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Q, 達人・山下さんお気に入りのキャンプツーリングスポットは?

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達人に聞く!自転車キャンプツーリングQ&A<6>
Q, 達人・山下さんお気に入りのキャンプツーリングスポットは?

 国内外問わず、自転車キャンプで数多く旅してきたトラベルライターの山下晃和さんに、お気に入りのツーリングスポットを尋ねてみました。

沖縄のやんばるエリアにある福地川海浜公園キャンプ場の海が見える芝生サイトにて
Q 達人・山下さんお気に入りのキャンプツーリングスポットは?
この記事のポイント

自転車キャンプツーリングは飛行機を使えば行動範囲が広がる

山下さん:キャンプツーリングのスキルを身につけて、経験値が上がって来たら、挑戦してほしいのが、飛行機輪行を含めたキャンプツーリングです。自分の愛車を一番好きな景色の中に置いて、テントから眺められるのは自転車キャンプツーリングならではの特権です。自転車であれば、日本国内だけでなく海外でもキャンプツーリングが可能です。

 僕が最もオススメする、飛行機輪行で行けるキャンプツーリングスポットは、国内であれば沖縄です。オートバイクやクルマを使ったキャンプの場合、沖縄へ行くにはフェリーを利用しなければならず、かなり時間がかかってしまいますが、自転車の場合は飛行機に載せてしまえばあっという間です。

 沖縄は一年を通して衣類が少なくて済み、厳冬期用の寝袋も必要ありません。フルメッシュのテントや簡易シェルター、もしくはハンモックでもまったく問題ありません。

沖縄は舗装路もグラベルもオススメ

 沖縄本島はどこもアップダウンが少なく、南北に約135km、周回だと約270km。西側は国道58号線がメインになりますが、東側は車通りも少なく、名護市内には国道にサイクリングロードがあり、いわゆる名護市以北の「やんばるエリア」にはグラベルも点在しています。

名護市内の国道58号線にはクルマも徒歩も入れない、自転車専用道路がある
今帰仁村周辺の海沿いにもサイクリングロードがある

 さらに、名護以北はほとんど信号が無いのでサイクリストにとっては天国です。上級者向けの「シングルトラック」(一人が通れる幅の道)に近いグラベルや、サトウキビ畑の中にある未舗装路など、路面も景色もバラエティに富んでいて走っていて飽きません。

亜熱帯のジャングルのような道。最終地点には滝があります
両脇にサトウキビ畑が広がるグラベルロード
本州ではなかなか観られない植生の木々が拡がる

 もちろん海沿いには気持ちいい舗装道路が多くあるので、ロードバイクでもクロスバイクでも楽しめるでしょう。脚力に自信がある人は、那覇空港から走り出して90kmほど漕げば、名護エリアのキャンプ場に到着できます。

 僕は何度もこの道を走ったことがあるので、最近はバスで“ワープ”しています。那覇市内のクルマ通りの多い道を避けられるだけでなく、時間短縮にもなります。積載する荷物が多い場合は厳しいかもしれませんが、空港から名護までバス輪行の料金が2,300円で、所要時間は約1時間40分です。羽田空港から那覇空港までのフライト時間が2時間40分なので、羽田から出て4時間20分で青い沖縄の海を横目に自転車旅を楽しむことができます。

沖縄料理はもちろん、コーヒー、スパイスカレーがアツい!

 また沖縄は食文化も独特で、和出汁のスープに中華麺を組み合わせた沖縄そば(ソーキそば)は絶品です。南北でそばの太さにも違いがあり、出汁の種類も魚介類か豚肉かで変わってきます。価格も600円から800円と非常に安いので、何軒かはしごする「食べ歩き」ならぬ「食べ漕ぎ」もできます。那覇市内には有名店も多く、北に行けば行くほど地元の人しか知らないお店が増えてきます。沖縄そばの乾麺はスーパーで一袋100円前後と安価で、そこそこ保存が効くのでお土産にも最適です。

僕が沖縄で1番好きな、恩納村の「なかま食堂」の沖縄そば

 また、沖縄は「コーヒーベルト」にギリギリ入っていて、国内で唯一のコーヒー豆が収穫できます。北部には美味しい沖縄産コーヒーが飲める店もあるので、コーヒー好きのサイクリストには、ぜひトライしてみてください。名護エリアにも自転車で立ち寄れるコーヒースタンドがあります。「ちんすこう」というラードを使った沖縄銘菓はコーヒーとベストマッチです。

 そして、ここ最近じわじわとブームが来ているのがスパイスカレー。やんばるエリアに世界各国のカレー屋が増えており、沖縄で取れるスパイスやリーフを利用したインドカレーやスリランカカレーは一度食べたらクセになります。都内であれば2,000円近くしそうな美味しいスパイスカレーが、やんばるエリアなら1,000円から1,500円で食べられます。

 公共交通機関では行きにくい場所も多いので、一般のお客さんはレンタカーかレンタサイクルしか行く方法がありませんが、自分の自転車があれば、アクセスも簡単。腹ごなしを含めて“カレーライド”ができます。

今帰仁にある「ハーミネース」のスリランカカレー。この彩り!!
こちらは本部町にある「スーリヤ食堂」のインドカレー。大きなパパド(豆のせんべい)が特徴的

キャンプ場もリーズナブルでクオリティが高い

 やんばるエリアにはキャンプ場も多く、ビギナー向けの「屋我地島キャンプ場」、ヒルクライム好きにオススメの「乙羽岳森林公園」、自然がいっぱいの「福地川緑地公園キャンプ場」が“沖縄やんばる3大(自転車乗り向け)キャンプ場”です。どこもきれいな水場があり、自転車のソロキャンプは1泊1,000円です。とくに屋我地島キャンプ場はビギナー向けで、周辺にアップダウンがほとんど無く、近くに古宇利島があるので海がキレイで、しかもコンビニが5分圏内にあるので買い出しもラクです。

乙羽岳森林公園キャンプ場から眺める今帰仁の夜景

 沖縄は、キャンプツーリングをしたいサイクリストにとって最高の場所であることがイメージできたと思います。西に位置するので日の入り時間が東京に比べると30分以上遅く、テントの設営に時間の余裕がもてるという点でもキャンパーにとっては有り難いです。

やんばるの海沿いの道から眺める夕景

 沖縄に行かれる際はぜひ、自転車でのキャンプツーリングにチャレンジしてみてください。

回答者: 山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属のモデル。自転車、バイク、クルマ、登山で旅をして記事を書くトラベルライターとしても活動。主にサイクルマップ、自治体の冊子、WEB、雑誌などに寄稿。海外30カ国以上を自転車で旅した経験を活かし、自転車とキャンプをテーマにした旅フェス「BIKE&CAMP」の実行委員長となる。自転車キャンプツーリズム協会(BACA)理事。JACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)評議員。

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