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一般ユーザー向けイベントも開催
最新のトレンドと試乗体験を オフロードバイクディーラーサミット関東会場レポート

 自転車協会が主催する、販売店向けのオフロードバイクの試乗会「SBAAオフロードバイクディーラーサミット」が、10月28日に栃木県宇都宮市の道の駅うつのみや内にある「ろまんちっく村もくもくの森MTB(マウンテンバイク)コース」で開催された。自転車販売店の関係者が訪れ、最新のオフロードバイク試乗の他、販売に繋がる知識やトレンドが身につく講座を受講。29日には一般ユーザーを対象とした「オフロードバイクサミット」も開催され、爽やかな秋晴れの下、参加者たちはMTBコースや特設のパンプトラックでの試乗の他、プロライダーの指導によるライディングスクール等を楽しんでいた。(Photo & Text by Kyoko GOTO)

2日目のオフロードバイクサミット。常設されたMTBコースで多くの一般ユーザーが試乗やスキルアップを楽しんでいた

e-MTBの走破性を体感する最適なフィールド

 スポーツ用自転車の普及への取り組みの一環として、自転車協会では「SBAA PLUS認定者」(特別賛助会員)と一般販売店のスタッフを対象とした「SBAAオフロードバイク ディーラーサミット」を開催している。MTBの他、いま注目の電動アシストユニットを搭載したMTB(e-MTB)、シクロクロスバイク、グラベルバイクなどの合同試乗会と、プロライダーによるライディングスクール、MTBビジネスに関する座学講習などを通じ、スポーツ用自転車を取り扱う販売店にMTBの魅力を伝えることを目的としている。

パナソニックサイクルテックのe-MTB「XEALT」(ゼオルト)を試乗
ヤマハのe-BIKE「YPJ」シリーズ
スポーティーさそのままのコナのe-MTB
メーカーのスタッフと直接やりとりも

 会場となった「ろまんちっく村 もくもくの森MTBコース」は宇都宮ICから車で約5分、「道の駅うつのみや」の敷地内にある無料の常設フィールド。栃木県マウンテンバイク協会の有志を中心に運営が行われ、「間口は広く、奥行きは深く」をコンセプトに初心者から上級者まで楽しめるコースとして定評がある。

 舗装がされていない、アップダウンが豊富な林間コースはオフロードバイクを試すには格好のフィールドで、とくに急こう配ではe-MTBが強力な走破性を発揮。試乗した販売店関係者は熱心、かつ新鮮な表情で快適な乗り心地を確かめていた。

本格的な林間コースで試乗が楽しめる

 自転車販売店の関係者を対象とした初日には、最新の流行や知見をアップデートできる座学形式の講習も行われた。講習の内容は、シマノのスタッフによる電動コンポーネンツ「Di2」の整備に関する講習が行われた他、「販売につながるMTBパーク&フィールドの活用法」、「オフロードバイク販売スキルとレース&イベントの活用」、「成功するためのe-BIKEビジネススキル」など、オフロードバイクの販売戦略をテーマに各分野の専門家が解説を行い、参加者は熱心に耳を傾けていた。

12速となった「Di2」の整備についてシマノのスタッフがこれまでとの違いをわかりやすく解説。直接話ができるので疑問も即解決
「国内にもスキーやスノーボードのようにMTBを楽しむ人が増えてきた」と話すのは、MTBパーク等フィールドの活用法について解説したDKFREERIDEの高橋大喜さん
オフロードバイクの販売スキルについて解説したホダカの野中秀樹さん。「多様化しながら漸近しつつあるエンデュランスロード、グラベルロード、シクロクロスの違いをしっかり説明できることが販売店の強みになる」と強調
多様化するe-BIKEへのニーズと、ターゲットユーザー別のアプローチのポイントについて解説した自転車ジャーナリストの難波賢二さん

一般イベント、人気はe-MTB試乗とスクール

 ディーラーサミットの翌日、同会場で開催された「オフロードバイクサミット」には、宇都宮市内をはじめ、栃木県内外からも多くの人が参加。最新のオフロードバイクを試乗しに訪れたサイクリストの他、普段はスポーツバイクには乗っていないが、e-BIKEに興味があり、体験しに来たというファミリーやカップルの姿もあった。

