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ロードバイクに合う恥ずかしくないウェア選び

 ロードバイクに乗るサイクリストが着ている、ピタッとしたサイクリングウェア。どうしてあんなウェアを着るの?と疑問に思うかもしれません。サイクリング専用ウェアを使う理由、各種アイテムの種類や特徴、選び方、使い方を詳しく解説します。

記事の内容

専用ウェアをオススメする理由とは

 もちろん普段着でもロードバイクには乗ることはできます。しかし、スポーツとしてある程度のスピード、距離、時間を走るのであれば、専用ウェアがやはり機能的で快適です。サイクリング専用ウェアの主な機能については以下の通りです。

Photo: Hidenori NODERA
1. 吸汗・透湿・速乾

 ロードバイクは有酸素運動なので多量の発汗を伴います。汗が肌面や、それに密着する衣服に残ってしまうと、不快であることはもちろんですが、気温が低くなったり運動量が落ちた際に、体温が必要以上に奪われてしまう“汗冷え”現象が起きてしまうリスクがあります。

 専用ウェアは速やかに肌面の汗を吸って外側に排出して蒸発させることで、サラサラで快適な着心地を維持するとともに、運動量が落ちたときの汗冷えを防止します。冬用ウェアなど保温力が重要になる場合も、この汗処理の機能は絶対に欠かすことができません。サイクリング向けではない服を着る場合も、内側に汗をため込むような性質でないか、気を付けるようにしましょう。

2. 空気抵抗低減

 ロードバイクが走る速度域は、走行抵抗の大半を空気抵抗が占めています。ここで衣服がバタついたりすると、走行抵抗が増えてしまい、余計な体力を使うことになります。専用ウェアはなるべく体に密着して、風にバタつかないように作られています。

(Getty Images)※画像はイメージです
3. 伸縮性

 上にも書いたとおり、サイクリングウェアはなるべく体に密着した状態となります。この状態で運動をするために、サイクリングウェアは伸縮性の高い生地を採用しています。ロードバイクの場合、慣れた人であればケイデンス(ペダルの1分間の回転数)は100以上にもなります。ウェアが伸びない生地で作られていたら、動きが妨げられて少なくないロス(無駄)が発生することが想像できるでしょう。

4. 股ずれ防止

 専用のサイクリングパンツはお尻がサドルに触れる部分の内側に、大きなパッドが縫い付けられています。このパッドがサドルからお尻への衝撃や圧迫を軽減してくれます。初心者サイクリストの悩みに多い「股ずれ」「お尻の痛み」は、このパンツを使うことで大方改善することができるでしょう。

(Getty Images)※画像はイメージです
5. 乗車姿勢に合わせた基本設計

 ロードバイクの乗車姿勢は前傾が深めなので、一般的なシャツを着て乗車すると、腰の地肌が露出してしまいがちです。これを防ぐために専用ウェアでは後ろ身頃が長めに作られています。また一般的なボトムスは脚が伸びた状態が基準になっていますが、専用ウェアでは膝が少し曲がった状態が基準になっていて、ペダルをこぐ動作を妨げにくいものになっています。

6. 荷物の収納

 レースが起源のロードバイクは、バッグは背負わずに走るスタイルが基本です。このためサイクルジャージ背面下部には、食べ物や財布、携帯電話、上着などの各種アイテムを入れられるバックポケットが設けられています。意外に収納力があり(小型のウエストポーチ2個分くらい入ります)、レースでないライドでもウェアのポケットを活用することで、身軽なサイクリングを楽しむことができます。ポケットの位置は前傾した乗車姿勢や、ペダルをこぐ動作の邪魔にならないようになっているのもポイントです。

7. 保温・排熱

 路面が積雪・凍結さえしていなければ、基本的にロードバイクでのサイクリングはオールシーズンで楽しめるスポーツです。このため、季節(外気温)に合わせた保温・排熱性能は、重要な機能になります。真夏用ウェアであればメッシュ素材を多用して涼しさを確保しますし、冬用であれば保温力の高い素材を使いつつ、要所に防風素材も採用して体温が必要以上に奪われることを防ぎます。一方で冬場でも長い上り坂など汗をかきやすい場面があり、十分な排熱機能や、必要に応じて外気を取り入れやすい設計が取り入れられています。

