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「次の自転車ブームは見えていますか?」 自転車あれこれ



次の自転車ブームは見えていますか?

 ブームはこれまで何度か来ていて、その最大の波が最近なんです。第一波は1997年のエコブーム。京都議定書が採択され、その中で自転車はエコに効果的とされたことで最初の波が来ました。ところがエコで人は動きませんでした。

 そこでその次に来たのが2005年に提唱された「メタボリックシンドロームブーム。厚生労働省が「腹囲85cm以上はメタボ」というわかりやすい基準を発表し、世のオヤジさんたちが「これじゃまずい」と運動を始めました。その当時の中年世代は元自転車少年だった世代なので、運動として再び自転車へと流れるのは難しくありませんでした。そのときにハイエンドの自転車がいっぱい売れていたのが印象的でしたね。

 そして第3波が原油価格がすごく高騰した2008年。リッターあたり185円程になり、地方の人も自転車に乗るようになったことで自転車のブームが全国区に広がりました。

 そして4番目が2011年、東日本大震災です。ここで注目されたことが今に至りますが、ここに加わったのが第5波として漫画『弱虫ペダル』(弱ペダ)の登場。これによって若い女性が乗るようになったことは、自転車業界にとっては追い風だったのですが、逆にいうと弱ペダで“業態改革”が遅れたという見方を私はしています。2010年代に入って、皆がこぞってハイエンドバイクに乗っていた時代が廃れて業態改革をしなければならないはずだったのに、そこになぜか弱ペダの瞬間的な“神風”が吹いてしまい、そのまま来て2020年が第6の波、まさにこのコロナ禍です。

 これは業界がユーザーに「次の提案」をしていくチャンスだと思います。ロードバイクはそこまで訴求せずとも最終的に乗る人は乗ります。その前の段階で、もっと裾野を広げるという狙いでいえば、個人的にはミニベロあたりをおすすめすると良いのではないかと思っています。

 例えば折り畳み小径車なら会社帰りにお酒を飲んでも担いで帰れるし、勤め人の自転車通勤にとっても適している。敷居の高いロードバイクをメインに据えるのではなく、ライフスタイルに取り入れやすい自転車を提案すれば、ユーザーはもっと自転車の有用性を感じるのではないかと思います。