平坦&安心の霞ケ浦一周約100kmの「カスイチミニ」ぐるっと一周「○○イチ」に挑戦!<5>
「カスイチ」と聞くと、霞ケ浦をぐるっと一周する約125kmのロングライドを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。距離だけを見ると少し身構えてしまいますが、実は霞ケ浦には“ミニ”という選択肢があります。今回は、初めての100kmライドや、ビギナーと一緒に走る「○○イチ」にもぴったりな「カスイチミニ」をご紹介します。

| オススメポイント | ナショナルサイクルルートに指定されている霞ケ浦は、平坦基調で信号も少なく、日本屈指の走りやすさを誇る“一周もの”です。なかでも「カスイチミニ」は距離が約100km前後に収まり、初めてのロングライドやビギナーを連れた「○○イチ」にも最適。東京からのアクセスが良く、土浦駅やりんりんポートといったサイクリスト向け拠点も充実しています。湖畔の開けた景色や筑波山を望む風景、道の駅で味わう霞ケ浦グルメなど、無理なく達成感と旅気分を味わえるコースです。 |
|---|---|
| レベル | ★★(初級~中級者向け) |
| 距離 | 約95~100km (ルート選択・寄り道により前後) |
| 獲得標高 | 約200~300m |
| 出着地 | JR土浦駅(西口/東口) ※りんりんポート土浦スタート・ゴールも可 |
| 立ち寄りスポット | りんりんポート土浦、霞ヶ浦総合公園(風車)、道の駅たまつくり、霞ケ浦大橋、かすみがうら市交流センター(畔の駅 コハン) |
東京からのアクセス抜群 土浦駅の完成度に驚き
霞ケ浦一周の玄関口として多くのサイクリストに利用されているのがJR土浦駅です。東京駅から常磐線で約1時間。都心からこれだけスムーズにアクセスできる「○○イチ」は、全国を見渡してもそう多くありません。

そして、土浦駅に降り立ってまず驚かされるのが、そのサイクリストフレンドリーさです。ホームから改札、駅ビルへと至るまで、自転車利用者を前提にした動線がしっかりと確保されています。駅構内には輪行を解くための専用スペースも設けられており、周囲に気を遣うことなく準備ができるのはありがたいポイントです。

さらに併設している駅ビル内にはウェアに着替えられる無料の鍵付き個室、コインロッカー、シャワールームまで完備。これまで日本各地を自転車で旅してきましたが、使いやすさという点では間違いなくトップクラスだと感じました。初めて訪れる方でも不安なくスタートできる環境が整っています。

走り出す前に立ち寄りたい「りんりんポート土浦」
霞ケ浦一周を語るうえで欠かせない拠点が「りんりんポート土浦」です。湖畔すぐそば、サイクリングロード沿いに位置しており、これから走り出す前の立ち寄りにもゴール後の休憩にも便利な施設です。

トイレや休憩スペース、シャワーに加え、チューブや補給食を購入できる自動販売機も設置されています。無料駐車場があるため、車載で訪れる方にとっても利便性は抜群。「ナショナルサイクルルート」(※)として整備されている霞ケ浦らしい、安心感のある拠点です。
(※国が指定した、日本を代表するサイクリングルート。魅力的な景観や観光資源に加え、安全で快適な走行環境、休憩・宿泊機能などの受入体制が整備されている)
いざ出発、開放感あふれる湖畔ライドへ
今回は左回りでスタートしました。右回りでも快適に走れますが、少しでも湖側を走りたいので左回りをチョイス。駅前は一瞬だけ市街地を走りますが、すぐに湖畔沿いのルートへと入ります。交通量も落ち着き、ペダルを回すリズムも自然と整っていきます。
視界が一気に開け、遠くには筑波山の姿。霞ケ浦周辺には、筑波山へと続く廃線跡を活用したサイクリングルート(関連記事⇒https://www.sbaa-bicycle.com/article/2129)もあり、こちらもナショナルサイクルルートに選定されています。フラットで走りやすく、寄り道ルートとしてもおすすめです。

