第2回 マウンテンバイクフィールド助成金制度 対象事業
2021.11.8
長野県辰野町にある「上平出マウンテンバイクパーク」は、いわゆる一般的なMTBパークとはちょっと違ったトレイルパークである。というのも、ここでのライドはトレイル整備があって初めて可能になるからだ。走る人々がトレイルを作ることで、成り立っているパークなのである。
このトレイルは、2021年7月現在、長野県伊那市にあるプロショップ「CLAMP」に関わる人々が中心となって運営されるトレイルパークである。トレイルを作ることを前提とした「パーク風トレイル」と言っていいぐらいだ。初めてきた人でもパッと乗れる、いわゆるオープンなパークではない。ここを走る許可を得た、慣れたライダーと一緒でないと走れないのだ。
その成り立ちも面白い。その有志数名が「地元地域に自分たちが走れるマウンテンバイクのトレイルが欲しい」という気持ちを持ち、行動したことから始まった。その有志の中の、地元に精通していた人物が、現在パークのある山にマウンテンバイクのトレイルを作りたい、と地域の地権者の方々などにお願いをしていった。それはいいね、と話に乗ってきた方々の協力を得て、そこからトレイルが作られ始めた。
このトレイル作りは進んでいき、いくつかのコースができるほどになった。すると当然というべきか、そのトレイルを走りたいという声がそのショップのお客さんを中心に上がり始めた。そしてトレイルを組織的に整備し、本格的にコースを作っていくことになった。
その過程で、地域のさまざまな補助金などを利用しながら、トレイル作りや整備の機材や器具の購入や維持費に充てていった。こうして少しずつトレイルは拡張されていき、今は大きく4つのトレイルが整備されるまでになった。
走行資格を得るには、トレイル整備イベントへ2回以上の参加が条件となる。参加回数を満たすと、走行許可証ともいえるバッジを購入できる。バッジは6,000円で1年間有効だ。バッジを購入できた人は、入山届・下山届の連絡を入れることを前提に、整備イベント以外の時にもこのトレイルを走れる。
そしてコース、というよりトレイルも、山中を走る一般的なものだ。どこにトレイルがあるのか、どこを通ればいいのか、木に小さくマークが付いているが見落としやすい。運営側のメンバーであれば、バッジを持たない人を連れて走ることもできるが、逆に言えば、コースに熟知した運営メンバーの案内なく、ここを走るのは現実的に無理だろう。
まずここを走るために必要となる、トレイル整備イベントの模様を簡単にお伝えしよう。整備を行うのは午前中、ランチを挟んで、午後はライドという形になる。集合は午前8時半。トレイル近隣にある公園駐車場に集合する。ここからマウンテンバイクに乗って、整備・造成する場所まで走っていく。
整備で使う道具は基本的に運営側が用意するが、手は土で汚れるし、基本的に山道を歩くので、あらかじめしっかりと準備をしておきたい。草むしりもするため草を通しやすい軍手ではなく、手の平にゴムのついた作業用の手袋、靴も登山ブーツなどのほうがいい。また水筒やボトルなどで水分は多めに持っておきたい。
トレイル整備やトレイル作りと言っても、難しいところや危険そうなところは経験者が行ってくれるのでやることは簡単だ。初心者が行うのは、レーキ(熊手)で表面の枝や葉っぱを取り払い、地面が見えるようにすることだ。レーキの後からは、トレイル内の草などを手で抜いていく。
気持ちいいのはレーキでの路面掃除だ。疲れるがやればやっただけトレイルらしくなるからだ。トレイル整備は人数がいるほど早くトレイルができる。自分が整備し作ったトレイルは愛おしい。
ではトレイル全体の紹介である。4つに分かれたトレイルの走り出しとなるのは中央にある見晴らしの良い広場だ。子供も走れるパンプが常設されており、ここを起点、終点として走れるトレイルが2パターンほどある。整備イベント後のライドの起点となるのもここだ。
基本的にパークではないので、トレイルを走る準備をして、走るのが前提になる。パトロールはいない。水場もない。いわゆる怪我も弁当も自分持ちというやつだ。マウンテンバイクの本来のトレイルライドを心置きなく味わえるフィールドだ。
4つのトレイルの名前は「モコモコ」「ダンダン」「ウネウネ」「オイオイ」。名前がそのままトレイルの特徴を表している。全てのコースは舗装路を上り、そこからトレイルに入っていくという作りだ。
ここでは「ダンダン」の走り心地を紹介しよう。「ダンダン」は、段々の地形をうまく活かしたコースだ。緩やかに下る地形に、おそらく畑だったであろう路面が段々に続き、そこにトレイルが作られている。基本はなだらかな斜面に、左右に蛇行したシングルトラックとなっており、コーナーには傾斜角度のついたバームがつき、流れに乗って走れる本格的なフロウトレイルだ。掘り出した自然のままのトレイルではなく、乗り手が本当に走りたいと思うコースレイアウトになっている。
管理者も「コースレイアウトには、とても気を使っています」と言うが、まさにその通り。地形を生かし、走りが楽しいようにコースがレイアウトされている。初級者でも安全に走れるが、走り心地からすると、中級者・上級者がより楽しめそうだ。上級者であればスピードを上げて難易度も上げて楽しめる。在り方としては自然のトレイルであるが、走り心地はトレイルというより常設パークのようである。
トレイルを下ると、そこにはパンプトラックがある。木の周りを囲んだパンプトラックで、トレイルから流れに任せてそのまま入れるようにルートが作られている。これも乗り手が力を合わせて作ったものである。ここもその場所を知っている者でないと案内しにくい場所にあり、適度に外部の目から守られた状況となっている。
コースのルールにも、トレイルの場所を公開しないこと、とある。だからまずここを走りたいと思ったら、運営メンバーに同行するか、またはトレイル整備イベントに2回以上参加することしかない。
だからまずはこのイベントに参加してみよう。トレイル整備イベントに関する情報は、公式ホームページに掲載される。しかもトレイル整備に参加してしまえば、このコースを走るのは、もっともっと楽しくなる。というのも、あなたが走って1番楽しいトレイルは、あなたが作ったトレイルだからだ。
所在地 | 〒399-0422 長野県上伊那郡辰野町大字平出739(自宅兼事務所) |
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電話番号 | 090-4386-5911 |
営業期間 | 通年 |
営業時間 | 土曜日、日曜日(9時から17時) |
利用料金 | イベント以外で走行する場合はフリーライド許可証缶バッジの入手が必要。缶バッジはイベント参加など一定の要件を満たしたうえで購入可能。料金等詳細はホームページをご確認ください |
実施イベント | スクール、ライドイベント、トレイル整備ライド |
管理者 | フォレスト・トレイルス |
フィールドタイプ |
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レベル |
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設備 |
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ml.cyclist-privacy@sankei.co.jp
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