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グラベルロードとシクロクロス車は何が違う?
ショップ店長兼現役選手が解説するオフロードバイクの販売スキルとは

 栃木県宇都宮市のろまんちっく村で11月17日に開催された「SBAAオフロードバイクディーラーサミット 2021-22」では、専門分野に長けた講師陣による座学講習も行われた。ここではホダカの野中秀樹氏による「オフロードバイク販売スキルとレース&イベントの活用」の講習を紹介する。(Photo & Text by Shusaku Matsuo)

ホダカの自社店舗「KhodaaBloom」東越谷店の店長を務める野中秀樹氏

複雑化するジャンルを目的別に理解することがカギ

 近年、オフロードバイク市場が活況だ。新しいジャンルや区分けも続々と登場しており、トレンドを牽引している。これまでで最も代表的なオフロードバイクのジャンルといえばマウンテンバイクが思い浮かぶだろう。悪路に強いブロックタイヤや、幅広いハンドルバーを装着したいかにもマウンテンバイク(MTB)然としたバイクが特徴だ。MTBはさらにクロスカントリー向け、ダウンヒル向けという具合に、用途に合わせて細かく仕様が異なった車種が存在している。

 また、現在はロードバイクから派生したものが流行中だ。油圧ディスクブレーキの普及とともに、幅広のタイヤが装着できることになった恩恵を活かし、未舗装路走行からツーリングまでカバーするグラベルロードがその一例だ。ではシクロクロスバイクとどう違うのか、ツーリングバイクとは異なるのか。これらの違いを把握し、ユーザーへ車種ごとの違いや目的を正しく伝え、購買に繋げようと開催されたのが今回の講習だ。

店長として切り盛りしつつ、ロード、シクロクロスにMTB、グラベルと他ジャンルを自らも極める野中秀樹氏

 講師の野中氏は自社の店舗、KhodaaBloomショップ東越谷店の店長を務めつつ、自らもレース会場で活躍するアスリートだ。ロードレースではJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のE1カテゴリーを走り、今年の全日本選手権に出場。シクロクロスは国内トップカテゴリーのC1を走り、MTBクロスカントリーも嗜む。グラベルロードのイベント「GRINDURO JAPAN」(グラインデューロジャパン)では年代別チャンピオンにも輝いた。幅広いジャンルで得た経験を小売の場で発揮する野中氏によると、身につけるべき販売スキルは3つあるという。「多様化するバイクと楽しみ方を正しく理解すること」、「イベントやフィールドを知ること」、「フォローアップを欠かさないこと」だ。

熱心に講習を聞く販売店関係の参加者

ユーザーの“やりたいこと”を見極める

 多様化するオフロードバイクの細かな説明が行われたなかで、特に参加者が熱心に聞いた項目がシクロクロスバイクとグラベルロードの違いについてだった。シクロクロスバイクはUCI(国際自転車競技連合)のレギュレーションで最大タイヤ幅が33mmと定められており、規定内の設計であるほか、競技で不要なキャリアなどの装備品をつけることが想定されていないことがほとんどだ。

車種ごとの特性を知り、ユーザーへ正しく提案していくことが販売に繋がるという

 一方、同じく未舗装路を想定したグラベルロードはダート走行やツーリング、ロングライドを楽しむためのもの。アクセサリーを装着するための装備もあり、安定志向のジオメトリも採用されていることが多い。ルックスや用途が似て非なるジャンルであるとの説明に、参加者は何度も頷き納得した様子だった。

シクロクロス車が国際規格に基づいた設計になることを説明

 野中氏は「ダートを走りたいという方にシクロクロスバイクを販売したとして、後からアクセサリーを装着したい、と言われても対応が難しくなります。お客様の“やってみたいこと”と自転車の“できること”をマッチさせることが重要です」と強調した。

モチベーション向上と定期的なコミュニケーションがポイント

 オフロードバイクを購入する上で、悩ましいのが「走行場所」の問題だ。よって、店舗がユーザーをイベントやフィールドへの誘導することが販売強化に繋がると紹介された。店舗で購入したユーザーを連れてイベントに出たり、フィールドを走ったりすることで、顧客のモチベーションの維持に繋げられるという。

 また、ユーザーが走る機会が増えればメンテナンスや消耗品の購入も増えていき、店舗にもメリットがあると説明した。野中氏は「オフロードバイクには汚れがつきものですが、洗車サービスを提供することも検討してみてはいかがでしょうか」とアイデアを紹介。そして、「ユーザーと定期的なコミュニケーションを図ることもポイントです」と話した。