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音鳴りトラブルの対処法

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メカトラ事件簿<10>
音鳴りトラブルの対処法

 自転車のメカトラブルは、何かのパーツが割れたり、欠けたり、折れたり、曲がったりして起きることが多いですが、それには当てはまらないモノ…たとえば、原因不明なトラブルもあったりします。

 その一つが“音鳴り”。あるいは異音とも言いますね。どこからともなく、ギシギシとかカチカチとかキーキーとか妙な音が聞こえてくるのです。停車すると音は止みますが、ペダリングを再開すると同じ音が…。いったいどこが原因なのか、放っておいても問題ないのか、もしかしてなにか大きなトラブルの予兆なのか? どうしても気になりますし、精神衛生上もよいものではありません。

 この音鳴り(異音)はバイクの種類を問わずに発生します。いつどんなタイミングで起きるかはその人次第でして、ハッキリ言って予測のしようもありません。

 「これをやれば解決する!」と断定できないのが心苦しいのですが、どのように対処すればよいのかのセオリー的なものをお伝えすることにしましょう。

ヒンジ、ネジの多い折り畳み自転車は起きやすい傾向あり

 音鳴りがするということは、どこかのネジ類の緩みが原因であることが多いです。自転車のパーツのほとんどは接着剤でくっつけられているわけではなく、すべてバラして元に戻せるように「ネジで留められ」ています。それが自転車の良さでもあり、弱点でもありまして、時間とともに緩んでくる…という宿命を包含しているのです。緩んでくると、そこがカチカチと音を発生させます。これがいわゆる音鳴りでよくあるパターン。

 ロードバイクでもクロスバイクでもママチャリでもこの問題は起こりえますが、筆者の経験上、音鳴りに悩まされるのは圧倒的に「折りたたみ式のミニベロ」が多いですね。折りたたみができる構造ゆえ、フレームやフォークなどにいくつもヒンジが備わっており、それだけネジの点数も多くなります。しかも、ヒンジ部分は圧がかかりやすく、日頃から折りたたみ&開放を繰り返しているうちにネジは緩みやすくなる…というわけです。

 ロードバイクでももちろん音鳴りは発生しますが、考えられる原因は比較的絞り込みやすいので、「原因の特定ができずに頭を抱える…」といったことは折りたたみ自転車ほどではありません。

一般的な対策:バイクのネジを全てチェックする

 音鳴りが発生した場合の一般的な対策ですが、一つ一つ原因になりえそうなものを潰していくしかありません。ブレーキ?BB?サドル?シートポスト?スプロケット?ブレーキシュー?ヘッド?ハブ?ペダル?と、まずはネジが緩んでいないか確かめながら走らせてみましょう。音鳴りがする付近のネジは緩んでいないか、増し締めができるかチェックしていきましょう。思わぬネジが緩んでいる場合があります。

 ネジの緩み以外でありがちなのが「チェーンがフロントディレイラーに接触してチャリチャリと音を出す」でしょうか。チェーン系が原因であれば、ペダリングを止めれば異音も鳴り止むはず。回すとチャリチャリ音が鳴り続けるなら、ほぼチェーンが通る部分の問題でしょう。フロントディレイラーのプレートにチェーンが当たっている場合は、プレート位置をトリム機能などで調整しましょう。

 原因を全て潰したけど、まだ異音がする…? もしかすると、クイックレリースがしっかり装着されていなかったりするかも。輪行が多い人とか、洗車のたびにホイールを脱着する方ですと、締めが甘いこともあるかもしれません。もちろん、「脱着しない=緩まない」というわけではないので、ときどきレバーを開いて、しっかりトルクをかけた状態で締めなおしてあげましょう。

それでも見つけられなければ、ベアリングやヘッド等、
手を出せない個所を疑う

 考えつく原因はすべてチェックし、それでも音鳴りが解消されないとすると、目に見えない部分に原因があるかもです。具体的には、

  • ・ ヘッドの緩み
  • ・ (ホイールの)ハブのグリス抜け
  • ・ ヘッドやBBなど回転部のベアリングの消耗

 あたりを疑ってみましょう。

 ただ、ここまでくると初心者では自力で直すのは難しいですし、下手にいじるともとに戻せないという悲劇に陥ります。

 ちなみに筆者は、愛車(ロードバイク)のヘッド内のシールドベアリングが錆びて内部でぶっ壊れ、崩壊する直前まで乗り続けていたことがあります。ショップに別件で訪問した際にメカニックさんが「なんかヘッドがギシギシするな…」と偶然発見してくれました。

 そういえば、ちょっとハンドルの感触が不自然だったのと、走行中に微かに「きっ…きっ…」ときしむような音がハンドルから聞こえていましたが、無視していた結果がこれ。もうちょっとでフレームが傷ついていたかもしれなかったわけで、危うかったですね…。

ヘッドパーツのベアリングが内部で崩壊…

 メカニックさんいわく、「このまま走っていたら、いつかハンドルが回らなくなってしまい、走行不能に陥っていたはず」と教えてくれ、背筋が凍る思いをしました。ちょっとでも異音があったら、そのままにしておかないほうがいいです。もっと大きなトラブルの予兆になり得ると覚えておいてください。

最終的にはショップに頼ろう

 ということで、最終的にはプロの診断に頼りましょう…という結論です。パーツの部位によっては、工具を持っていなかったり、持っていてもトルクのかけ具合がわからなかったりってこともあるでしょうしね。

 まあ、工具を持っていたとしても、生半可な知識でえいやえいやと締めたり緩めたりを繰り返していると、どういじったかの記憶が薄れてしまって「どこをどうしたんだっけ?」状態になりえます。ですので、自信がなければ全面的にメカニックさんにお任せしたほうがいいでしょうね。安全はお金で買いましょう。

 メカニックさんは膨大な数のバイクを組んだりばらしたりしてきた経験から、音の種類でだいたい位置も原因も突き止めてしまうから不思議なものです。なんというか…聴診器をお腹に当てて体調を見抜くお医者さんに似ていますね。「なんでそんな一発でわかるの!?」って毎回驚かされます。

 ということで、

  • ■ミニベロは異音が発生しやすいと覚悟する
  • ■原因になりそうなものをひとつずつ潰す
  • ■すべて潰しても解消しないのなら、手を出しにくい場所の可能性大
  • ■どうしようもなくなる前にメカニックに頼る

 と心得てください。

写真・文/中山順司

中山順司
中山 順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。