霞ヶ浦総合公園を通過すると、シンボルとなっている大きな風車が見えてきます。どこかヨーロッパを思わせる景観で、フォトスポットとしても人気の場所。湖と空と風車がそろう風景は、走っていても思わず足を止めたくなります。
走りやすさと注意点
ルート全般を通して、上りはほとんどなく平坦な道が続きます。ロードバイクだけでなく、クロスバイクや承継者であっても難なく走ることが可能です。湖畔沿いは午後から風が強まる傾向があるため、午前中から出発することをおすすめします。
基本的には湖畔沿いを走るルートですが、ところどころで畑や田んぼの中を抜ける区間もあります。曲がり角は多いものの、路面ペイントや案内看板が充実しているため、しっかり確認しながら進めば迷うことは少ない印象です。

一方で、車が通行する区間もあり、幅員が狭い場所も存在します。ナショナルサイクルルートだからといって、完全に自転車専用というわけではありません。周囲の状況に注意しながら走る意識は必要です。
ルート上にはトイレが点在しており、各拠点までの距離がペイントで表示されている場所も多く見られます。こうした情報が可視化されている点も、ビギナーに優しいポイントだと感じました。また、湖畔に沿って国道や県道も並行している区間が多く、もし補給が必要になった場合はコンビニ等へのアクセスは容易であると感じています。飲食店もあるので、地元の料理が食べられるお店をリサーチし、目的地に設定しても良いでしょう。
ランチは「道の駅たまつくり」へ 霞ケ浦グルメを堪能
ランチは行方市にある「道の駅たまつくり」に立ち寄りました。テラス席があり、サイクルラックも多数設置されているため、サイクリストでも気軽に利用できます。

ここでいただいたのが、名物の「なめパックン」。霞ケ浦で獲れたナマズを使ったハンバーガーです。淡水魚と聞くと少し身構えてしまいますが、臭みはまったくなく、淡白で食べやすい味わい。ライド中の食事としても重すぎず、満足感のある一品でした。

ミニならではの選択 霞ケ浦大橋を渡る
そのまま進めば霞ケ浦をフルで一周するルートに入りますが、今回はミニということで霞ケ浦大橋を渡ります。ここがフルとミニの大きな分岐点。橋を渡ることで距離が30kmほど短くなり、体力的にも時間的にも余裕が生まれます。


少し進むと、かすみがうら市交流センター「畔の駅 コハン」に到着。こちらもサイクルラックが完備され、レンタサイクルも用意されています。地元の食材を使ったジェラートやデザートが人気で、何度訪れても必ず立ち寄りたくなる場所です。

今回は、近隣で収穫されたサツマイモを使った焼き芋をいただきました。蜜がたっぷりで、ねっとりとした甘さ。サイクリング中のおやつとして、これ以上ないほど相性の良い補給食でした。

最後に待っていた向かい風と達成感
満腹の状態で再スタートすると、いよいよ一周まであと少し。霞ケ浦は午後になると風が強まるのが特徴で、今回は最後の約1時間がすべて向かい風となりました。平坦とはいえ、風の影響は大きく、なかなかペースが上がりません。
それでも信号はほとんどなく、一定のリズムで淡々と走れるのが霞ケ浦の良さ。無事に土浦駅へと戻り、寄り道を含めて走行距離は約100kmとなりました。

カスイチミニは、○○イチの最初の一歩に最適
今回走ってみて感じたのは、カスイチミニが「初めての100kmライド」や「ビギナーを連れた○○イチ」に非常に適しているということです。距離、獲得標高、補給環境、アクセス。そのどれを取っても、挑戦するハードルが低く抑えられています。

土浦駅構内にはサイクルショップやレンタサイクルもあり、思い立ったら気軽に訪れられるのも大きな魅力です。フル一周を目指す前のステップとしても、まずはミニから。霞ケ浦は、そんな選択を優しく受け入れてくれる○○イチでした。ぜひ一度、この走りやすさを体感してみてください。

10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体『Cyclist』の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在は自治体の自転車施策プロデュース業務等を担当。
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