2024.11.27
前回の記事でマウンテンバイク(MTB)の車種や選び方がイメージできたところで、もう一つ知っておいてほしいのがホイールサイズの違いによる特性です。フィールドのレンタルバイク、またメーカーやショップが主催する試乗会なども実車に乗れるチャンスですので、遠慮せずにどんどん乗って自分にあったホイールサイズを体感しておくとバイク選びの際に迷わずに済むでしょう。
MTBのホイールサイズは26インチ、27.5インチ、29インチの3タイプがあります。ホイールはバイクの走行特性や操作性に大きな影響を与えます。それぞれのサイズの特徴を詳しく解説します。
MTB市場におけるホイールサイズのシェアはこの10年で大きく変化しました。26インチホイールは、かつての標準的なホイールサイズで、軽量で機敏な操作性が特徴。小回りが効くため、急なカーブやテクニカルなトレイルで有利です。また、軽いため加速も良く、跳ねるような動きが得意です。
利点は機敏なハンドリング、素早い加速、軽量であること。欠点としては、荒れた地形での安定性や障害物の乗り越え性能が劣り、最近は27.5インチや29インチが主流になってきているためモデルの選択肢が少なくなりつつある点です。かつて主流だった26インチホイールは、現在ではほとんどの主流モデルから姿を消しており、ダートジャンプや子供向けバイクなど、特定のジャンル・目的でしか見られなくなっています 。
27.5インチホイールは、「26インチの機動性」と「29インチの安定性」を兼ね備えた中間サイズとして広く受け入れられ、現在もトレイルバイクやエンデューロバイクで人気があります。このサイズは特に女性や小柄なライダー、操作性を重視するライダーに向いています。
26インチと29インチの中間に位置するサイズで、両者のメリットをバランス良く持ち合わせています。機敏さと安定性を兼ね備え、トレイルライディングやエンデューロに適した選択肢です。加速もスムーズで、29インチよりもやや軽めです。利点は、機敏さと安定性のバランスが取れており、加速が比較的良く、オールラウンドに使えること。欠点は、29インチほどの安定感や乗り越え性能はなく、26インチほどの軽さや機敏さもない点です。
29インチホイールは、クロスカントリーやエンデューロ、長距離トレイルなどで最も一般的で、特に安定性や障害物を乗り越える性能を求められるライディングで好まれています。現代のクロスカントリー(XC)やトレイルバイクで標準となりつつあるサイズです。
大きなホイール径により、障害物をスムーズに乗り越え、荒れた地形でも安定感が抜群です。特に長距離や高速走行に向いていますが、加速はやや悪く、機敏さには欠けます。利点は、優れた安定性とトラクション、障害物をスムーズに乗り越えやすいことや高速での直進性が高いこと。欠点は、カーブやテクニカルなセクションではやや操作が重く感じることがあり、車体全体が大きくなるため小柄なライダーには操作が難しく感じるかもしれない点です。
選び方のポイントとしては、26インチはテクニカルなトレイルや跳ねるようなアクションが多いダートジャンプや街乗りに向いており、27.5インチはバランスの取れたオールラウンドな選択肢でトレイルライディングやエンデューロに最適です。29インチはクロスカントリーや長距離ライド、高速でのトレイルライディングに向いており、特に安定感を重視するライダーにおすすめです。
これらの傾向から、27.5インチも引き続き選択肢としてありますが、現在は29インチが主流となっています。かつてメインストリームだった26インチは姿を消しつつあり、現在はパークやダートジャンプ系、キッズ用MTBや中古市場に残るのみとなっています。
そうした状況を知った上で、できればそれぞれのサイズに乗ってみて、ライディングスタイルや体格、好みに応じて選ぶと良いでしょう。
株式会社SLm代表取締役。主にMTBを撮影する写真家。国内に限らず、世界選手権大会、ワールドカップなど数々のMTBレースを撮影。日本全国を転戦するMTBレース「DOWNHILL SERIES」を主催。全日本マウンテンバイク選手権大会(ダウンヒル)の大会オーガナイザーを務める。
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