メリダでは「MTBとe-MTBの試乗希望者は概ね半々」とのこと
街乗りに使いやすいロードタイプのe-BIKEも人気

 普段はロードバイクに乗っているという男性2人は、初めて体験するe-MTBの乗り心地について「山での上りは倒れる恐怖感があったが、e-MTBならどんな激坂も難なくクリアできて驚いた。自分が山を走るならおもしろい選択肢だと思う」との感想を語っていた。

 その他、会場には自転車とキャンプをテーマにした国内唯一の旅イベント「BIKE&CAMP」を主催する、モデルでトラベルライターの山下晃和さんがキャンプ道具を満載したグラベルバイクを展示。キャンプアイテムの積載方法のハウツーなど、参加者からの質問に答えていた。

普段ロードバイクを乗っているという二人。e-MTBの乗り心地に「新体験!」
キャンプツーリングスタイルの展示では、山下晃和さんがパッキングのコツや装備などの質問に答えていた

 ライディングスクールでは井手川直樹さんらプロのMTBライダーによる初心者~中級者向け基礎レッスンが行われた。子供から大人まで、初めに基本のライディングフォームとなるニュートラルポジションや、バイクをコントロールするためのブレーキング、バランススキルの指導すると、最初はぎこちない動きをしていた子供たちもみるみるスキルが上達していった。

ラインディングスクールで講師として指導にあたったMTBプロライダーの皆さん(左から井手川直樹さん、有薗啓剛さん、清水一輝さん)。ニュートラルポジションやブレーキコントロール等、MTBの基礎から丁寧に教えていた
 さらに実践編として栃木県マウンテンバイク協会が監修した体験コースでタイムトライアルに挑戦。直線の「スラローム」から「8の字」、「パンプトラック」、「丸太越え」など、参加者はさまざまな障害に真剣な表情で挑んでいた。井手川さんがコースの平均タイムを大幅に上回る圧巻の走りを見せると、参加者からは大きな歓声が上がっていた。
スキルパークで教わったスキルを試す参加者たち
スキルパークで井手川さんがプロの走りを披露すると会場は一気にヒートアップ!
 宇都宮市内から家族で参加したという金指一隆さんは、「基本の練習で自分のレベルがどの辺なのかがわかったし、基礎の深さを知った。息子もプロのテクニックを見ることができて参考になったと思う」と感想を語っていた。
家族でライディングスクールに参加していた金指一隆さん・龍之介くん・久美子さんファミリー

 一方で、小さな子供でもMTBの“縦の動き”を楽しめるようにと建築家の小島正治さんが設計・手作りした木製モジュラーパンプ、その名も「コジパンプ」は子供たちから人気を集めていた。ペダルを踏まずに加速する不思議な体験ができる設計で、講師たちの指導のもと、楽しみながらスキルアップに臨んでいた。

子供も大人も挑戦したくなるコジパンプ。初心者が安全に基本動作を学ぶのには最適
2022年のMTBアジア選の日本代表で、全日本のトラック競技ケイリンでも優勝した中島瞳選手が講師役を務めた
走る子供たちを見守る「コジパンプ」制作者で建築家の小島正治さん

 その他、ステージでは安田大サーカスの団長安田さんが特別ゲストとして登場。「RADIOBERRY」(エフエム栃木)のDJ棚橋麻衣さんの人気番組「MAIチャリ!」公開録音として行われたトークイベントでは、元宇都宮ブリッツェンの選手で、28歳という若さで新監督に就任した西村大輝さんをゲストに話を展開。幼少時代に乗っていたというMTBの話や、監督としての新生ブリッツェンにかける思いなどを語り、会場を沸かせていた。

団長安田さん(写真中央)と宇都宮ブリッツェンの新監督に就任した西村大輝さん(同左)。「MTBの経験があるロードの選手って下りがとても速い。パワーメーターでは鍛えられないテクニックや独特なバランス感覚があります」という西村さん。幼い頃、「ロードで行けるところはクルマでも行けるところだけど、MTBで行くのは自転車でしか行けないところ」と父親から教わったという話も披露

 次回の「SBAAオフロードバイクディーラーサミット2022」(販売店関係者向け)は12月7日、静岡県沼津市の「MTBスキルパークDKFREERIDE MTB PARK」で開催が予定されている。