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オフロードバイクの技術と最新知識を学ぶイベント
「SBAAオフロードバイクディーラーサミット2021-22」中部会場レポート ユーザーに伝わるノウハウ・知識獲得の場に   

 自転車協会が主催するMTBの試乗会「SBAAオフロードバイクディーラーサミット2021-22」中部会場イベントが、2021年12月7、8日に静岡県伊豆の国市で行われた。最新のMTBやグラベルバイクに試乗し、オフロードバイクの乗車スキルを体得し、最新トレンドや販売知識も得られるイベントとなった。2022年1月19日には関西会場として、大阪府河内長野市・プラザ阪下で同様のイベントが開催予定だ。(Photo & Text by Koichiro Nakamura & Masahiro Osawa)

会場にはMTBを扱う数々のメーカー・ブランドが並んだ

オフロードバイクの最新知識を得られる試乗会とワークショップ

 会場となったのは、静岡県伊豆の国市の神島河川敷・中島公園に設けられた狩野川特設MTBコース。伊豆半島を北上する美しい狩野川の河川敷に作られた特設フィールドには、数々の出展ブランドブース、MTB向けとグラベル向けに2つ設置された試乗コース、そして木製のパンプトラック「コジパンプ」が設置された。

 会場では、各ブランドによる最新モデルの試乗、プロライダーを講師に迎えたライディングスクール、さまざまな技術知識や実技を学べる座学が行われた。MTBはトレンドサイクルの移り変わりが早い。最新の走り方やパーツの規格、整備の技術といった情報をここでキャッチアップしていくのだ。

プロライダーが講師となって、乗る技術と、学んだことをお客様に伝えるためのテクニックを伝えていく
4つの座学講習を複数回に渡り実施。オフロードバイクの現状や販売に役立つスキルが学べる
会場に置かれたパンプトラック「コジパンプ」で、多くの参加者が腕試しならぬ"足試し"を行っていた
一般社団法人自転車協会 山﨑一理事長(写真左)と視察に訪れた伊豆の国市の山下正行市長(右)。中島公園は伊豆の国市が進める「かわまちづくり計画」の一環として、オフロード自転車コースの整備が進められている。将来はサイクルイベント等での利用も想定されている

試乗車出展ブランドと、メーカーそれぞれのおすすめ紹介

 試乗車として並んだのは、参加メーカー最新のMTBとグラベルバイク群。数多くの試乗車の中から参加者は、これだという1台を選んで試乗する。

 試乗コースはMTB用とグラベル用の2つに分かれていた。河川敷での開催のため、コースは基本的にフラットだったが、それでもMTBでは左右に細かく振ったコースレイアウト、グラベルは脚を使うようなストレートと急な上りの組み合わせ。MTBとグラベルそれぞれの特性を活かした走りが味わえるコースとなっていた。以下、参加したバイクブランドと、今回のおすすめの一台を紹介していこう。

