ネコにチーターに弘法大師!? 発見だらけの‘‘チタイチ’’で100kmデビュー(愛知)ぐるっと一周「〇〇イチ」に挑戦!<1>

2025/06/11    

 愛知県の南西部に位置する知多半島を自転車で一周する通称‘‘チタイチ’’。国道・県道を中心に走る、総走行距離約103㎞のコースです。平坦基調で上りが少ない上に、たくさんの発見があるので初めて100㎞ライドにチャレンジしてみたい方にもおすすめです。知多半島のグルメや立ち寄りスポット、そして知多半島と四国地方の意外な関係性をご紹介します。

オススメポイント 愛知県の南西部にある知多半島は、西側を伊勢湾に東側を駿河湾に囲まれた、自然豊かなエリアです。海沿いの道は景色がよく、立ち寄りスポットも多く点在しています。コース全体を通して起伏が少ないことが特徴で、初めてのロングライドにもオススメです。
レベル ★★(中級者向け)
距離 102.7km
獲得標高 683m
出着地 健康の森プラザホテル
立ち寄りスポット 健康の森プラザホテル、新舞子マリンパーク、宝蔵寺、大蔵餅、とこにゃん、野間埼灯台、チータープリン、羽豆岬、半田赤レンガ建物

「あいち健康の森公園」からスタート

 今回のスタート/ゴール地点は、JR・名鉄名古屋駅から車で40分、電車とバスで30分の「あいち健康の森公園」内にある「健康の森プラザホテル」です。チタイチの際に利用される方が多く、よくスタート地点として紹介されます。あいち健康の森公園内には無料で利用できる駐車場が多くあり、近くに水分や補給食を購入できるコンビニがあります。自転車の準備ができるスペースが十分にあるので、輪行した自転車の組み立てなどもできます(※駐車場によっては17時に閉まる場所もあるので注意してください)。

「健康科学総合センター」という建物名ですが、「健康の森プラザホテル」と検索すると出てきます

 名古屋市から南知多町を結ぶ155号線は「常滑街道」とも称される歴史的な街道で、古き良き町の風景を楽しみながら南へ進んでいきます。この道路沿いは工業地帯に面しているため、トラックなどの大型車が多く走行しているので無理をせずに走りましょう。この道路を初めて走る人だと、自動車専用道路に迷い込んだかもと思われるかもしれませんが、大丈夫です。この道路をまっすぐ南へ進んでください。

155号線は路側帯が比較的広いので自転車も安心して走行できます

 南へ進んでいくと風力発電機が2機見えてきます。風力発電機が見えてきた左手側が最初の立ち寄りスポットである「新舞子マリンパーク」。新舞子マリンパークもあいち健康の森公園と同様、チタイチのスタート地点として利用される方が多いです。また駐車場もあり、浜開き期間及び土日祝は1回500円でそれ以外の日は無料で駐車が可能。サイクルラックや自動販売機、トイレがあるので休憩場所としても最適です。

 新舞子マリンパークを過ぎてすぐ、新舞子ファインブリッジを渡ります。

潮風を感じながら風力発電機とブルーサンビーチを背に知多半島の先端を目指します

知多半島は四国に似ている!?

 2カ所目の立ち寄りスポットは「竜王山 連浄院 宝蔵寺」。知多四国八十八ヶ所霊場の一つで68番札所です。弘法大師が諸国行脚で知多半島に訪れた際、四国八十八ヶ所霊場にあまりにも似ていると驚いたとのこと。その後、亮山阿闍梨という僧が弘法大師のお告げを受け、弘法大師にゆかりのある寺院を四国八十八ヶ所になぞらえて「知多四国八十八ヶ所」としたそうです。

 宝蔵寺の御本尊は千手観音菩薩で、本堂の横には大きな弘法堂があり「火防大師」と親しまれている弘法大師像があります。知多半島と四国の意外な関係性を発見することができました。

火防・雷除けの御利益があるとされている「火防大師」が祀られている弘法堂と本堂

 宝蔵寺を後にしてさらに南へ向かいます。全体の約1/4を走ったところで、そろそろお腹がすいてきたので‘‘知多半島グルメ’’を堪能することにします。やってきたのは、餅菓子専門店の「大蔵餅 常滑本店」。サイクルラックが設置されているので、サイクリストも気兼ねなく訪れることができます。知多半島産の食材をふんだんに使い、地産地消を考えた羊羹や餡餅、最中といった商品を販売しています。

 和菓子の販売だけでなく甘味処も併設しており、ぜんざいやあんみつ、餅菓子などの和菓子の他、「おこわ御前」をいただくこともできます。今回はこちらで食後のデザートとドリンクが付いた「黒豆おこわ御前」をいただきました。

他にも「小豆おこわ御膳」や「季節のおこわ御膳」があります

 おこわを食べてみると、もち米の甘味が口いっぱいに広がり、大粒の黒豆の食感と味の濃さが程よくマッチしていました。お吸い物にも餅が入っており、滑らかさと伸びの良さは格別です。餅菓子屋さんだけあって、もち米へのこだわりを強く感じました。ドリンクとデザートまで食べて大満足の知多半島グルメでした。

常滑市のシンボル「とこにゃん」に会いに行こう!

