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グラベルロードのススメ<4>

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グラベルロードはタイヤで遊ぶ! 乗り方に応じた選び方
グラベルロードのススメ<4>

 グラベルロードの特徴として、前回の記事で説明したギヤ比よりも、もっと奥深く、おもしろいのが「タイヤ選び」です。

幅もスペックも多種多様

 かつて、ロードバイクのタイヤ幅は23~25mmに限定されていました。幅がそこまで細いと空気圧を高くしなければパンクしてしまうので、空気圧も7~8気圧と高め。タイヤ幅と空気圧の選択肢が少なかったのです。

 しかしグラベルロードは、通勤等で舗装路をメインに走る人から、川沿いの砂利道、果てはマウンテンバイクで走るような悪路を楽しむ人まで、カバーできるシチュエーションが幅広く、タイヤのスペックも28mm幅のスリックタイヤから幅45mmオーバーのブロックタイヤまで多種多様。ロードバイクとは比べ物にならないほど選択肢が多いのです。

 グラベルロードを完成車で購入した方であれば、そのバイクのコンセプトに合ったタイプのタイヤが付いていると思いますが、タイヤは消耗品です。交換するタイミングで、自分の好みや走り方、お気に入りのコースに合ったタイヤを選んでみてください。

タイヤの選び方

 選択肢が多いだけに選び方が難しいところですが、目安をお伝えします。まず、サイズ(タイヤ幅)です。現在のグラベルロードの主流は40C(=40mm)前後ですが、ざっくり言いますと、オフロードでの性能(悪路走破性や快適性、オフロードグリップ)を重視するなら太いタイヤを、舗装路での走りを重視するなら細めのタイヤを選びましょう。

 次は「トレッドパターン」。タイヤの表面に刻まれた凹凸のことです。グラベル用タイヤは、凹凸がほとんどない「スリックタイヤ」から、大きな凹凸がある「ブロックタイヤ」、その中間である「セミスリック」などに分類されます。荒れた路面をガンガン走りたいならブロックタイヤを、舗装路メインで走るなら摩擦が少ないスリックタイプを選んでください。

スリックタイヤ
ブロックタイヤ

 また、見た目からは判断しにくいですが、軽さを追求したグラベルレース用タイヤ、尖った石がゴロゴロしているような場所でもトラブルなく走ることができる耐パンク性強化タイヤ、耐久性に優れたデイリーユース用やツーリング用タイヤなど、堅牢性にも差があります。最適なタイヤを選ぶためには、自分が求める性能が何なのかをはっきりさせておく必要があります。

 ただし、グラベルロードであればどんなサイズのタイヤも履けるということではありません。リムやフレームの設計によってタイヤ幅の上限は決まっています。ここは専門知識が必要になるので、ショップで相談するようにしてください。

空気圧の調整方法

 タイヤを選んだら、次は空気圧の調整です。どんな路面を走るか、体重、技術、スピード域、好みなどによって最適解は変わるので正解はありませんが、オフロードを走るなら2.5気圧前後が目安。タイヤの指定空気圧の範囲内で、「気持ちよく走れて、かつ怖くない空気圧」を探してみてください。「今日は舗装路メインだから3気圧」、「今回は荒れたオフロードを楽しむから2.2気圧」というように、走るフィールドによって調整することも大切です。

 冒頭に記したように、グラベルタイヤは性格が多様で非常に幅広い。言い換えれば、タイヤを変えることでバイクの性格を激変させることができる、ともいえます。最初は少々難しいですが、その分、遊び方の楽しみは大きいもの。グラベルロードを手に入れたら、ぜひタイヤ選びも楽しんでみてください。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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