パナソニックの「XM-D2」。フルサスが最大の特徴のe-MTB。モーター部に2段の変速モードが入っており、リアの11段変速とともに、本格的なMTBコースで2x11段変速の走りが楽しめる
ビアンキの「e-SUV Adventure」。イタリアでは2年前ぐらいから展開している日本未発売のe-MTB 2023モデルを展示。名前通りSUVをコンセプトとし、シーンを選ばず楽しめる。イタリアのドロミテ山脈をイメージした角ばったデザインも秀逸
ネストの「X-VALLEY E6180」。オールマウンテンMTBのジオメトリーを採用したe-MTB。27.5x2.8と太めタイヤを装着したバイクで、電動による力強いアシストを発揮する。あらゆるトレイルが走りやすく設定されていて「1気圧ぐらいの低いタイヤの空気圧でのんびり走ってみて欲しい」とはメーカーの弁
メリダの「eONE-SIXTY 10K」。メリダe-MTBのフラッグシップモデル。630w/hの大容量バッテリーで、カーボンのフルサスフレーム。160mmトラベルの前後サスペンションで走りやすく、バッテリー容量も気にせず楽しめる。またバッテリーにエアが入る冷却の仕組みなどで航続距離を伸ばすという細かなハイテク仕様も特徴だ
ヤマハ発動機の「YPJ-MT Pro」。バイクメーカーのヤマハならではのテクノロジーを満載。2本に分岐したトップチューブが印象的。これはバイクのフレーム構造からの発想、軽量で強いフレーム設計となる。また新開発のモーターで、変速にはオートマチックモードもあり、自動でアシスト力が調整される
コナの「REMOTE 160」。前後フルサスの160mmトラベルで、本格的な下りが楽しめるE -MTB。エンデューロバイク モデル「PROCESS」からのジオメトリーを利用し、難しい下りでも高い操作性を保つ。アシストでしっかりと上れる500w/hのバッテリーを採用する
BMCの「URS」(ウルス)。野を駆け巡る熊をイメージしたグラベルモデル。700cx42cと太めのタイヤを装着するハイエンドモデル。リア側にはMTTと呼ばれるエラストマーでの振動吸収材がつき、硬さを4種に調整可能で長距離も走りやすくできている。これはカーボンバイクだが、アルミフレームモデルもあり
ジェイミスの「SEQUEL」(セクエル)。一見クロスバイクだが、本格的なオフロードのスペックを備えるフラットバー・アドベンチャーバイク。前後スルーアクスル、サイドキャリア、フェンダー、キャリアなども付けやすいダボを装備。「続編」という意味の名前通り、走りのさらなる先へと向かいたくなる1台だ
ベスビーの「JG1」。初のグラベルモデルが登場した。ロードに比べてタイヤが太く、オプションで専用フェンダーも用意されている。これらを使うと荷物も運びやすいeグラベルバイクとなり、キャンプなどへも出かけやすい。しかも重量は16kgほどと圧倒的に軽い! 注目の1台だ
オージーケーカブトには新たに発売を予定しているMTB用ヘルメット「FMX」が展示されていた。後頭部まで包むこむ形状で安全性を高めた、MTBヘルメットならではのモデルだ

プロライダーが講師のスクールで、お客様への伝え方のヒントも学ぶ

 プロライダーを講師に招いたライディングスクールは、1日に3回行われた。講師は井手川直樹氏と小笠原崇裕氏のプロライダー2人を中心とした4名。走ることの基本技術を学び、それを実際のお客様に伝えていく方法も学んでいく。プロライダーたちがこれまで培ってきた、初級者にも伝わりやすい「走行技術の伝え方」というものがあるのだ。

 まずは平地でパイロンを使った練習を行った。「止まる」「曲がる」「止まる」の基本を意識した動きである。安定したコーナリングが行えるよう肘を意識することや、ブレーキングでの前後ブレーキの配分などを学んでいった。

パイロンを並べた空間で、パイロンをスムーズに回り込む練習を行っている
なぜその動作が必要なのか、そしてどうやって行っていくのか、段階を追って教わる

 左右の動きを一通り学んだら、次にパンプトラックを使ったパンピングの技術を学んでいった。パンピングは膝と上半身の動きを連動させ、コブを走り抜けるときに加速していくというもの。ペダルを漕がずに加速できるこの技術は、パンプトラックで学びやすいが、実際のトレイルの中でも使える。ペダルを漕ぐとしたに当たってしまうような木の根っこや段差の場面で使える。これら基礎技術を積み重ねることで、実際の走りのレベルは上がっていくのだ。

1日に3度行われたライディングスクール
パンプトラックの走り方も丁寧に伝えていった

滑りにくい表面加工が施された木製モジュラーパンプトラック

 会場には2種類のパンプが置かれていた。1つはまっすぐのもの、もう1つはU字型に周回する、コーナーがついたものだ。このU字型のパンプは「コジパンプ」と呼ばれ、「まちさが里山サイクリングの会」の協力によるものだ。

 コジパンプは、MTB好きの大工、小島正治氏が手がけたもので、分解できるモジュラー式の木製パンプトラックとなっている。曲面の角度はホイールの小さなキックバイクでもこすらないよう綿密に考えられている。さらに表面には木の粉をまぶしたコーティング剤を塗布し、多少の雨でも滑りにくいように作られ、これまで年数をかけて改良を重ねてきたという。MTBで走る楽しさを、まずはこのパンプを走ってもらうことから伝えていこうという気持ちで設置したという。

MTB愛好会「まちさが里山サイクリングの会」の協力のもと、製作者の小島氏が設置した「コジパンプ」
パンプの高さも、キックバイクで子供たちが使うことを前提に、低く滑らかなものにしてある。表面にも滑りにくいコーティングを施している