(Getty Images)※画像はイメージです
8. 被視認性

 ロードバイクはロードレースから発展しており、大人数の集団走行内での、チームの判別とスポンサーロゴのアピールの必要性から、派手な色使いが一般的でした。プロレーサー用ウェアでなくても、車道を共有するクルマからの被視認性確保の観点から、ある程度派手な色が入っていることは機能の一部といえるでしょう。また夜間走行時にクルマのライトに反応する、反射素材加工が施されているウェアも少なくありません。

9. UVカット

 近年注目されるようになった機能で、ウェアの生地にUVカット素材を採用しているものが増えてきています。従来は保温を目的としたレッグウォーマーやアームウォーマーといったアイテムも、紫外線防止を主目的にした製品が登場しています。

ウェアアイテムの種類(基本編)

 ここでは、サイクリングウェアの種類と使い方を解説します。まずは基本となるアイテムを紹介します。

1. サイクルジャージ

 上半身(トップス)の基本ウェアです。レーサージャージとも呼ばれます(ロードバイクがロードレーサーと呼ばれていた名残)。基本は半袖ですが、秋冬向けには長袖もあり、長袖のものはジャケットとも呼ばれます。背面の下側には補給食や小物、防寒着などの携帯物を収納するポケット(左右真ん中の3分割が一般的)が付いています。

サイクルジャージは背面に物入れ用ポケットがあるのが特徴
2. サイクルパンツ

 下半身(ボトムス)の基本ウェア。レーサーパンツ(略してレーパン)、サイクリングショーツなどとも呼ばれます。基本は膝上丈ですが、秋冬向けに膝下丈(ニーパンツ、ニッカー)や、脚全体を覆うもの(タイツ)もあります。内側にはパッドが縫い付けられており、サドルからの衝撃を軽減します。ウェア本体やパッドの機能性を100%発揮するために、サイクルパンツは下着を着用せず身体に直接穿くのが基本となっています。

3. ビブパンツ

 サイクルパンツに肩ひも(ビブ)が付いた、吊り下げ式パンツ。ビブショーツとも呼ばれます。腰部の締付けがなく着心地が良いのが特徴ですが、着脱時に上半身も脱がないといけないので、トイレが若干不便です。本格派サイクリストはビブ付きを好む傾向があります。

サイクルパンツは膝上丈が基本。肩ひも付きのビブタイプも
4. ワンピース

 ジャージとパンツがつながって一体化したウェアです。軽くて空気抵抗が少ないですが、ビブ以上に脱ぎ着が面倒なので、ほぼレーサー向けと言えるでしょう。上下セットなので単価も高いです。

5. グローブ

 基本は手のひらを覆う指切りタイプです。ハンドルからのショック吸収、手のひらの保護、滑り止めといった機能が期待されます。転倒時に手を保護する役割も。上級者はノーグローブで乗るという人も一定数いますが、彼らは手の皮がグローブ並に厚くなっているので、初心者はグローブを使った方がおそらく快適です。冬場に使う指付きタイプは上記に加えて保温の役割を担います。

6. ソックス

 足でペダルをこぐロードバイクにおいて、身体の末端に位置するソックスは意外に重要なアイテムです。汗を溜めずに快適な足下環境を確保するほか、力の掛かる部分に縫い目や余計な凸凹が無いよう配慮した設計になっています。気軽におしゃれを楽しめるアイテムでもあります。

サイクリング用グローブは指切りタイプが基本。ソックスは以前はくるぶし丈が中心でしたが、近年はやや長めの丈が好まれています

ウェアアイテムの種類(応用編)

 基本アイテムに組み合わせて使うウェアアイテムを紹介します。ロードバイクはオールシーズンで楽しめ、また走行環境が一日のライド中でも多岐に渡る場合があり、各種アイテムを組み合わせて幅広いコンディションに対応することができます。

1. インナーシャツ

 ジャージの下に着る下着です(着ない場合もあります)。ベースレイヤーとも呼ばれます。ジャージの汗排出や保温の機能を補完することで、幅広い環境に適応させることができます。下着は保温のイメージが強いかもしれませんが、夏場も吸汗力を高めるインナーを使用するなど、製品によってさまざまな機能面の特徴があります。こだわれば確実にライドの快適性が上がる、侮れないアイテムです。

