TOP HOW TO “先輩”ライダーに聞く、マウンテンバイクのある生活“先輩”ライダーに聞く、マウンテンバイクのある生活<1>
ロードバイクからMTBへ転身  ハマった理由は「“3次元”の面白さ」

How to ride and enjoy “先輩”ライダーに聞く、マウンテンバイクのある生活

“先輩”ライダーに聞く、マウンテンバイクのある生活<1>
ロードバイクからMTBへ転身  ハマった理由は「“3次元”の面白さ」

 興味を抱いても、趣味として始めるには様々なハードルがあるといわれるマウンテンバイク(MTB)。「どこを走ったら良いかわからない」というフィールド問題をはじめ、車体の自宅管理やフィールドまでの移動手段等、生活の中にMTBを取り入れるイメージを描けないという方も少なくないのではないかと思います。そんな疑問をクリアしている “先輩”ライダーの方々のMTBの生活への取り入れ方、楽しみ方を紹介する同連載。最初のライダーは東京都八王子市在住、MTB歴10年の内野真治さん(自営業・54)。ロードバイクから転身し、いまではすっかりMTBレースの魅力にハマっているそうです。

先輩ライダー、内野真治さんのMTBライフを拝見 

MTBの魅力は「非日常」

―MTBを始めたきっかけは?

 38歳あたりからダイエットを目的にロードバイクに乗り始めました。当初は全くレース志向ではありませんでしたが、ロングライドやヒルクライム、エンデューロ(※1)、ロードレースも少し参加していました。

 それまでもMTBには興味がなかったわけではありません。でもどこを走って良いかもわからなくて、なかなか始めるチャンスがなかったのですが、ロードに5、6年ほど乗った頃にMTBの「クロスカントリー」というレースをしている旧友と再会し、それがきっかけでMTBに乗り始めました。

 やはりトレイル(自転車の走行可能な登山道)を案内してもらえたことが一番大きかったですね。知人、あるいはMTBバイクショップに所属するかしないとビギナーがトレイルの場所を知ることはなかなか難しいと思います。私自身は特定のバイクショップ等には所属しておらず、数人のメンバーでプライベートチームのような感じでレース登録・参戦をしていて、他のフィールドも全て色々なMTB仲間に連れて行ってもらっています。

※1 エンデューロ:モータースポーツの耐久レースを模した競技。個人または複数人の交代制で、決められた時間の中でより多くコースを周回することを競う。ちなみにMTBにもエンデューロという競技があるが、こちらはモータースポーツのラリーに近い、まったく別物
(参考記事)MTBで走れるフィールドはどこにある?

―どんな乗り方・楽しみ方をしていますか?

 MTB「Coupe du Japon」(CJ※2)シリーズマスターズクラス参戦(クロスカントリー)がメインです。昨年からENS(エンデューロ・ナショナル・シリーズ※3)にも参戦しています。レースが無い休日は近隣のトレイルを決して頑張りすぎず、楽しみながら走っています。

※2 Coupe du Japon:日本自転車競技連盟(JCF)が2015年より新たに開始したMTBの公認全国大会
※3 ENS:国内唯一のMTBエンデューロ競技シリーズ戦

CJ富士見パノラマ大会。マスターズクラスのスタートの模様 画像:本人提供
画像:本人提供

―内野さんが思うMTBの魅力とは?

 「非日常・現実逃避」でしょうか。人工音が一切しない山中で神経を研ぎ澄ませながら、スピード感と恐怖感をリアルに体感できるところです。四季の変化を感じたり、仲間と一緒に走ることも楽しい。とくに走った後の反省会で仲間と飲むビールは最高においしいです(笑)。

画像:本人提供
ホームコースのトレイル。目的地の一つ「赤ぼっこ」で毎年仲間と初日の出を拝む 画像:本人提供

―もともとロードバイクに乗られていたとのことですが、ロードとは異なるMTBの魅力はありますか?

