ビギナーサイクリスト必見 自分に合った自転車イベントの探し方と参加前後の注意点イベント参加の作法<2>

2025/08/13    

 スポーツ用自転車を手に入れたら、次は「イベントに出てみたい」と思う方も多いでしょう。ただ、ランイベントとは違って体一つで参加できないのが自転車イベント。距離も獲得標高もバリエーションに富んでいます。走力はもちろんですが、装備と自転車の準備、そして補給管理の知識も必要になってきます。今回は自分に合ったイベントの探し方や準備、参加前後の心得を中心に解説します。

自転車イベントの探し方

 自転車イベントの種類を理解し、参加したいイベントがイメージできたら、次はイベント情報の専門サイトをチェックしましょう。「RUNNET」、「スポーツエントリー」等のサイトは検索機能が充実しており、「地域・距離・種目」でイベントを絞り込むことができます。

 地元のイベント、あるいは行ってみたいエリアでのイベントが決まっている場合は、当該自治体・観光協会のホームページがおすすめ。地域活性化の一環としてファンライドを開催しているケースが増加しており、比較的参加費が安く、地元グルメのエイドが充実していることが多いといった特徴があります。

 SNSコミュニティの活用もおすすめです。InstagramやX、Facebookには「#ロングライド」「#ヒルクライム」などのハッシュタグをつけて投稿されており、公式サイトにないローカルイベントを拾いやすいという利点もあります。

 自転車ショップに掲示されているチラシや店主のネットワークも侮れません。行きつけのショップがあれば、自転車の整備や相談も同時にできて一石二鳥でしょう。

 また、自転車専門の雑誌やウェブサイトには、イベントの参加リポートが掲載されていることもあるので、詳しい様子を知る方法として過去の記事を参考にすると良いでしょう。紙媒体には年間のイベントカレンダーが付録で付く号もあるので、年間を通したエントリー計画を立てるのにも役立ちます。

エントリー時に確認すべきこと

 エントリーする場合は、まずそのイベントの距離・獲得標高が自分の実力内であることを確認するようにしましょう。平地100kmはヒルクライム50kmに相当する体力感といわれます。ビギナーの方は普段走行できる距離と獲得標高を参考に、自分の体力と相談しましょう。

 走行したことがある距離でも、関門に制限時間が設けられている場合もあります。平均時速15km程度と設定されていることが多いですが、上り基調だと難易度もアップするので、自分の脚力でクリア可能か、あるいは挑戦覚悟で臨むのかは事前に想定しておきましょう。

 また、大会加入の傷害保険は最低限の補償である場合が多いので、普段から自身で自転車保険に加入していると安心です。その他、輪行で参加する場合、現地駅からスタート地点までの距離を確認するようにしましょう。車載の場合は大会場の駐車場の駐車可能台数、あるいは会場周辺の駐車場と駐車料金も予め確認しておくようにしましょう。

装備と準備

バイク
 せっかく参加しているのにメカトラブルでリタイアになっては残念! 万全な体制を整えるため、イベント前にはバイクショップ等で事前に点検するようにしましょう。イベント参加を、ブレーキシューやタイヤ摩耗、ワイヤー伸びをチェックするきっかけにすると良いかもしれません。

ウェア
 自転車イベントは早朝スタートが多く、春や秋は日中との気温差が大きいことも少なくありません。この防寒対策は、とくにビギナーに多い失敗です。汗対策と保温がフレキシブルにできる重ね着(レイヤリング)や、ウィンドブレーカーは必携。気温に応じて、アームウォーマー等の工夫も取り入れましょう。

関連記事:夏のサイクリングウェアの選び方 素材選びと小物使いで上手に体温調整を

予備チューブ&ポンプ
 大会のサポートカーがいるとはいえ、パンクは自力修理が基本です。予備チューブと交換用の最低限の工具、携帯ポンプを用意しておきましょう。

参考記事:ロードバイクに必要なパンク修理の道具

補給食・ボトル
 イベントによってエイドステーションの設置数は異なります。カロリー摂取は20~30 km、あるいは40~60分ごとに一度、水分は10~15 kmあるいは15~20分ごとの補給が推奨されていますので、それを目安に、エイドでの補給のみで心許ない場合は、自身でもジェル等を用意しておくと安心です。

 スタート地点では水分は用意されていないことが多いので、自身での用意はマスト。初夏〜初秋のイベントではボトル2本体制で臨み、補給も甘味だけでなく塩分チャージできる塩飴等もあると良いでしょう。

ライト&ベル
 交通規制のないファンライドでは一般道を走る区間ありますので、前後ライトとベルの装着が法律上必要となります。

イベント当日、地味だけど大事な注意点

 イベントやレースをストレスなく楽しむためには、ライド以外の過ごし方のちょっとした注意点や気遣いも重要です。例えば以下のような場合。

スタート整列
 大会によっては、ゼッケン番号や申告平均速度でブロック分けがされています。遅い人がゼッケン番号を無視して前列に並ぶと追い越されやすく、危険です。

エイドステーション
 長居し過ぎると、季節や天候によっては体が汗冷えを起こす場合があります。トイレ等での混雑状況にもよりますが、到着→補給→トイレ→ボトル補給→出発までの一連の流れはなるべく10分以内に済ませるようにすると良いでしょう。

エイドステーションの風景

トラブル対応
 パンク時はコース脇に寄り、後続へハンドサインで周知するようにしましょう。複数人いる場合は1人が後方確認、1人が作業を行うようにすると、より安全です。

ゴール後
 終了後の解放感で計測タグの返却を忘れがちになるのでご注意を。レースの場合、リザルトはWEB公開が主流ですが、当日中に速報のQRコードを配布する大会もあります。

ステップアップを目指すとモチベーションを維持しやすい

 諸々の流れや注意点に慣れる上でも、ビギナーの方はまずは50km程度のファンライドへの参加から始めてみることをおすすめします。その次にロングライドで実力をつけていくことをおすすめします。

 そしてレースに挑戦してみたいと思ったら、登竜門であるヒルクライム大会へ。レースといっても周囲との接触が少なくマイペースで走れるので、他人と競うというよりは、自身が設定した目標タイムに挑戦するという楽しみ方をしている人が多いです。段階的に難度を上げると、目標が作りやすく、モチベーションも保ちやすくなります。SNSで完走報告を書くと、同じ初心者仲間と交流が広がるかもしれません。

 自転車イベントは「探す→選ぶ→備える→楽しむ」の4ステップ。情報源は専門サイトとショップを軸に、SNSで補完すると網羅的に収集することができます。

 距離・標高・制限時間を冷静に見極め、装備と補給を整えれば、初心者でも十分完走可能です。完走証を手にした瞬間の達成感はひとしお! ぜひ自分に合ったイベントを見つけ、サイクルライフを一段ずつステップアップさせていってください。

書き手:後藤恭子(ごとう・きょうこ)

アウトドアメーカーの広報担当を経て、2015年に産経デジタルに入社。5年間にわたって自転車専門webメディア『Cyclist』編集部の記者として活動。主に自転車旅やスポーツ・アクティビティとして自転車の魅力を発信する取材・企画提案に従事。私生活でもロードバイクを趣味とし、社会における自転車活用の推進拡大をライフワークとしている。

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