2019.2.15
ロードバイクは基本的には雨天時は乗らないものです。滑りやすくて危険ということもありますが、そもそも不快ですしね。ブルベという長距離をひた走るライドとか、レースに出場する方は雨天決行もあるものの、趣味でのサイクリングであれば、「雨天時は走らないでおく」というのは賢明な判断です。
とはいえ、出先でにわか雨に降られるとか、予報が外れて水浸し…というハプニングにはいつかどこかで見舞われるでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、雨の中を走らなくてはならないケースもあるのです。
そんな雨天時走行の注意点をまとめてみました。
雨天時は、びっくりするほどブレーキの利きが悪くなります。雨天時の走行のコツは「スピードを控えめにする」に限ります。利きにくくなる理由は、リムブレーキの場合、濡れたブレーキシューと濡れたリムが摩擦を起こしにくいことが大きく、そのせいでブレーキレバーを握りしめているのに、ホイールが空転してしまいます。
感覚的な言い方になりますが、制動距離は通常時の2倍かそれ以上かかるイメージですね。普段のノリでブレーキをかけると、狙った場所で止まれませんのでご注意を。
まあ、昨今急激に普及し始めているディスクブレーキでしたら、雨天の影響もリムブレーキほどは受けにくいそうですが、ディスクだからといって飛ばしてOK…ではありません。ブレーキが利いたところで、タイヤがグリップを失えば転倒してしまいますからね。
よって、雨天時はスピードを控えめにして、いつもより早めにブレーキを作動させるのがオススメです。
濡れた路面はとかく滑りやすいですが、なかでも特に危険なのが金属面。具体的にいうと、マンホールとグレーチングといった蓋系です。アスファルトやコンクリート面はまだタイヤはグリップしてくれますが、濡れた金属はツルツルして非常に滑りやすい。靴で歩くときも、雨天時はマンホールを無意識に踏まないように避けますよね? 自転車でも同じことが言えます。金属面以外では、横断歩道などの塗装面もなるべく避けたほうがいいでしょう。これも滑りやすいです。
そんなことを意識して路面を見ると、「走るとこがない!」って気分になってしまいそうですね。ですので、完全に踏まないのは不可能だとしても、不可抗力でマンホールや塗装面を通過しなくてはならないときは、バイクを傾けずに真っすぐ通過することを心がけてください。あと、ペダリングやブレーキングも止めましょう。
上記以外の注意点もいくつか挙げておきます。
雨天時はただでさえ視界の確保が大変。アイウェアをかけていると、レンズ面が濡れて視界がぼやけてしまうことがあるでしょう。車のフロントガラスと違って、ワイパーがありませんからね。筆者がやるのは「いっそ、アイウェアを外してしまう」です。そうすることで、顔に水しぶきはかかるかわりに視界は開けて見やすくなります。度付きレンズでなければ有効です。
ただ、アイウェアを外してしまうと顔にモロに雨飛沫がかかってきますね。これを多少なりとも食い止めるのに便利なのが「サイクルキャップ」でして、帽子のツバの部分が、雨が目に入るのを防いでくれます。見た目以上に効果があります。
自分の視界確保という意味ではなく、周囲に自分の存在を認識してもらうための行為ですね。明るい時間帯であっても、前後ともに点けておくのが賢明です。こちらの視界が悪いのと同様に、周囲の視界条件も悪いということを意識しておきましょう。
雨を好む人はいませんし、濡れたくないので誰しもどうしても早足になります。そして「このスピードなら信号無視しても許されるだろう」とか「相手が気を利かせて徐行してくれるだろう」といった希望観測のもとに無茶な行動をとりやすい。事故が起きやすいのはまさにそういう瞬間でして、サイクリストとしては「通常なら起きない行動が起きやすい」と意識し、とっさの反応がとれるようにいろいろなシーンでセーフティマージンを多めに確保しておきましょう。
最後に、そもそも雨天に遭遇しにくいコツをば。
東京アメッシュログとかYahoo!天気などといったアプリではリアルタイムの雨雲の動きをチェックできます。数時間後の動きも予測してくれるので、怪しそうな天気でのサイクリングではこまめにチェックしておきましょう。これでだいたいの雨からは逃げ切れるものです。
ゲリラ豪雨とか突発的な雨は事故のようなもので、避けようがありません。そんなときのために輪行バッグを持っておくのも一つの案です。駅が比較的近くにある…が条件ですので、ヒルクライム中の雨はどうしようもないですが、さっと駅に逃げ込めるエリアを走っているときはかなり助かります。
ということで、雨天時の走行では、
を心がけてください。
写真・文/中山順司
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