 ロードバイクが「2次元」ならMTBは「3次元」といったところでしょうか。ロードバイクは上り下りがあったとしても、基本的に平らなアスファルトの上を走行しますが、MTBは様々な状況の路面を走るので、とてもダイレクトでダイナミックです。そしてとても繊細! パワーだけではなく技術面も要求され、上りも下りもペダリングスキルやバイクコントロール、体重移動等のスキルが問われるところが面白く、奥が深いと感じます。

MTBで仕事も人間関係も豊かに

―現在所有しているMTBの種類と、ご自宅での車体の保管方法を教えてください。

 クロスカントリーモデル(※4)がフルサス(※5)とリジット(※6)で1台ずつ、そしてトレイルライド用にリジッドのセミファットバイク(※7)、フルサスのエンデューロモデル(※8)の計4台を所有しています。ロードバイクも持っていますが、今はほとんど乗っていません。シクロクロスはシーズン中に5~6レースほど出るので、MTB以外ではシクロクロスに乗ることが多いです。家は戸建てで、バイクは自宅のビルトインガレージに車と一緒に保管しています。

※4 クロスカントリーモデル:坂を登ったり下りたり、オールラウンドの性能を持つ。速く走るためにバイク全体の重量が軽く押さえられている等の特徴がある
※5 フルサス:前後軸にサスペンションを装備しているモデル。フルサスペンションの略
※6 リジット:サスペンションを搭載しないモデル
※7 セミファットバイク:幅の広いタイヤを装着したモデル
※8 エンデューロモデル:自然の中のトレイルを楽しむために作られた、登坂と下り性能のバランス、安定性に優れるモデル。トレイルモデルに近い登坂性能を持ちながらも、より高い下り性能と安定性を持つ
(参考記事)プロショップ直伝 MTBの選び方・始め方<2> こだわり派に捧ぐ、一歩踏み込んだMTBの選び方

自宅のビルトインガレージに車と一緒に7台の自転車を保管している

―ホームにしているトレイルはありますか? また、そこをホームとしている理由は?

 日の出町・あきる野市・青梅市周辺のトレイルをよく走ります。自宅から自走で行ける立地と、変化に富んだコースが魅力です。

―トレイルまでのアクセス方法は?

 よく行くトレイルは自走で30分ほどの場所にあります。また自走で5分ほどの近所にも1時間ぐらい遊べるトレイルがあります。山梨、埼玉周辺やレース会場に向かう場合は、ハイエースに車載して移動します。CJシリーズに参戦する場合は主に関西方面への遠征が多いので、ハイエースに仲間5人とバイク5台を積載して移動します。1カ月あたりの乗車頻度は平均5~6回で、レースが多いシーズンは月に10回程度ほど行きます。

CJ八幡浜大会(愛媛県)への遠征のため、5人5台を積載して片道900kmのドライブ 画像:本人提供

―通勤等、日常の移動手段としてもMTBを利用していますか?

 自営業で工場も敷地内のため通勤はありませんが、平日は週1、2回始業前に1時間ほど近所のトレイルやロードを走ってひと汗かいています。

―MTBを始めてから内野さんご自身に変化は?

 始める前よりもさらに健康になりました。健康診断は好成績! 体だけではなく精神的にもストレスフリーです。諦めずに走り続ければゴールにたどり着ける。これは仕事に対する考え方を変えてくれて、楽しく働けるようになりました。よく仕事を優先し、余暇や趣味を犠牲にしている方も多いですが、私は仕事と趣味は「50:50」の比率で取り組んでいます。

―MTB は内野さんにとってどのような存在ですか?

 MTBで出会う仲間は皆、ポジティブ思考で仕事や家庭やお金をちゃんとマネージメントしてレース会場やトレイルへ遊びに来ています。何事にも全力投球。刺激を受けますよね。そんな人たちとの出会いを作ってくれる道具です。

CJ八幡浜大会のジャイアントブースにて 画像:本人提供

―これからMTB でやりたいことや目標があれば教えてください

 昨年から始めたエンデューロのレースでは下りのスキルも求められるので、ケガをしないように練習を重ねてスキルアップしたいと思っています。