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各出展メーカーから多数の試乗車が用意
MTBの楽しさ、顧客へのアドバイスを学ぶイベント 「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」開催

 自転車販売店・ディーラーに向けの試乗イベント「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」が11月12と13日、静岡県御殿場市で開催された。スポーツ自転車の販売に関わる人々に、最新のマウンテンバイク(MTB)、e-MTB(電動アシスト付きMTB)の楽しさを体感してもらおうという主旨で行われ、MTBの扱い方や顧客向けの「ワンポイントアドバイスの方法」がそれぞれの専門家からレクチャーされた。(Photo & Text by Koichiro Nakamura)

多数のメーカーが出展

 スポーツ自転車ショップの店員は、自転車の楽しさを一般の人に伝える道先案内人。その彼らがお客様にMTBの楽しさを、どう伝えれば伝わるのか。それをディーラー向けの試乗という形にしたのがこの「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」だ。
 MTBライドとトレイルランを楽しめるフィールド「御殿場MTB&RUNパークFUTAGO」で、最新MTBの走りを感じてもらい、お客様への伝え方も覚えてもらうというのが大きなテーマとなった。

各メーカーのMTBがずらりと並んだ

 会場にはKONA(コナ)、JAMIS(ジェイミス)、SHIMANO(シマノ)、MERIDA(メリダ)、MIYATA(ミヤタ)、Bianchi(ビアンキ)、パナソニック サイクルテック、BMC、BESV(ベスビー)といったブランドの試乗車が並んだ。それぞれの主力車種やe-BIKE、各メーカーの担当者も顔を揃え、その使い方や魅力を関係者に伝えていた。

メリダの「eONE-SIXTY 9000」。税抜き定価85万円の会場最高値e-MTBだ。
ベスビーの「TRS2」。バランスのとれた乗り心地とE-Step採用の安心感がある
最新街乗り系スタイルMTB、ジェイミス「SEQUEL」。センタースリックタイヤは意外に滑らない
コナの「HEI HEI」。つい「ヘイヘイ」と言いたくなるような29er

 会場となった「御殿場MTB&RUNパークFUTAGO」は2018年にオープン。ホテル施設「時之栖」が運営している。幅広で滑らかなダブルトラックが続くほか、ウッドチップが敷いてあり転んでも柔らかなコースとなっている。楽々4時間遊び続けるならe-MTBで、トレーニングに使うならシクロクロスでも走りきれるほどスムーズだ。

ウッドチップの路面は全てのライドに優しい
木々の間を縫って走る、夕刻には特に美しい

MTBプロ選手がレクチャー

 試乗の合間には、MTBプロ選手の井手川直樹選手と小笠原崇裕選手による講習が行われ、「初級者向け基礎レッスン」「プロ選手と行くフリーライディング」に分けられた。
 「初心者向け基礎レッスン」では、ブレーキレバーの適切な握り方からレクチャー。サドルから腰をあげて走ることが多いMTBでの、低すぎず腰が引きやすいサドル高の出し方や、『真ん中に乗る』方法、自転車をスムーズに動かす操作のコツなどを伝えていった。

『真ん中に乗る』コツを伝える小笠原崇裕選手
実際にブレーキングした様子とそのコツをどう伝えるかレクチャー

 小笠原選手は講習を通じて「ステップアップ形式で、一番の基礎である『教えるためのスキル』を意識して伝えました。お客さんの運動能力のレベルに関わらず、安全に乗ってもらう技術を順序立ててステップアップして教えられるようにするためです」と話した。

「御殿場MTB&RUNパークFUTAGO」の展望台から富士山の美しい景色が一望できる

 フリーライディングでは、実際のトレイルと同じように自然の山道を体験してもらうため、通常とは異なるルートで富士山が一望できる美しい絶景スポットまで走った。
 道に落ちている枝の上を走ると、自分の後ろのライダーの変速機の故障を招きかねない。お客さんを連れて走る際は、そういった現場の体験を通して注意喚起を行う必要があるため、山道を体験してもらった。

メカやジャーナリストによる座学も実施

 座学講座も行われた。「最新情報ご存知ですか? MTBメンテナンス習得事情」では、MTBメカニックに精通するドゥロワー代表の山路篤さんが「MTBに関連する大切なパーツの多くが実は液体なんですね。ディスクブレーキであったり、チューブレスレディで使われるシーラントが液体であったり…」と、MTBのメカ作業に関わる最新技術とその勘所を伝えていた。

「最新情報ご存知ですか? TBメンテナンス習得事情」で講義するドゥロワー代表の山路篤さん

 MTBは地形に合わせて車体を積極的に操作する。太いタイヤやサスペンションが路面からの衝撃をカバーするので、ロードバイクでは困難な路面や地形でも心配ない。最近はe-MTBのモーターが『上り』というツラい部分をなくしてしまった。太めのタイヤとモーター、フルサスが作用し、どこをどう走っても疲れずに楽しい。その海外のディーラー事情を解説したのが自転車ジャーナリストの難波賢二さんだ。「流行前のいま必要な学習 日本で成功するためのe-Bikeビジネス」と題し、成功している市場としてドイツを例に挙げながらその模様を伝えていた。

自転車販売店・ディーラーのイチ押し

 今回「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」に参加した自転車販売店・ディーラーの話を聞き、それぞれの一番推しに乗ってもらった。一言コメントと共に紹介する。

山本敬さん(カミハギサイクル)

 MTBはあまり乗ったことがなくてずっとロードバイクでした。普段なら避けていた段差にそのまま突っ込めたので、それがとても気持ちよかったです。
 初めての方にこの楽しさを伝えるなら、普段、刺激が足りないと感じている方、今までにない経験をしたいという方に、このMTBのアクティブさを感じてもらいたいですね。

宮城裕さん(セオサイクル調布国領店)

 MTBは3年ぐらい乗っています。お店が一緒に付き添って走るのが入りとしてはいいのかなと思いました。
 見よう見まねですが、今日インストラクターをしてくれた方の言葉を使い、教えられた側の気持ちを踏まえてアレンジして伝えたいですね。ポイントを捉えて順番にやっていくといいのかなと思います。伝え方、言い方がポイントになると思います。

後藤大介さん(サイクルスポット ららぽーと沼津店)

 主に街乗りでMTBに乗ってます。昔は1年に1回ぐらい走りました。
 今日はe-MTBを中心に乗りましたが、上りに感動しました。お客さんに勧めるなら、まず試乗してもらうのが一番わかりやすいかな、と改めて思いました。一緒に乗るのが一番理解してもらいやすいですね。

斉藤晋平さん(サイクルステーション 大宮店)

 試乗会といえども、ここまで乗れる機会というのがないのが正直なところ、今日は参考にと思ってきました。
 MTBはなかなか乗る機会がないので楽しいですね。普通のMTBとe-MTBに乗ってみたのですが、e-MTBが流行りそうなのは辛い部分がなく、この楽な走りで感じます。

 このイベントは11月20日に大阪府河内長野市のMTBパーク「プラザ阪下」でも開催される予定だ。詳細は公式ページを参照してほしい。

「ENJOY SPORTS BICYCLE」ウェブサイト