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クロスバイクの選び方

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ロードバイクで人生が変わった男がクロスバイクを買ったワケ<1>
クロスバイクの選び方

 普段使いの通勤や通学、スポーツサイクリングまで幅広く使えるクロスバイク。スポーツ用自転車の最初の1台として選択する方も多い車種ですが、それだけに選び方や乗り方がよくわからないという声も。同連載では、ロードバイク歴10年以上のベテランでありながら、いま改めてクロスバイクに乗り始めようとしているサイクリストが、ビギナー目線でクロスバイクの選び方と活用について解説します。

目次

ロードバイク乗りがクロスバイクを買う理由

 私の名前は宮崎薫。都内でWeb関連のソリューションを手掛ける企業に勤めるサラリーマンだ。そんな私のもっぱらの楽しみはロードバイクでのサイクリング。暇さえあれば、週5~6日は時間を見つけてサドルにまたがる日々を送っている。

 そんな私も気づけば30代中盤に突入した、働き盛りの中堅会社員。結婚に伴う生活の変化や仕事量の増加で、自転車を始めた頃に比べ圧倒的に自転車に割ける時間が少なくなってきた。

 そんな折、突然会社からオフィス移転の発表があった。

 移転すると自宅から向かう際には電車の乗り換え回数が増え、通勤時間が伸びることは必至。どうしたものかと思案した私は「自転車通勤」を思い付いた。自転車であれば、駅までの歩き、オフィスビルまでの移動などが快適になるうえ、なにより少しでも身体を動かす時間に充てられるのではないか。会社の移転は、結果的に私にとってラッキーな展開となった。

軽快車でも悪くないが…

 自宅には軽快車はある。しかしこれは妻の所有物であり、私が自在に使えるものとは言い難い。

 読者の中にはこう思われる方もいるだろう
「もう1台軽快車を買えば?」
「だったらロードバイクで行けばいいのでは」と─。

 たしかに、軽快車は町中の移動において“最強”といっても過言ではない。荷物も簡単に運べるうえに屋外に駐車しておいてもサビにくく、スポーツ用自転車と違って別途ロック等を用意するといった細かい手間もない。基本的に必要な機能が最初から備わっているため、移動・駐輪といったプロセスにストレスがほとんど無い。

 ただこの“最強”に弱点が無いわけではない。普段からロードバイクに乗る立場として言わせてもらえば、実は軽快車は名前に反してそこまで“軽快”に走ることはできない。

 一般的な軽快車の重量は16~20kg前後。それに対しクロスバイクはおおよそ10kg前後と非常に軽い。こうした重量の差に加え、実装されているギア比などをふまえると想定されている快適性に差が生じることは必然だ。

 では、ロードバイクならより快適との考えもあるが、これは盗難が心配である。オフィスビルの駐輪場には、勤務している8~9時間の間、目を離しても安心と言えるセキュリティはない。「愛車が盗難されでもしたら…」と考えると、もはや仕事どころではない。

 これらを踏まえ、私は軽快車よりもスポーティに走れるクロスバイクを買うことを決めた。

クロスバイクのメリットと特徴

 クロスバイクの“クロス”とは“クロスオーバー”。つまり「異なる要素の融合」がその名の由来であるといわれており、それらの「要素」とはマウンテンバイク(MTB)とロードバイクの融合を指しているという。つまり、異なるタイプの車体の機能を日常使い用に“いいとこ取り”した車種ともいえる。

 整理すると、

・軽快車よりも軽量で速く移動がしやすい
・ロードバイクよりポジションがラクで普段使いがしやすい
・MTBよりも細くオンロードに合わせたタイヤで舗装路が走りやすい

 その他、前かごやスタンド、泥除けの有無など、自身の生活スタイルに合わせて好みにカスタムできる要素が色々ある点も、クロスバイクの魅力の1つだ。

クロスバイクを選ぶときのポイントは?

 クロスバイクの選び方の詳細については関連記事「初めてのスポーツ用自転車 クロスバイクの選び方(2023.5.15)」の記事を参考にしていただくとして、ここでは私がクロスバイクを選ぶ上で事前に注意したポイントを軸に紹介していこうと思う。

どんなシーンでクロスバイクを使いたいか

 結論として、まず具体的な用途や目的を定めることがクロスバイク選びの一番の近道である。

 これは他の機材スポーツにもいえることだが、「その道具を使ってどういう体験を得たいか/何がしたいか」を明確にすることが一番大切である。

 極論、この内容さえ定まっていれば専門店に行き、プロのスタッフにそれを伝えればそのスタッフが最適と思われるものを紹介してくれるからだ。

 例えるなら…「クロスバイク欲しいのですが、何が良いですか?」よりも「〇〇とか〇〇したくてクロスバイクが欲しいと考えているのですが、おすすめのものありますか?」が良いという話。スペック云々よりもまずはこの「〇〇」をより具体的にしておくと店舗のスタッフさんも色々状況をふまえてオススメがし易いだろう。事前にネットで調べた情報よりも現場で扱われている情報のほうが遥かに多く実践的であるというのはよくある話だ。

身体にあったサイズのクロスバイクを選ぶ

 スポーツ用自転車は原則身体にあったサイズを選ぶ必要があり、このサイズが軽快車よりも細かく設けられている。多くの場合、クロスバイクはメーカー各社のサイトで適正身長が提示されており、まずはそこを目安に適正サイズを選ぶ形となる。ただし、あくまでこれも目安であるため、できれば実際の店舗に行って試乗することをおすすめしたい。

