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ローラーの種類とできること、環境整備について

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ロードバイク関連グッズ特集~種類と選び方~<5>
ローラーの種類とできること、環境整備について

 ローラー台とは、自転車を載せる(装着する)ことで室内で自転車を漕ぐことができるトレーニング機器のことです。気温や天候に左右されることなく、信号で止まる必要もなく、また交通事故の危険もないので、効率の良いトレーニングが可能です。端的にいえば、スポーツジムにあるエアロバイクと同じことが、自分の愛車でできると思ってください。

この記事の内容

ローラー台の種類

 ローラー台は、「3本ローラー」と「固定ローラー」に大別できます。その昔、ローラー台といえば3本ローラーのことでした。その名の通り、3本のローラーで構成されているもので、自転車を固定することなくペダリングします。テレビで競輪選手が練習に使っているのがこの3本ローラーです。

 ホイールのジャイロ効果を使って自立させるという構造のため、ペダルを回さないと自立できず、乗りこなすにはコツが必要です。僕もよく3本ローラーから落車したものです。逆に言えば、バランス感覚が養われ、実走している感覚が味わえることがメリットです。デメリットは、先述の「コツが必要」ということに加え、大きいので場所をとること、振動と騒音が大きいこと。

 固定ローラーは、文字通り自転車をローラー台に固定してしまうタイプ。固定場所は前輪の車軸と後輪の車軸の2タイプがありますが、いずれも倒れる心配がなく、全くのビギナーでも簡単に使えます。3本ローラーより静かで、転倒の危険がないのがメリットですが、自転車が完全に固定されてしまうため、ペダリングによる左右の揺れが再現されず、実走感に乏しいことがデメリットです。

 最近増えているのが、「ダイレクトドライブ式」と呼ばれるもの。これは、後輪を外してタイヤを介することなくローラー台と自転車をダイレクトに接続してしまうもの。ホイールが回転しないため、振動・騒音が小さく、集合住宅でも使用可能ですが、バイクが左右に揺れないというデメリットは残ります。この後説明しますが、バーチャルサイクリングアプリと連動したセンサーを内蔵した製品が多いこともあり、他のタイプに比べ高価です。

「バーチャルサイクリング」の登場

 このようなローラー台を使っての室内トレーニングの世界を一変させたのが、「バーチャルサイクリング」アプリの存在です。これは、出力を確認できる「パワーメーター」やローラー台に内蔵されたセンサーで「今自分がどれほどの力でペダルを漕いでいるか」というデータをアプリと連動させ、バーチャルのコースを走るというもの。ネットで世界中のユーザーと繋がっているため、仮想世界でのグループライドやレースも可能です。

 世界中で爆発的にユーザーが増えており、コース上の起伏に応じてローラー台の負荷(ペダルの重さ)が自動で変わる高機能ローラー台(「スマートトレーナー」と呼ばれます)も増えてきました。

 このようなバーチャルサイクリングアプリの登場によってエンターテインメント性が高まり、ローラー台は「雨や夜間でもトレーニングができる」というストイックなイメージから、「体を動かしながら安全にバーチャルサイクリングを楽しむもの」へと方向性が変化し、「インドアサイクリング」なる言葉も生まれました。

インドアサイクリングでの注意点

 そんなインドアサイクリングで気を付けてほしいポイントがいくつかあります。まずは振動・騒音。ダイレクトドライブ式以外のローラー台はかなりの振動と音が発生しますので、家族や近隣住民への配慮を忘れずに。

 また、ローラー台はホイールが高速で回転します。子供やペットがいる家庭では、怪我の危険が払拭できません。ホイールが回転しないダイレクトドライブ式であっても、チェーンとスプロケットの間に指を挟んでしまうなどの危険が考えられます。柵で囲う、ペットや子供が入ってこない部屋で行うなどの安全対策を行うようにしてください。

 老婆心ながらもう一つ付け加えておきます。前述の通り、固定ローラーを使うインドアサイクリングでは自転車が完全に固定されてしまうため、ペダリングによる左右の振れが再現されず、ダンシングもできません。コーナリングや集団走行の経験も積めません。インドアサイクリングだけでは、実際に走行スキルは身に付かないのです。

 とはいえ、インドアサイクリングには実走にはないメリットもたくさんあります。天気に左右されず、準備も必要なく、交通事故の心配もない。仕事や子育てで忙しくても、効率の良いトレーニングが可能になります。アプリを使えば、地球の裏側にいる人と一緒にライドを楽しめます。

 それぞれのメリット・デメリットを上手く補いながら、リアルでもバーチャルでも、実走でもインドアでも、自転車を楽しんでいただければと思います。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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