写真のノースリーブタイプのほか、半袖タイプ、長袖タイプもあります
2. アームウォーマー、レッグウォーマー

 腕・脚部分のみのウェア。半袖ジャージやショーツと組み合わせて、寒い時期・時間帯のライドや、峠の下りなど一時的に保温力を高めたい場合と、季節の変わり目などに使用します。着脱ができるので寒いときだけ使って、暑くなれば脱げるのがポイント。一方で長時間使っていると、ずり落ちてきてしまうことがあるのが欠点です。近年は日焼け防止を主目的とした製品もあります。

3. ウインドブレーカー、レインジャケット

 基本のジャージの上から着用する防風、防水などを目的とした長袖ウェア。寒い時間帯や雨天時といった際に使用します。薄手の素材でコンパクトに畳める製品が多いです(ジャージのバックポケットなどに入れて携帯します)。自転車向けの製品は基本の防風、防水機能に加えて、汗をため込まない透湿機能が重要になります。

4. ジレ(ベスト)

 ウインドブレーカーの袖なし版。いわゆるベストですが、近年はジレという呼び名も広まっています。春夏シーズン中では、長い下りなどサイクリング中の一時的な保温は胴体(お腹)を守っていれば事足りる場合が少なくなく、布地が少なくコンパクトに携帯できるジレは、走行環境が多彩になるロングライドでは重宝するアイテムです。

5. サイクルキャップ

 小ぶりな独特のフォルムを持つ帽子です。かつてロードレーサーはヘルメットを被らず、キャップのみでレースを走ったりしていましたが、現代ではヘルメットの下に被ることで、雨のしぶきを防いだり、寒い時期の保温、髪の毛の乱れを抑えるためのアイテムとして活用されます。自転車を降りた時のおしゃれアイテムにもなります。

(Getty Images)※画像はイメージです
6. シューズカバー

 サイクリングシューズと足首あたりまでを覆うアイテムです。サイクリング用シューズは通気性が高く作られていますが、これが逆に困ってしまうのが冬場です。冷えやすい体の末端を守るために、厳冬期はシューズカバーが有効です。防寒用のほか、防雨、空気抵抗低減や、ファッションを目的としたシューズカバーもあります。

7. ネックウォーマー、イヤーウォーマーなど

 寒い時期は首を露出しない方が、走りのパフォーマンスが落ちずおすすめです。そこで活躍するのがネックウォーマー。冬場の朝方などは、鼻口まで上げて覆ってしまってもいいでしょう。薄手のものから保温力のあるフリース系、本格的な防風機能をもつものまでバラエティに富んでいます。厳冬期は手先や足先に加えて、耳も寒さが堪える部位です。気温によっては耳もガードした方が快適でしょう。

季節別のサイクルウェア選択方法

 ウェアの選び方のポイントは、季節ごとに変化します。ここでは各季節における、ウェア選びの例や考え方について解説します。

1. 春夏のウェアの選び方

 春夏のライドは一番シンプルなウェア構成で行けるでしょう。昼間ならば上下ジャージ+パンツのみでほぼ済みます(ソックスとグローブは別途)。インナーを組み合わせるなら、保温よりも汗排出に絞ったドライインナーとなります。重視するのは全体に通気性と速乾性能。真夏向けにはほぼメッシュ素材のジャージというものもあります。保温系は走る場所や時間、天候にもよりますが、基本は薄いジレが1枚あれば安心でしょう。標高の高い峠に行くなど気温が下がる場合は、必要に応じて各種ウォーマーやジャケットなども用意しましょう。

 紫外線が強まる時期なので、気になる人はUVカット性能が高いアイテムを選びつつ、日焼け止めクリームも組み合わせてUV対策をしましょう。

2. 春先、晩秋のウェアの選び方

 寒暖差が激しいので、細かいアイテムを適宜脱ぎ着して調節します。ウェアは春夏物ベースでだいたい大丈夫ですが、インナーに少し保温性を意識したものを選びましょう。サイクリング中の予想される最低気温に応じて、ジレ(ベスト)、アームウォーマー、レッグウォーマーなどを足していく形で用意して、適宜着用しましょう。秋以降は夕方に向けて一気に気温が下がることがあるので、ライドの想定時間が夕刻にかかる場合は必ず上着を用意しましょう。

 ジャージやジャケットなどの基本アイテムは、適応する気温の目安が表示されている場合があるので、購入時の参考にするといいでしょう。外気温が20℃を切ると、いわゆる夏物をそのまま着るのはしんどくなってくると思います。