 ちなみに私が選んだクロスバイクはメーカーのカタログでは、身長的にMサイズが適正となっていたが、個人的に状態を起こした姿勢で乗りたいことや、サドルの高さを出さない見た目にしたいという希望もあり、Lサイズを選択した。

クロスバイクの価格相場

 「クロスバイク」にカテゴリされる製品は無数にあり、その価格設定はピンキリ。実際の金額イメージは約5万円~というのが現実的なラインと考えられる。加えて、クロスバイクをはじめとするスポーツ用自転車は車体以外にも購入が必要なアイテムが複数想定され、ここにも2~3万円程度かかるため、初めてスポーツ自転車を購入する場合は予算の立て方に注意しておきたい。

できればトレンドも意識したい

 このあたりは実際に購入にあたって専門店スタッフの方に色々と話を伺った。やはり直近の大きなトレンドは「ディスクブレーキ」だ。近年ロードバイク界隈で話題となったリムブレーキからディスクブレーキへの移行がクロスバイクにも広がっており、購入に訪れたショップでもディスクブレーキ搭載の自転車が多く並んでいた。

ディスクブレーキに関する詳細はこちら: 「初めてのスポーツ用自転車 クロスバイクの選び方」

 このディスクブレーキ導入がMTBにおいて先行していることからもわかるように、従来のリムブレーキよりも強力な制動力を発揮し、悪天候にも強いといった特徴がある。ただし、ディスクブレーキとリムブレーキは構造が根本的に違うため、一部の特殊な車体を除き、互換性がないので注意が必要だ。

 こうしたポイント以外にもトレンドは変化しているので、購入時にはこうしたトレンドについてもスタッフに尋ねながら参考にすると良いだろう。

クロスバイク車体以外にも必要なアイテム

 前述したように、スポーツ自転車は車体以外にも購入が必要なアイテムがいくつかある。これらの装備品が付属するのかどうか、購入時に確認すると良いだろう。

【必須】ヘルメット

 連載『弁護士に聞く自転車のルールの素朴な疑問』でも取り上げられているように、2023年4月から道交法改正により自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化された。自転車用ヘルメットをお持ちでない場合は、こちらも合わせて購入したい。

参考:
Q 自転車乗車時のヘルメット着用「努力義務」がもつ本当の影響力とは?
Q ロードバイクに乗る時、ヘルメットを被るのは義務ですか?
【必須】ライト/反射板/ベル

 前後ライト(あるいは反射板)、ベルはスポーツ用自転車に関係なく、自転車が公道を走る場合の必須装備として法的に定められている。軽快車などではその多くが車体とセットになっているが、こうしたものの多くがスポーツ自転車には付属しない場合が多い。

 私が購入したクロスバイクには反射板とベルが付属していたことから、これらを使うことにした。ライトは普段ロードバイクで利用しているものを流用することにしたが、今後の利用状況によってはアップデートを検討する必要がある。通勤で、とくに夜間走行を考えた場合、どれだけクルマに自分の存在をアピールできるかが安全走行に関わってくるからだ。購入にあたってはショップに相談すると良いだろう

【推奨】鍵/ロック

 軽快車ではその多くが車体にロックが付属しているが、スポーツ用自転車ではこれらが付属していないケースがほとんどである。

 ちなみに私は通勤での用途を考え、チェーンタイプのロックを購入した。もちろん自転車に乗りながら持ち運ぶことが前提となるが、通勤時にはリュック等の装備が前提であるため、施錠のしやすさとタフさを選択ポイントとした。

【推奨】空気入れ

 基本的に自転車の空気はしっかり入れても日々抜けていく。スポーツ自転車はその性質上、タイヤの空気圧の変化が走行に非常に大きな影響をもたらす為、こまめな空気圧チェックとエアの追加が必要不可欠である。こうしたチェックは不用意なパンクリスクを軽減することにもつながるので、スポーツ自転車初購入の際には合わせた購入を推奨したい。

 今回私はすでに利用しているものがあるので、購入には至らなかったが、購入にあたっては空気圧をチェックすることができる機構がついたものを選ぶことと、購入するクロスバイクのバルブの形が購入するものと合った規格のものか、よく確認してから購入すると良いだろう。

【推奨】スタンド

 スポーツ用自転車はスタンドが付属していないことが多い。これは走行を目的とした自転車においてデットウェイトとなるためである。ロック機能もそうだが、スポーツ用自転車は駐輪の概念を削ぎ落としていることが多く、スポーティなものほどその傾向は顕著だ。

 とはいえ、自宅や出先の駐輪環境や、利用用途を考えるとスタンドが必要となるシチュエーションは多いので、その必要性を考えた上で選択すると良いだろう。

いよいよクロスバイクを購入

 様々なクロスバイクに対し吟味を重ね、選んだ1台の決め手は、アップライトなポジションに合うMTB由来の風格。ディスクブレーキが生む制動力や今後のカスタムが楽しみなオプションの数々。

 これからどう自分仕様にカスタムしていくのかを考えると、楽しみで仕方ない。

<次回に続く>
文: 宮崎薫(みやざき・かおる)

夢破れた20代後半、友人に誘われる形で始めたロードバイクがきっかけで人生が激変。変わる体質、減る体重、高まる自己肯定感に後押しされ、就職→大手広告代理店への転職→憧れの女性との結婚に成功するという自転車サクセスストーリーを地で行く30代。最近は仕事も忙しく充実しているが、以前ほど自転車に時間が割けないジレンマに陥っている。

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監修: 松尾修作(まつお・しゅうさく)

10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体「Cyclist」の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在はYouTubeチャンネル「サイクリストTV」でナビゲーターを務めるほか、自治体の自転車施策プロデュース業務を担当。

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