Q,自転車で歩道を走っただけでは“青切符”の対象にならないって本当?弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<44>
2026年4月の改正道路交通法施行により、自転車の交通違反に対する「交通反則通告制度」(いわゆる青切符)が新たに導入されます。SNS等では「歩道を走っただけで即座に反則金を徴収されるのではないか」といった不安の声が広がっていますが、運用の実態は必ずしもそうではないようです。新制度の本格始動を前に、どのようなケースが取り締まりの対象となるのか。自転車ユーザーが知っておくべき留意点について、弁護士に詳しく話を聞きました。

A:自転車の交通違反に対する反則金納付制度が4月1日から始まります。警察庁は「自転車ルールブック」を2025年11月に発表し、その中で、悪質・危険な違反を検挙の対象とするとし、その内容を掲げています。
悪質危険と言っても、115種類もあるという違反のうち、どれが悪質危険なのかは、容易に区分できるものなのか疑問もあります。まずは警察庁が掲げている悪質危険の判断基準を見てみましょう。
「赤切符」・「青切符」の対象となる行為の基準
まず、赤切符違反(酒酔い、酒気帯び、妨害運転、飲酒検知拒否等、救護義務違反、携帯電話使用により交通の危険を生じさせた場合等)は、重大違反として青切符すら切られないまま刑事手続に進みます。また、違反により交通事故を起こせば、同様に刑事手続に進みます。

次に、遮断踏切立入、自転車制動装置不良、携帯電話使用(手に保持または注視)は違反があれば当然に検挙され、青切符が切られる違反です。つまり一発アウトで「反則金」となります。

それ以外の違反は、違反をしただけでは直ちに検挙されませんが、それに①交通の危険や事故の危険が高まるような事情が加わったとき、または②指導警告を受けているのに敢えて違反行為を継続したときには、青切符が切られます。
例えば、「信号無視」をした結果として他の自動車が急ブレーキを踏んだときは、「信号無視」という違反と「急ブレーキ」という危険が重なるので青切符の対象となります。
「傘さし運転」をしながら「信号無視」をした場合には、違反が複数あり、それによって交通の危険が高まるので、検挙対象となります。
また、歩道を徐行していないことで警察官から指導警告を受けても徐行しない、あるいは警察官から現認されていることを知っているのに、そのまま速度を落とさずに走る場合などが挙げられます。

| 違反行為+指導警告に従わない・無視する 違反行為+交通の危険を生じさせる ➡全てアウト 違反行為+違反行為 |
「歩道通行」だけでは青切符の対象にはならない
では、自転車で歩道を走っただけで青切符の対象となるでしょうか? 警察庁の説明によれば、「歩道通行」はいわゆる一発アウトの違反ではないので、それだけで検挙されることはなく、「歩道通行に対して警察官の指導警告があったのに止めなかったとき」に、検挙されることになります。その意味では、ただ自転車で歩道を走っただけでは、検挙されることはありません。
もっとも、歩道は一定の幅員がある場合には、撤去が進んでいるとはいえ標識で「自転車通行可」となっている場合が多く、歩道通行が違反行為でない場合が多いです。それに加えて歩道通行は、①13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、障がい者は違反にならず、②車道が、他の交通の速度が速く、交通量も多く、十分な広さがないなどのため危険でやむを得ない場合には、例外的に認められています。
特に②のような交通状況を一律に判断することは難しいことから、単に自転車で歩道を走っただけで検挙することは困難を伴うものと思われます。特に、反則金通告制度は、定型的類型的な違反を画一処理するための制度でもあることから、上記の②のような実質判断を要する違反の検挙にはなじまないと思われます。
基本的には自転車は車道通行を
むしろ、自転車乗りとして気を付けるべきなのは、歩道を通行している場合の速度です。歩道通行が仮に合法だとしても、自転車は歩道を徐行しなければなりません。
この徐行違反は、一発アウトの違反ではありませんが、①指導警告に従わず徐行しない場合②徐行せずに歩行者に危険を生じさせた場合③「無灯火で徐行しない」というケースのように違反が複数ある場合─には検挙対象となりますので、スポーツ用自転車等スピードが出やすい自転車に乗る場合は、本来走るべき車道を通行するようにしましょう。

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。
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