2022.7.11
ロードバイクユーザーを悩ます体の痛み。手、首、肩、腰、尻、膝など、痛みを覚える箇所は人様々ですが、体の痛みを訴える人は少なくありません。乗り慣れていないビギナーほど悩みは深いと思われます。そもそも、なぜ、ロードバイクに乗ると痛みが生じるのでしょうか。痛みを和らげるにはどうしたらいいのでしょうか。自転車系YouTuberであり、理学療法士でもあるtom's cyclingのTOMI氏に、痛みの原因から対応方法までを聞きました。初回はお尻の痛みの原因と対策について取り上げます。
※本連載はあくまで参考として紹介するものであり、痛みが強い場合などは医療機関の受診をオススメします。
ロードバイクにまたがり続けたときに生じるお尻の痛み。様々な原因が考えられますが、多くの場合、サドルに過剰に体重がのったことで生じる痛みです。
ロードバイクにまたがった際、体との接点は、通常、ハンドル、サドル、ペダルの3点になります。この3点のうち、ハンドルとサドルの2点にかかる負担が多くなれば、それがストレスとなり、お尻や腕の痛みにつながっていきます。3点に分散させればその分、痛みは生じにくくなります。
初心者の人ほど、サドルに体重をのせてしまいがちで、時間が経つほどに、お尻にストレスがかかりそれが痛みにつながっていきます。
そもそも、お尻の痛みが生じにくいロードバイクの乗車について考える際、乗り方のコツがあります。上半身は腕ではなく、腹筋・背筋をはじめとした体幹を使って支えつつ、ハンドル、サドル、ペダルの3点に荷重をかけて乗ることです。こうした乗り方を意識し、実践していくことで、痛みは生じにくくなります。
体幹を使うという感覚がわかりにくい場合は、サドルにまたがり、上半身をゆっくりと前に倒しつつ、ハンドルを手に添える一歩手前の状態をキープしてみてください。この状態は、体幹を使って上半身を支えている状態になります。常に体幹を使って上半身を支えている状態が正しい乗り方です。
ちなみに、低速でゆったりと走るポタリングの場合、ペダルに荷重をかける時間の割合が低くなりますので、乗り慣れている人でも、お尻に痛みが生じやすくなります。乗車時は時折、立ちこぎ(ダンシング)を取り入れたり、段差があるようなところは抜重をしたりして、お尻で衝撃を直接受け止めないなど、小まめにお尻への負荷を減らすといいでしょう。
体幹を使いつつ、ハンドル・サドル・ペダルの3点に荷重を乗せた状態でも、お尻に痛みが生じる場合は、サドルが低い可能性が考えられます。サドルが低い場合は、サドルの高さを調節することで、痛みの緩和が期待されます。
ただし、サドルを上げすぎれば、また別の痛みが生じることになるので、適度な高さにすることが肝要です。その際の目安となるが、「股下(cm)×0.875」という数式で求められる値です。算出した数値は、BBセンターからサドルの上面までとしましょう。あくまで一般的な目安なので、このサドル高から多少の上下は生じることが考えられますし、本当に自分にあった高さを求めるのであれば、プロのフィッティングサービスを受けることをオススメします。
お尻の痛みとして、もうひとつよく挙げられるのが尿道を圧迫した痛みです。骨盤を前傾させた乗り方になると、尿道が圧迫されてしまします。骨盤の前傾角度は背骨の硬さによって個人差が生まれる部分ですので、痛くなりやすい人とそうでない人が分かれやすい部分です。痛みを感じる場合は、尿道を圧迫しない穴空きサドルを活用するなどサドルで調節するのが良いかと思います。
最後にお尻の痛みとして、圧迫による痛みではなく、擦れによる痛みが生じる場合があります。自分の座骨幅に合わない、サドル幅が広いサドルだと、ペダリング時の脚の上下動によって擦れてしまうことがあります。擦れによる痛みがある場合は、座骨幅が合っていないことも考えられます。座骨幅を測定してくれるショップで相談してみることをオススメします。
ロードバイク乗車時は上半身を体幹で支えています。上半身を支え切れないと、サドルへ荷重してしまう場合があり、結果的にお尻が痛くなります。上半身を支えるためには体幹トレーニングが必要です。トレーニング方法としては、腹筋やプランクなど様々にありますが、ここではハンドニーという方法を紹介します。
ハンドニーは四つん這いになり、お腹を軽く凹ませて背筋をまっすぐ保つようにします。その状態から右手と左足を伸ばし、次に、左手と右足をペアにして伸ばします。それぞれ10秒から30秒同じ姿勢を保ったままにします。
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