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自転車のメンテナンス特集<9>

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ボルトをナメるな~ボルトの正しい緩め方、締め方~ ナメたときどうする?
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 メンテナンスはショップにお願いするという人でも、簡単なポジション調整やホイールの付け外しなどでボルトを回すことがあるかと思います。連載『ロードバイク関連グッズ~種類とその選び方~』でも紹介していますが、スポーツバイクによく使われているのは「六角穴付きボルト」です。今回は、そのボルトの正しい締め方についてお話します。

この記事の内容

ビギナーこそ良い工具を

 まず、先のページでも少し触れていますが、あまりに安い工具は精度と耐久性が低く、ボルトを痛めてしまうこともあります。他の機械に比べ、軽さが重視されるうえに構造が非常にシンプルなスポーツバイクは、ボルトが全体的に細め。場所によっては軽いけど弱いアルミボルトが使われることもあります。なので精度の高い工具で丁寧に扱う必要があるのです。

 もちろん、良い工具を買ったからといって良い整備ができるようになるわけではありませんが、同じ技量なら、確実に良い工具のほうが良い作業ができます。ビギナーこそ良い工具を買うべきなのです。

ねじの締め方・緩め方のコツ

 では、具体的な使い方を説明しましょう。

 まずは締め方です。コツは最初から大きな力をかけないこと。工具を使う前に、ボルトの頭を指でつまんで回せるところまで締めてみましょう。こうすれば、小さい力でスムーズに回るかが分かるので、万が一ボルトのサイズが間違っていたときにすぐ気付けます。

 次に、六角レンチとボルトのサイズが合っているかを確認すること。六角レンチの柄には、長い方と短い方があると思いますが、最初に長い方の先端をボルトの頭に差し込み、軸がぶれないように片手を添えて回します。工具の先端はボルトの奥まで完全に差し込んで下さい。

 長い柄で軽く回せないくらいまで締めたら、最後に短い方の先端に差し替え、長い柄を持ってしっかりと締め込むこと。親指を軸に沿わせておくと力をかけやすくなります。このとき、いきなり力をかけてグイッと締めるのではなく、様子を見ながら徐々に力を加えていくことが大切です。そうすることで、ねじ山を潰してしまったり、ボルトの頭をなめてしまったりすることを防げます。

 締まっているボルトを緩めるときは、これの逆。はじめに短い方の先端をしっかりと差し込み、大きな力をかけてボルトを緩め、軽く回るようになったら長い方に差し替えて早回しをします。

もしボルトの頭をなめてしまったら?

 どんなサイズのボルトか、ボルトの素材は何か、どんな場所のボルトか、破損の程度はどれくらいか……などによって対処法は変わってきますが、基本的にはなめてしまったら「ショップへGO!」です。慌ててあれやこれやとやってみたくなりますが、状況を悪化させるだけのことがほとんど。プライヤー(ペンチ)でボルトを掴んで回してみる程度のことはやってみてもいいかもしれませんが…。

 ショップにお願いをすれば、状況から判断して最適だと思われる手段で、完全にお手上げだったなめたボルトでも、魔法のようにあっとういう間に外してくれることでしょう。

文: 安井行生(やすい・ゆきお)

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。

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