いざイベントにエントリーしたものの、当日までどのように過ごすのか、イベント時のマナーなど、初めての参加では分からないことだらけだと思います。
今回は、サイクリング系イベントに参加する際の心得を5つご紹介します。サイクリング系イベントとは、イベント参加の作法<1>で紹介したように、ファンライドやセンチュリーライド、グランフォンドなどが該当します。

心得その1:スタート地点・時間、距離、エイドステーションの場所を確認
「自転車乗りの朝は早い」とよく言われますが、その言葉通りサイクルイベントは朝早くからスタートすることが多いです。特に100km以上のロングライドでは、午前7〜8時前後にスタートするケースが一般的で、それに伴い駐車場の開門時間や当日受付時間なども早くなります。
クルマで会場まで向かう場合、駐車場が満車になることがあるため、開門時間前後に到着するのが安心です。またイベントでは、事前に送付される誓約書や参加通知書などの提出と引き換えに、ゼッケンや参加賞を受け取り、参加の意思表明をします。前日受付を実施しているイベントの場合は、前日に受付を済ませておくと当日は余裕を持って行動できます。前日受付のみもしくは当日受付のみの場合は、決められた時間までに受付を必ず済ませるようにしましょう。

また、エントリーした距離によってスタート時間や集合場所が異なる場合もあるので、自分がエントリーした距離やカテゴリーなどを再確認しておきましょう。併せてエイドステーションの場所や数、給水所が途中にあるかもチェックしておくと、持参するボトルの本数や補給食の準備に無駄が生じません。
特に地元グルメを堪能できるファンライドイベントで、補給食を持ちすぎたり食べ過ぎたりすると、せっかくのエイドステーションでの美味しいグルメが食べられなくなってしまいますので注意しましょう。
心得その2:忘れ物がないか確認しよう
「ヘルメットやシューズを忘れるわけがない」と思われがちですが、前泊や宿泊を伴う場合など、荷物が多いときに意外と忘れる人は少なくありません。最悪シューズやウェアは忘れても、運動靴や運動しやすい服装で走ることはできます。しかし、ヘルメットを忘れると出走できなくなるため、必ず持っていることを確認しましょう。
もし忘れた場合、イベント会場でブース出展がある場合は会場で、無い場合は近くのバイクショップ等で現地調達をするしかありません。他にも、受付時に提出する書類は揃っているか、必要なバイクアクセサリーの装備(充電)や防寒具の有無なども確認しておきましょう。
またイベントによっては荷物をイベント本部などで預かってくれる場合があります。この場合に発生するのが、荷物の取り違えや忘れ物です。自分のものである目印として、バンダナやスカーフ、ネームタグなどを付けておくのも良いですが、もっとも確実なのは、「名前を記入しておくこと」です。もし、取りに行くことを忘れてしまった場合や取り違えた時でも手元に帰ってくる確率が高くなります。

心得その3:交通ルールを守り手信号など合図は積極的に
サイクリング系イベントでは、レース系イベントのように交通規制を行うことはほぼありません。そのため、信号遵守や一時停止、二段階右折などの交通ルールは必ず守りましょう。また複数人でのライドでは、手信号や合図などコミュニケーションは積極的に行いましょう。後続に意思表示することで、接触事故などのアクシデントを防ぐことができます。
関連記事⇒Q,「ハンドサイン」って道交法で決められているの?
もし手信号が難しい場合は、「声掛け」を行いましょう。右左折時や追い抜き時だけでなく、前方でアクシデントが発生していた場合なども声をかけ合うと安心です。
心得その4:食事や睡眠で体調を整える
イベント参加が決まれば、万全の状態で臨みたいもの。常日頃の体調管理はもちろん、前日は糖質を中心にバランスの良い食事をしっかりと摂りましょう。前日からエネルギーを蓄えることで、エネルギー切れの予防にもなります。ロングライドだけでなく、比較的短い距離でも夏の暑い日や冬の寒い日は体温調節のためにエネルギーが使われるため、普段より早くエネルギー切れになる可能性があります。バランスの良い食事だけでなく、水分補給も忘れずに行いましょう。
関連記事⇒「バランスの良い食事こそがパフォーマンスを上げる近道に」
そして、遠出するファンライドイベントに参加するときの楽しみの一つとして、地酒を楽しむという方もいるかと思いますが、飲み過ぎてしまうとアルコールが体内に残り、酒気帯びになってしまう可能性や翌日に脱水症状を引き起こす原因になってしまいます。なるべく前日の飲酒は控えた方が無難でしょう。
また、イベント前日はわくわく感や早起きしなければならない緊張感等で眠れなくなってしまうという人も多いですが、睡眠もしっかり取るようにしましょう。睡眠不足でのライドは疲れやすく、体調不良、果ては落車の原因になることも。スマホなどは横に置いてリラックスするなど早めの就寝を心がけましょう。
心得その5:決して無理をしない
サイクリング系イベントの目的は、「自転車に乗ることを楽しむこと」です。途中で体調が優れなくなってしまったり、メカトラブルなどが起こってしまい走れなくなってしまった場合は、無理せず途中リタイアを判断することも大切です。近くのサポートライダーや大会本部へ連絡することで、サポートカーがゴール地点まで運んでくれます。
また複数人で走っていると周りのペースに感化されてしまい、ビギナーの頃は自分のペースを乱してしまいがちです。周囲に流されず、自分のペースを守って走ることを意識しましょう。最後まで自分のペースを守ることが楽しみながらゴールするコツです。
◇
サイクリング系イベントは、ただ完走することだけが目的ではありません。美しい景色や美味しいグルメ、そして新たな仲間との交流など「自転車を楽しむ」ことそのものが大きな魅力です。ビギナーの方はもちろんベテランの方も改めてこの5カ条を心にとめて、イベントを安全に楽しく満喫してください。
次回はイベント参加の心得「レース編」をご紹介します。

父親の影響で自転車競技に出会い、高校入学と同時に自転車競技部に所属。高校在学時に全国大会へ出場、入賞を果たす。大学ではサイクルツーリズムを学びながら、実業団チームに所属しJBCFに参戦。選手活動だけでは飽き足りず自転車レースの審判資格を取得し西日本を飛び回る。大学卒業後、産経デジタルへ入社し競技活動は一時お休み中。自称・自転車に生かされている自転車オタク。
この人の記事一覧へ