4つの座学講習を実施

 座学講習は4つの講座が実施。「流行中のいま必要な学習 日本で成功するためのe-BIKEビジネス」では、e-BIKE事情に詳しいジャーナリストの難波賢二氏が、e-BIKEのユーザー層の特徴、ターゲットの大きさなどをわかりやすく解説。そのうえで、e-BIKEはグループアクティビティであり、1人に売れれば複数人を相手にできるなど、販売上のメリットも示し、スポーツ用自転車販売におけるe-BIKEのポテンシャルの高さを説いた。

多数の参加者が聴講。e-BIKEへの関心の高さがわかる
難波賢二氏が"歩くアクティビティ"と比較してe-BIKEのユーザー層をわかりやすく解説

 「ディスクブレーキ整備技術講習」では、シマノ担当者が油圧ディスクブレーキの構造や使用上の注意点ほか、ブリーディングについて解説。販売店においてはブリーディングは今や欠かせない知識となっており、ブリーディングのかなめとなる「エア抜き」のコツについて重点的に説明してくれた。

ディスクブレーキの構造について解説された
ブリーディングの実演。エア抜きのコツなどが紹介された

 「オフロードバイク販売スキルとレース&イベントの活用」では、ホダカの野中秀樹氏が多様化するオフロードバイクの種類についておさらいをしつつ、走行場所の問題についても取り上げた。山中を走る場合、そこが私有地であったり、ハイカーから危険視されたりと、オフロードバイクの走行が問題視されてしまうことがあるが、オフロードバイクが走行して問題ない場所が多数存在することを説明。Enjoy Sports Bicycleでも紹介している専用パーク、専用フィールドのような情報を得て、楽しむべきだとする。また、オフロードバイクのイベントに顧客と積極的に参加することで、オフロードバイク用品における新たな販売のチャンスも出てくることを強調した。

近年、多様化するオフロードバイクについて説明する野中氏
座学には、現MTBクロスカントリー全日本チャンピオンの沢田時選手(TEAM BRIDGESTONE Cycling)も講師として参加

 ケルヒャージャパンによる「ケルヒャー洗車体験講習」では、ケルヒャー製高圧洗浄機の特徴から、オフロードバイクに高圧洗浄機を用いる際の注意点の説明がなされ、洗車体験も行われた。

洗車の実演の様子
洗車体験の様子

参加者の声

 最後に参加者の感想も紹介したい。参加者は試乗や座学講習を通じて、接客につなげる知識を多数獲得できたようだ。

カミハギサイクル 小牧本店 石田拓海さん

 いろいろ試乗できて、どれも良かったのですが、中でも一番気に入ったのはこのBesvのフルサスモデル「TRS2 AM」です。重心を低めに抑えてあってコーナーでも安定して切り返しがしやすい。またアシストが利くまでのタイム差がとても少なく、それが自分には乗りやすかったです。元々自分はマウンテンバイクがすごく好きなので、こうした試乗会で乗りたかったのもあります。できるだけ多くの台数に乗っておくことで、自分が乗った中でここが良かった、こういう特徴があったという実感をお客様にお伝えできます。それがお客様にとっても一番、安心して信頼いただけることだと思っています。

 
カミハギサイクル ささしま店 寺井貴紀さん

今回一番気に入ったのは、ビアンキの「NITRON」です。シンプルで取り回しも軽く、それであってもバランスが取れていてスピードももちろん出せて、誰でも乗れるので、一番好みです。特に最近MTBでは進化がすごく速いため、新しい情報を得たいと思って今回は参加しました。

SPLASH 大久保賢人さん

 今回の試乗会でいろいろと乗ってみましたが、全体的に乗りやすいモデルが集まったという印象でした。中でも気に入ったのは、BMCの「Twostroke 01 FOUR」です。MTBレースでBMCが勝っている場面が結構あって気になっていました。試乗してみたら、やはりいいバイクでした。とても走りやすく、操作もしやすいので気に入りました。素材がカーボンで走りそのものも、前に出ていく感じが良かったです。座学もとても役に立ちました。グラベルバイクやシクロクロスバイクの違いと特徴を学ぶことができました。今はまだお客さんからオフロードバイクを求められることは多くないのですが、これからの販売に向けてはとても勉強になりました。

スポーツデポ金沢大桑店 小林佐さん

気に入ったのはネストの「X-VALLEY」です。e-BIKEは急な坂でも力強くアシストしてくれるので力がなくても進みやすいですね。エコモードだと100kmほど走れるので、長時間のロングライドでも乗りやすいのではないかと思います。シマノのユニット、パーツ群も使っているので、全体の性能もよく、信頼性もあり、長期にわたって安心して使えそうですね。