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ロードバイクビギナーが覚えておきたい体の痛み対策のまとめ

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体の痛み緩和術<8>
ロードバイクビギナーが覚えておきたい体の痛み対策のまとめ

 ロードバイクに乗って生じる体の痛みは、特定の部位に過度にストレスがかかってしまった結果として生じます。お尻が痛い、手の平が痛いと、人によって異なると思います。そして、こうした痛みはサドルを少し上げた、下げたといったように、わずかな差で生じることもあり、様々な痛みを経験する人もいます。特にビギナーの場合は、ロードバイクに必要な筋肉が備わっていないので、どこかしら痛みが出やすいと言えます。嫌な思いをしないためには知識が必要です。連載の最終回では自転車系YouTuberであり、理学療法士でもあるTOMI氏が指摘する3つのポイントを紹介します。

※本連載はあくまで参考として紹介するものであり、痛みが強い場合などは医療機関の受診をオススメします。

自転車系YouTuberであり理学療法士でもあるTOMI氏(左)が指摘する3つのポイントを紹介

ポイント① 3点荷重を意識する

 1点目が、ロードバイクに乗車する際は、サドル、ペダル、ハンドルの3点に荷重をかけることを意識することです。ビギナーの場合はサドル、ハンドルの2点に荷重をかけがちです。そのような状態が続けば、お尻や手の平などにストレスがかかり痛みが生じてしまいます。

 乗り手が上級者であっても、ゆったりと漕ぎ続けるようなサイクリングだと、サドル、ハンドルの2点に荷重がかかりやすくなり、お尻や手に負担がかかりやすく痛みが生じることもあります。ポタリングと呼ばれる、ゆったりとしたサイクリングでは、ペダルへの荷重が少なくなりがちですから、体の痛みは覚えやすいと言えそうです。

 時折、ペダルに体重をかけてペダリングをする、立ちこぎ(ダンシング)を取り入れる、乗車中に姿勢をこまめに変えるなど、工夫をして痛みの発生を防ぎたいところです。

ポイント② 極端なポジションになっていないかを確認

 2点目が、大前提として、サドルが高すぎたり、低すぎたりしていないことです。極端な乗車ポジションになると、ビギナーであろうと上級者であろうと、様々な部位が痛んできます。サドル高は下表のように様々な痛みを誘発する原因となります。

サドルが高すぎる サドルが低すぎる
・腰
・膝の裏側
・手の平、腕(ハンドルとの落差が大きい場合)
・肩、首(ハンドルとの落差が大きい場合)
・腰
・膝の表側
・お尻

 ロードバイクのサドルが高すぎて怖く感じるからといって、ママチャリ(軽快車)のときのように極端にサドルを低くセッティングしてしまったり、太ももを使って頑張ってこいでしまったりしてしまうと、体の痛みにつながります。また、ビギナーがプロロードレーサーのようにハンドルを低く、サドルを高くしてしまうと、乗車時に体の痛みが発生することになります。

 サドルの高さは適切でも、ビギナーの場合、ハンドルとサドルの落差が大きすぎると、体幹が足りず、ハンドルにもたれかかるように乗ってしまうことがありますから、その場合も腕に痛みが生じてしまいます。適切な乗車姿勢に近づくには、ロードバイクに乗り慣れて体幹をつける、筋肉トレーニングで補うなどが必要になるということも知っておきましょう。ロードバイク乗車時に必要な筋肉が十分に備わってこそプロロードレーサーのようなポジションでも乗りこなせるのです。

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ポイント③ お尻の筋肉を使ったペダリングを意識

 3点目が筋肉を有効活用することです。上記に示した体幹をつけることもその一環ですが、それに加えて、疲れにくいお尻の筋肉(大臀筋)を主体に使ったペダリングを覚えて実践することが重要です。ビギナーにありがちな太もも(大腿四頭筋)を主体に使ったペダリングを続けると、腰や膝の表側に痛みを生じる場合があります。もちろん、ペダリング時には、膝が外側を向いてガニ股ペダリングになったり、内側に向いてしまわずに、真っ直ぐに踏み下ろすペダリングをすることが基本となります。

下腹部(腹筋)に力を入れた状態で脚の付け根(股関節)から脚を動かしたペダリングを意識すると大殿筋を使っている感覚を得やすくなります。ペダリング時に下からも引き上げる感じでペダリングをするとさらに大殿筋を使いやすくなります

痛みの原因に敏感になろう

 最後に本連載では、様々な部位の代表的な痛みの原因と対策についてとりあげてきました。ロードバイクはわずかなポジションの変更でも体に痛みが生じることがあります。痛みの発生を完全に防ぐのは難しいですが、上記の3つのポイントを押さえるだけで、自ら招いてしまう痛みは減らせるはずです。

 また、今抱えている痛みばかり目を向けて対処しようとすると別の部位が痛む可能性もありますから、様々な部位に生じる痛みの原因を知っておくのが良いでしょう。