 気温への耐性は個人差があるので、長袖やアームウォーマーを選ぶ気温、レッグウォーマーを使わず生足で走れる気温の目安を、自分である程度把握しておくと役に立ちます。天気予報で気温をチェックして、その日のアイテムを選択しましょう。

3. 冬場のウェアの選び方

 冬場はベースの気温が低いので、防風・保温性能のある冬用長袖ジャケットと、脚全体を覆うタイツ(またはパンツ+レッグウォーマー)、汗排出機能に加えて保温性能も高いインナーの組み合わせが基本となります。冬場はインナーの重要性が高まるので、思い切って高性能インナーを1枚買っておけば、快適性はかなりアップするはずです。

 また、寒い時期は体の末端が冷えやすいので、気温に応じて防風・保温性能の高い冬用グローブやシューズカバーも用意しましょう。「首」の付く部位(首、手首、足首)も冷えやすいのでガードしましょう。

 冬場のサイクリングで一番寒いのは、大抵がスタート時でしょう。しっかり着込んで出発することが大事ですが、気温が上がってきたり、長い上りなどで運動強度が上がったりすると、そのままだと暑くなりすぎる場合がそれなりにあります。このようなときに上着などを脱いで調節できるよう、脱ぐことを想定した重ね着の組み合わせをしておいた方がいいでしょう。運動強度が高いうちは汗が溜まっても問題を感じないかもしれませんが、強度が落ちたり周辺気温が下がったりすると、一気に汗冷えを起こして体温が奪われてしまいます。暑さを感じたら汗をかきすぎないよう、1枚脱いだりジャージのジッパーを大きく開くなどして、ウェア内の温度を調節しながら走るようにしましょう。

サイクルウェアあれこれ

1. 体のサイズに合ったウェアを着よう

 ロードバイクのサイクルウェアの着こなしの基本は、まず「体に合ったサイズのウェアを着る」ことでしょう。一般的なサイクルジャージで、身体のラインが出るからとブカブカのサイズを選ぶと、生地が余って空気抵抗が増すだけでなく、丈も長すぎてだらしなく見えてしまいます。ウェアの作りにもよりますが、基本は身体からウェアが浮かないサイズを選ぶようにしましょう。ジャージの裾丈の目安は、レーサー系のウェアであれば、腰骨のあたりを意識しましょう。

 また、サイクルジャージは乗車時の姿勢を基準に作られているので、立位ではなく前傾姿勢でフィットするかを重視します。立った状態で窮屈でも、乗車姿勢ではちょうど良いという場合もあります。フィッティングの際には前傾姿勢も取って着心地を確かめましょう。

2. カジュアル系のサイクルウェアも

 レーサー風の格好や、身体のラインが出すぎるサイクリングウェアに抵抗があるという人もいるでしょう。こうしたサイクリスト向けに、カジュアル風のデザインでかつ、あまりピタッとしすぎないシルエットのサイクリングウェアも作られています。女性で腰回りのラインの露出が気になる場合は、腰回りを覆うサイクリングスカートというアイテムがあります。普通のショートパンツを使うという人は、その下に穿くことができるパッド付きインナーパンツがおすすめです。

 また、サイクル用カジュアルウェアというジャンルもあります。見た目は普通のカジュアルウェアですが、専用ウェアの機能性や設計を取り入れて、スポーツバイクの乗車姿勢や運動特性に対応し、快適なサイクリングを楽しめるように作られています。

3. 普段着でロードバイクに乗るなら

 サイクル用でない普通の服でロードバイクに乗る場合は、まず一番大事なこととして、露出しているギアやチェーン、車輪に巻き込まない安全な服装を選びましょう。長ズボンは乗車時に裾をバンドで絞るなどの処置がいるかもしれません。

 そして乗車時間や想定スピードを前提に、通気性や保温など、必要な機能性を考えた服装にしましょう。その上である程度脚が動かしやすい状態が望ましいです。

文: 米山一輝(よねやま・いっき)

スポーツサイクル歴約30年の自転車乗りで元ロードレーサー。その昔はTOJやジャパンカップなどを走っていたことも。幅広いレベルに触れたクラブチームでの経験を生かし、自転車スポーツの楽しみ方やテクニックをメディアで紹介しています。ローラーより実走、ヒルクライムより平坦、山中より都市部を走るのが好きです。

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