2025.1.15
自転車は自力で移動できる行動範囲が一気に広がり、それまでの世界が狭く感じるようになります。その行動範囲はスポットが集まった観光地にちょうどよく、自転車で巡ると意外と狭い範囲に凝縮されていることがわかります。その例の一つが神戸市。港湾エリアを中心とするウォーターフロントから山の手まで、様々な顔を併せ持つエリアが10kmほどの距離で巡れる範囲に収まっています。そんな自転車の魅力を気軽に体験できる、シェアサイクリングを使った神戸の観光ポタリングをご紹介します。
オススメポイント | 神戸市内の観光名所をシェアサイクルで巡るお手軽サイクリング。範囲はそれほど広くありませんが、港湾エリアから山の手まで様々なスポットがぎゅっと凝縮されたエリアは、“徒歩以上クルマ未満”な自転車のスピードで巡るのに最適です。各地をゆっくり堪能しても2〜3時間でサクッと回れるポタリングコースです。 |
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レベル | ★(初級者向け) |
距離 | 8.9km |
獲得標高 | 123m |
発着地 | JR三宮駅 |
立ち寄りスポット | 神戸ポートタワーが立つ「メリケンパーク」、神戸の中華街「南京町」、異国情緒漂う「北野異人館街」、国指定重要文化財の洋館「風見鶏の館」、神戸を代表するグルメが楽しめる「神戸北野ノスタ」 |
利用するのは神戸コミュニティサイクルの「コベリン」。神戸市中心部の複数のサイクルポート(貸出・返却拠点)で電動アシスト自転車を自由に借りて、返却できるシステムです。1時間単位の利用の他に、1日定額利用できるプランもあるので、1台を借りっぱなしで時間に気兼ねなく観光したい場合に便利です。
阪急・JR各線からアクセスの良い三宮交差点付近にあるサイクルポートからスタートし、フラワーロードを下って港湾エリアへと向かいます。三宮から南の海側は「旧居留地」で、整然とした街路に重厚な石造りのビルディングが立ち並ぶエリア。まるで欧米のビル街のような景色のなか、自転車を走らせます。
旧居留地を抜けた先に広がるのが神戸港。「港町・神戸」というだけあって、ウォーターフロントエリアには公園や複合施設が整備され、多くの観光客でにぎわっています。そんな観光施設が集まっている「メリケンパーク」へ直行…の前に自転車ならではの機動力を生かし、ちょっと道をそれて新港第一突堤へ。海を挟んで隣接する突堤からは神戸ポートタワーを含むメリケンパークの全貌を望むことができます。
ルートに復帰して、メリケンパークを目指します。よくみると、走る道にも神戸らしいディティールがあちこちに施されています。バスやタクシーのスピードでは見落としがちな造形に気づけるのも、自転車ならではの楽しさです。
メリケンパークの園内には観光客に人気の「BE KOBE」をはじめとする様々なモニュメントがあるほか、高さ108mの神戸ポートタワーや神戸港の歴史を学べる「神戸海洋博物館」、また一角には阪神淡路大震災によって被災したメリケン波止場の一部を当時のままの状態で保存し、見学できるように整備した「神戸港震災メモリアルパーク」もあります。
神戸でランチといったら、 横浜、長崎に並ぶ日本三大中華街の一つ、南京町に立ち寄りたいところ。神戸ポートタワーから最寄りの西安門までは約750mほどなので、自転車でも簡単に移動できます。
横浜中華街と比べると小規模ですが、活気と熱気は同じ。自転車を近くのポートに駐輪し、入店してゆっくりランチを堪能するのも良いですし、食べ歩きできるグルメを取り扱っている店舗も多いので、徒歩で巡ってみるのもおすすめです。
おなかを満たしたあとは山の手側へ。異国情緒漂う「北野異人館街」へと向かいます。神戸の開港後、外国人が住む場所としてたくさんの洋館が建てられた跡地で、明治から大正時代にかけて建てられた洋館を観光施設として再利用した、レトロでかわいらしい街並みを楽しむことができます。三宮から六甲山麓の間に位置するため、上り基調の道となり、場所によっては急勾配な坂もありますが、そんなときこそ電動アシスト自転車が本領発揮。平地を漕ぐのと同じ感覚で、息も切れることなく周囲の景色を楽しみながら上ることができます。
サイクリングの締めは、2024年11月に同エリアにオープンした、カフェやレストラン、スイーツショップなど“神戸のグルメ”を楽しめる北野の複合施設「北野ノスタ」へ。築90年以上の歴史がある「旧北野小学校跡」を改装し、再利用した情緒溢れる建物で、神戸の名物スイーツの他、「灘五郷」と呼ばれる灘一帯にある5つの酒造地の日本酒をお土産で購入できるショップ等も軒を連ねます。
ゴールは北野ノスタからもほど近い三宮のコベリンポート。人気の観光名所をぐるっと回っても総距離なんと約10km! しかも電動アシスト自転車ですから、サイクリングビギナーでも疲労感なく、楽しく走れる距離です。
電車やバス等の公共交通機関と違って、自由自在に行きたい場所、脚を止めたいスポットを選べる自転車。いままで感じていた観光エリアの範囲がぐっとコンパクトになり、視点が変わり、旅の自由度もぐっと増すはずです。旅先でのシェアサイクリング利用をきっかけに、自転車で広がる新しい世界を体験してみませんか?
アウトドアメーカーの広報担当を経て、2015年に産経デジタルに入社。5年間にわたって自転車専門webメディア『Cyclist』編集部の記者として活動。主に自転車旅やスポーツ・アクティビティとして自転車の魅力を発信する取材・企画提案に従事。私生活でもロードバイクを趣味とし、社会における自転車活用の推進拡大をライフワークとしている。
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