ロードバイクで200kmを走破するための装備と走り方長距離ライドのコツと楽しみ方<3>

2025/07/04    

 100kmライドを何度も完走できるようになると、もっと遠くまで走ってみたくなるのがサイクリストの性。これまでに積み重ねた知識と経験を活かし、次の目標は「1日で200kmの走破」にしてみませんか? しっかり準備を整え、安全第一でチャレンジしましょう。

事前の準備をしっかり行って200kmのビッグライドに挑戦しよう

1日で200kmを走るということ

 100kmであればクロスバイクでも達成可能ですが、200kmとなると事情は異なります。クロスバイクでは重量がかさみ、平均速度が落ちてしまうため、1日での完走は現実的ではありません。ここでは、ロードバイクでのチャレンジを前提にお話しします。

 200kmは、私の経験上、明るい時間帯において1日で安全に走り切れる距離の上限です。コースや気象条件にもよりますが、それ以上となると装備やスケジュールが大きく変わってきます。

都心から埼玉の白石峠の往復が丁度200km

 また、日本で200kmを走るとなると、どのルートを選んでもある程度の登りは避けられません。長距離にアップダウンが加わることで、最終的な獲得標高も大きくなります。まずは100kmを余裕で走れる体力、さらに150kmをこなせるフィジカルを作っておきましょう。

200km完走のための装備と準備

ライトの準備は万全に

 日中走る予定でも、トンネルや林道、万一のトラブルで暗くなることも想定しましょう。前後のライトは必須です。明るい時間帯でも点灯できるようにしておくと安心です。

昼間でもトンネルは暗いもの。ライトは必須の装備で臨みましょう

● パンク修理キットはマスト

 もっとも起きやすいトラブルがパンクです。クリンチャーなら予備チューブ2本、裂けた際のパッチも持参しましょう。チューブレスの場合も、最近では専用の修理キットが出ているので、それを用意すると安心です。

サドルバッグの中身例:

  • 予備チューブ×2
  • 携帯ポンプ(電動or手動)
  • タイヤ・チューブ用パッチ
  • ミニツールセット

● 財布の中身も抜かりなく

 郊外部などキャッシュレス未対応の店舗も存在するため、現金は1万円ほど持っておくのが安心です。加えて、キャッシュカード、クレジットカード、保険証も携帯しましょう。トラブル時の交通手段や病院利用に備えます。

自転車用財布の中身例:

  • 現金(1万円程度)
  • クレジットカード
  • キャッシュカード
  • 健康保険証

● 財布の中身も抜かりなく

 ライトやスマートフォンなど、近年はライドの必要なアイテムの電子化が進んでいます。ライフラインとして機能する重要なものばかりなので、充電が切れてしまうと一大事。予備のバッテリーや充電ケーブルを携帯することも選択肢として考えてもよいでしょう。

バッグに携帯バッテリーを忍ばせ、走行しながら充電することもあります

● エネルギー補給は計画的に

 エナジージェルだけでなく、固形物も定期的に摂取しましょう。2〜3時間ごとにおにぎりなど炭水化物を補給し、ランチもできるだけしっかり取るのが理想です。帰宅時に「少し満腹」なくらいがちょうどよいでしょう

 ポイントは「荷物を増やしすぎないこと」。必要最小限の装備に絞ることで、走りやすさが格段に上がります。もし、荷物が多くなった場合はリュックではなく、ハンドルバッグやトップチューブバッグなど、荷物を小分けに分割して車体上で収納すると良いでしょう。肩こりなどの身体への負担を軽減できます。

ハンドルバッグを活用したスタイル

200kmを上手に走るコツ

 平均時速20kmで走ると、単純計算で10時間。休憩や信号待ちを含めると、実質12時間は見ておきたいところです。走り出す前に、この“現実”を理解しておきましょう。

● 安定したペース配分がカギ

 スタートから飛ばしすぎるのは禁物。全体の5〜6割の力で、一定ペースを維持するのがコツです。赤信号が見えたら早めに脚を緩め、再スタートに備えるなど、効率的に走る工夫も重要です。

● 心に余裕を

 周囲をよく見渡せる余裕が、事故防止に繋がります。暗くなったらライトを点け、無理せず次回に再チャレンジする判断も大切です。ちなみに、筆者は東京〜諏訪湖間の200kmを走りましたが、途中の時間配分を誤り、到着後には真っ暗に。持ってきていたライトに救われました。

“200km完走”のまとめ

 200kmという距離は、レース経験や日常的なハードトレーニングがない方にとって高いハードルに感じられるかもしれません。しかし、しっかり準備し、段階を踏んで経験を積めば、誰にでも達成できる距離です。

 「安全第一」で新しい景色に出会える200kmの旅へ、ぜひチャレンジしてみてください。

写真・文:松尾修作(まつお・しゅうさく)

10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体『Cyclist』の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在は自治体の自転車施策プロデュース業務等を担当。

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