TOP HOW TO サイクルロードレース観戦の楽しみ方サイクルロードレース観戦の楽しみ方<7>
レースをより深く、面白く観戦するための予習と“アナザーストーリー” どっぷりハマる編

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サイクルロードレース観戦の楽しみ方<7>
レースをより深く、面白く観戦するための予習と“アナザーストーリー” どっぷりハマる編

 前回、自転車ロードレースのテレビ・オンデマンド中継は気楽なスタンスで見よう、という話をしました。たくさんのレースを観戦し、慣れてきたらステップアップのためにも、予習に力を入れることをおすすめします。今回はより楽しくレースを観戦するために具体的にどんな予習をすればいいのかお伝えします。

レースプレビューにて予習

 ツール・ド・フランスなど規模の大きなレースになればなるほど、レース開幕前には様々なメディアにてレースプレビューの記事が公開されます。そういった記事を読んで、大会の特徴や有力選手の名前を把握しておくことで、レース中継を見る際に誰に注目すればいいのか知ることができます。

「ツール・ド・フランス2019」開幕直前、サイクリングメディア『Cyclist』のプレビューで総合優勝を有力視されていた3選手(左からヤコブ・フルサング、ゲラント・トーマス、アダム・イェーツ) Photo: Yuzuru SUNADA

 国内のメディアであれば、日本語で読むことができるのも大きなメリットです。というのも、本格的に予習をしようとすると、どうしても海外の情報に触れる必要が出てきます。

 レース観戦初心者を脱して中級者・上級者を目指すためには海外の情報、特にレース主催者やチームの公式発表は欠かすことのできない貴重な情報源となります。

レース公式サイトをチェック

 レースの予習に関して、最も大事な情報はコースプロフィールです。ツール・ド・フランスのようなステージレースであれば、初日はどんなコースなのか、全21ステージ中に山岳ステージはいくつあるのか、個人タイムトライアルのレース距離は何キロなのか、など予習に欠かすことのできない情報が詰まっています。それらコースプロフィールの情報はレースの公式サイトで公開されます。

 例えば、ツール・ド・フランスの公式サイトでは、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語で閲覧可能です。コースプロフィールはステージごとに見ることができ、各ステージの山岳ポイント、中間スプリント、ラスト5kmの地形なども知ることができます。

ツール・ド・フランスなどの公式サイトをチェックすれば、事前にコースプロフィールを把握できる

 また、公式サイトには大会公式の写真や動画が公開されている場合もあります。外国語の文章を読むのは大変でも、写真や動画を見て得られる情報もあるので、色々と閲覧してみると勉強になるかもしれません。

チーム公式サイトをチェック

 大会主催者の公式サイトと同じようにチームの公式サイトにもたくさん情報が詰まっています。特に選手のコメントや移籍・契約情報に関するチームの公式見解はとても貴重です。それらは基本的に外国語で書かれているため、高い語学力がないとすらすら読むことはできません。

 しかし、昨今は自動翻訳技術がとても進化しています。ブラウザの自動翻訳、翻訳サイトで日本語に変換して読めば、おおよその意味は理解できます。より正確に理解したいときは、インターネット検索や辞書を使って意味を調べながら読むことで、語学の勉強にもなって一挙両得といえましょう。

 ただし、自転車ロードレース用語には注意です。例えば「Break」というのは直訳すると「壊す」という意味ですが、ロードレースでは「逃げ」を意味します。「General Classification」は直訳すると「一般的な分類」となりますが、ロードレースでは「総合成績」となります。これらの単語は辞書を引いても載っていないことがあるので、文脈から地道に理解していくしかありません。

公式SNSもチェック

 公式サイトだけでなく、SNSも情報の山です。レースの公式SNSであれば、レース中継が始まるまでのレース展開を知ることができます。チームの公式SNSでは、レース前後のオフショットも公開されていることが多く、写真や動画をチェックするだけでも面白いかもしれません。

 以下のツイートは「グルパマ・エフデジ」のツイッター公式アカウントです。ツール・ド・フランス第14ステージ、超級山岳トゥールマレー峠でティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)が勝利を決めた瞬間、狂気乱舞するサポートチーム勢の様子はテレビ中継では見られません。

 そして、SNSをチェックするのであれば、選手のSNSをフォローすることをおすすめします。直接的にレースを振り返っていることもあれば、トレーニング風景、家族と触れ合う姿、チームメイトとじゃれあう様子を投稿するなど、レース内外の意外な一面を見つけることもできるでしょう。

 これらの情報を組み合わせて、レースの予習を進めていくことで、観戦中級者・上級者への道が開けていくと思います。

あきさねゆう
ライター、ブロガー、YouTuber。初めて見たレースは2004年のツール・ド・フランス。ひまわり畑に見とれているうちに、レース観戦にハマって十数年。レースに関するコラムが世に少なく、ならば自分で作ってしまえと「サイバナ」を開設した。今では「Cyclist」でレースリポートやコラムの執筆、国内外レースの現地観戦、Zwiftバーチャルレースへの参戦、ボイスコラムを制作する日々。つまるところ、熱心なファンである。