 知多半島グルメを堪能した後は地元の有名なネコ、“見守り猫”こと「とこにゃん」に会いに行きます。

よく見ると、とこにゃんを小さいネコが見つめています

 常滑市は招き猫の三大生産地として有名で、中でも「常滑系招き猫」(※)の生産量が日本一だそうです。とこにゃんも古典的な常滑系招き猫で、常滑市のシンボルとして日々皆さんを見守っているそうです。

(※:大きな耳、まるい顔、大きな垂れ目の二頭身スタイルが特徴)

 さらに南へと進みます。県道274号線に入るとソニー創設者である盛田昭夫氏の記念館があり、それを横目に海沿いを走ります。一部道路が整備がされておらず道幅が狭いので、対向車に注意が必要です。県道274号線を道なりに進んでいくと、「灯台うどん」に「灯台らーめん」と「灯台」という文字を多く目にします。それもそのはず、灯台ラーメンから3㎞ほど行くと3カ所目の立ち寄りスポット「野間埼灯台」(のまさきとうだい)が見えてきました。

丸みを帯びた可愛らしい灯台

 野間埼灯台は大正10(1921)年に設置された愛知県最古の灯台だそうで、その古典的な灯台スタイルが注目を集めています。「絆の音色」というモニュメントに南京錠を掛けたり「絆の鐘」を鳴らしたり、近年では恋人の聖地としても人気を集めています。近くにサイクルラックやベンチもあるので、伊勢湾を見ながら休憩するのにもピッタリです。

 知多半島の先端まであと16㎞、ここからは海沿いを走ります。潮風を嗅覚と触覚で感じることができるコース。時折吹く強い向かい風で体力は削られますが、オーシャンビューで気持ちの良いサイクリングが楽しめます。

おやつは地産地消の知多プリン

 そろそろスイーツで休憩をとりましょう。4カ所目の立ち寄りスポットは「まるごと知多 チータープリン」です。

こちらのお店もサイクルラック完備でイートインができます

 チータープリンで販売されているプリンは店内の工房で作られており、プリンに欠かせない牛乳は「常滑牛乳」を、そして塩キャラメルの塩は美浜の塩を使用するなど、知多半島産の食材をたっぷりと使用しています。

折り返し地点「羽豆岬」に到着 ‘‘映え’’なフォトスポット

 チータープリンを後にして、まだまだ海沿いを走ります。12㎞ほど海沿いを走ると、大きな伊勢海老のオブジェが見えてきました。スタートからここまで約60㎞、ついに知多半島の先端・羽豆岬に到着です。

時間も波も、とても穏やかな空気が流れている羽豆岬神社

 青い空に青い海、木々の緑に朱色の大鳥居がとても映えます。アイドルグループ「SKE48」の楽曲『羽豆岬』にも登場したことがあり、SKE48の聖地としても有名で、大鳥居から少し行くと「SKE48『羽豆岬』記念歌碑」があります。ここにはベンチとテーブルがあるので、休憩スポットとしてもおすすめです。

「SKE48『羽豆岬』記念歌碑」を含め、羽豆岬全体がSKE48の聖地となっています

 ここで折り返し、出発地点のあいち健康の森公園に向けて北上していきます。復路も坂を上ることはなく、起伏のない海沿いを走っていきます。

 最後の立ち寄りスポットは「半田赤レンガ建物」。明治31(1898)年に半田市発祥の「カブトビール」の製造工場として建てられました。明治時代のレンガ建造物としてはかなり大きく、現存するビール工場の遺構としても貴重な建造物です。

ハーフティンバー構造が美しく、“映え”な写真が撮れること間違いなし

 建物内のショップには復刻したカブトビールなどこだわりの商品が販売されています。他にも半田赤レンガ建物の歴史が学べる常設展示や機銃掃射痕などを見学することができます。また、ジブリ映画『風立ちぬ』のシーンのモデルの一つとされており、ファンの間では聖地になっています。

疲れた身体に温泉はいかが?

 スタート/ゴール地点となっている健康の森プラザホテルでは、日帰り温泉が楽しめます。天然温泉「もりの湯」があり、汗を流すことができます。日帰り温泉は午前11時〜午後9時まで営業しているので、少しゴールが遅くなってしまっても安心。正面にあるあいち健康の森健康科学総合センターには、トイレや自動販売機、レストランなどもあります。

 起伏の少ない国道・県道を走るチタイチは、初めての100㎞にもチャレンジしやすいルートです。道中には写真映えするスポットも多く、愛車との旅の思い出が増えること間違いなしです。

文:片山葉月(かたやま・はづき)

父親の影響で自転車競技に出会い、高校入学と同時に自転車競技部に所属。高校在学時に全国大会へ出場、入賞を果たす。大学ではサイクルツーリズムを学びながら、実業団チームに所属しJBCFに参戦。選手活動だけでは飽き足りず自転車レースの審判資格を取得し西日本を飛び回る。大学卒業後、産経デジタルへ入社し競技活動は一時お休み中。自称・自転車に生かされている自転車オタク。

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