった「椿グラベルナイト」というイベントだ。

サンセットタイムからのスタート
日没まで約1時間となった午後5時、号砲とともに選手が一斉に砂利道を駆けた。「椿グラベルナイト」のメインイベント、“4時間ナイトグラベルエンデューロ”がスタートした。4時間を1人で走り切るソロ部門や2〜5人でチームを組んでリレー形式で走り切るチーム部門など総勢94人がエントリー。日中にはキッズグラベルクリテリウムなども開催された。
コースは砂利道や林道を主とした1周1.4km。テクニカルな鋭角コーナーやアップダウンが参加者を待ち構える。この日の天気は曇りだったため、日中の気温は29℃。しかし日中に時折雨がぱらついていたため、少し湿度が高くジメっとした暑さを感じた。

参加者は湿り気を帯びた不快な暑さをもろともせず、サンセットタイムを駆け抜けた。ソロ部門に参加している選手は自分のペースを崩さずに限界まで周回数を重ねる。
チーム部門は1つの計測チップをバトン代わりに選手を交代していく。交代の合図とともに次に走る選手と計測チップを素早く付け替えるサポート役が待機。そして、走っていた選手がピットに戻ってくると瞬く間に次の選手が走り出した。コースの走行シーンはもちろん、ピットでの選手交代の瞬間も見どころの1つだ。

暗闇の声掛けで安全を確保
午後6時過ぎに日が沈み、辺りがだんだんと暗くなってきた頃、本格的なナイトグラベルが始まった。林の中で前後のライトが煌々と光る。
日が完全に沈み真っ暗になると、日没前に感じていた湿度は弱まり、だいぶ過ごしやすくなった。
暗闇の中を走る選手たちは互いに声を掛け合い、安全第一を忘れない。「右から抜きます!」「後ろいます!」と声を掛け合いながら、暗闇での安全マージンを積極的に確保。それぞれが安全第一を心がけ、接触や落車などの発生を防ぎながら走っていた。

猛暑を避けて楽しめるオフロードイベントということで、参加していた選手たちも全力の盛り上がりを見せていた。一方、普段のサイクルイベントとは一味違う雰囲気のグラベルナイトは、応援している子供たちもいつもと異なる雰囲気で楽しそうにしている姿が印象的だった。
夜に開催される自転車イベントは、真夏のサイクルイベントの新たな選択肢となっていく可能性を感じた。

父親の影響で自転車競技に出会い、高校入学と同時に自転車競技部に所属。高校在学時に全国大会へ出場、入賞を果たす。大学ではサイクルツーリズムを学びながら、実業団チームに所属しJBCFに参戦。選手活動だけでは飽き足りず自転車レースの審判資格を取得し西日本を飛び回る。大学卒業後、産経デジタルへ入社し競技活動は一時お休み中。自称・自転車に生かされている自転車オタク。
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