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ロードバイクのタイヤの寿命は?交換のタイミングと基準

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自転車のメンテナンス特集<5>
ロードバイクのタイヤの寿命は?交換のタイミングと基準

 「走る」、「止まる」、「曲がる」のいずれにも深い関わりがあるアイテムがタイヤです。自転車を走らせるうえで最も重要であるといっても過言ではないでしょう。しかし、ゴムをすり減らしながら使用するタイヤには交換しなければならないタイミングがやってきます。適切な時期を見計らって交換しましょう。

記事の内容

交換が必要な理由

 タイヤは路面との摩擦を利用して走行しています。地面に対して柔らかいゴム素材を使用しているため、消耗し、すり減らし続けているのです。当然、タイヤ表面(トレッド)は薄くなっていきますので、石や異物が刺さりやすくなり、パンクしやすくなります。

 それでも使い続けた場合には、トレッドがなくなり、内部のケーシングと呼ばれる層まで到達してしまうことも。こうなると即パンクに繋がりますし、タイヤ本来の性能を発揮できないため非常に危険です。すぐ交換するべき状態です。

摩耗により内部のケーシング層が見えている状態

 また、過度な走行をしていない場合でも、長らく使用しているタイヤも交換の対象となる場合があります。長期間使っているタイヤの表面はヒビ割れることがあり、異物を拾いやすくなると同時に、適切なグリップ力を発揮できない場合も。走行中、コーナーなどで踏ん張りきれずにタイヤが滑ってしまうこともあるため、大きなひび割れがある場合には必ず交換した方がいいでしょう。

交換のタイミング

 距離の目安としては3,000km〜5,000km程と言われています。一方、製品ごとに摩耗の早さも異なりますし、使用しているシチュエーションによっても判断が変わってきます。

 まず、過走行からくる寿命に対してですが、前述の通りトレッドからさらに深いケーシングの層が顔を覗かせていたら即交換した方が良いでしょう。できればその状況に陥る前に交換した方が無難です。その際はインジケーターを確認してみてください。製品によってはトレッドにインジケーターの溝が設けられています。これが摩耗によって消えてしまった場合には交換時期の目安と判断できます。

このタイヤの場合、トレッドにある円形の溝がインジケーター

 また、走行中に釘やガラス片などによって、タイヤを貫通するような傷が入ってしまった場合にも交換が必要です。内部にチューブが収まっているクリンチャー(WO)にしろ、チューブレスにせよ、空気を保持して内圧をかけることが困難になります。たとえ新品同様でトレッドが残っていても、残念ながら新しいものへと交換してください。

 トレッドのひび割れに関しては下記画像くらい深いものであれば交換するべきだと言えます。

大きくヒビ割れてしまい、異物を拾いやすくなっている即交換の状態

 一方で、少ししか走行していなかったり、装着してからあまり時間が経過せずにトレッド表面にヒビが見られるものも少なからずあります。製品ごとの種類によって異なるのですが、素材にゴムを使用しているためそのような現象が起こってしまいます。これは筆者の経験に基づくものですが、ヒビではなく表面にシワ程度の溝が薄らある程度であれば問題ないと判断しても良いと考えています。しかし、小石や異物が溝にはまるほどの深さや大きさがある場合は交換すべきです。

交換の判断が難しい場合は?

 タイヤの交換は「パンク修理」の一連の流れにもあるように、比較的ビギナーでも馴染みのある動作といえます。タイヤをネットで注文して自宅で装着しているサイクリストも多いと思います。もちろん、現代においては安く便利に購入できるのでOKですが、交換の判断が難しい場合にはプロショップで相談して購入、交換することをおすすめします。冒頭にも記しましたが、タイヤは走行するうえで最も大切なアイテムです。本来の性能が発揮できない状態で走ると、大きな事故につながりかねません。安心してサイクリングを楽しむためにも、タイヤは適切なタイミングで交換するよう心がけましょう。

文: 松尾修作(まつお・しゅうさく)

10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体「Cyclist」の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在はYouTubeチャンネル「サイクリストTV」でナビゲーターを務めるほか、自治体の自転車施策プロデュース業務を担当。

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