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Q ヘルメットを選ぶ上で、商品の安全性を保証する認定基準などはあるのでしょうか?

News / Column弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問

弁護士に聞く自転車のルールの素朴な疑問<19>
Q ヘルメットを選ぶ上で、商品の安全性を保証する認定基準などはあるのでしょうか?

ヘルメットに貼られているシールの意味は?

Q ヘルメットを選ぶ上で、商品の安全性を保証する認定基準などはあるのでしょうか?

A 4月1日から、改正道路交通法の施行により、従来は13歳未満の児童や幼児を対象としていたヘルメット着用の「努力義務」が拡充され、自転車利用者全員に対してヘルメット着用の努力義務が課せられるようになります。

 ヘルメット着用によって事故時の頭部への悪影響を減少させる効果があることは知られており、着用は有用なものです。そこで、実際にヘルメットを購入するにあたって気を付けておきたいことをまとめてみました。

 市販されているヘルメットには、いろいろな種類の規格があり、それらの規格の準拠製品は、規格が定めた一定の安全性を確保した製品ということができます。ヘルメットを選ぶ際には、安全規格を確認しましょう。また、自転車用ヘルメットと、作業用ヘルメットやスノーボード用ヘルメットなどは、異なる規格ですので、自転車用を選びましょう。

 自転車のヘルメットの規格には、「JIS規格」(日本の国家規格)、「SG規格」(一般財団法人製品安全協会が定める民間規格)、「CE規格」(EU加盟国の域内規格)、「JCF公認」(公益財団法人日本自転車競技連盟が定める民間規格)などのいくつかの規格があり、衝突安全性、あご紐の強度、材質、形状など各種の安全項目が定められています。

 主な規格の安全性能の項目は以下の通りです。これら項目からは、大きな違いがないことがわかります。

規格JIS規格JCF公認CE規格
衝突安全 試験11.5mの高さから平面アンビルへ落下させる1.5mの高さから平面アンビルへ落下させる1.5mの高さから平面アンビルへ落下させる
試験21.06mの高さから半球(半径50㎜)アンビルへ落下させる1.1mの高さから縁石形アンビルへ落下させる
性能衝撃加速度 2,940m/s2以下衝撃加速度 2,940m/s2以下衝撃加速度 250G(2,453m/s2)以下
あご紐強度 試験3あご紐に4㎏の錘を付けて600㎜落下させるあご紐に4㎏の錘を付けて600㎜落下させるあご紐に4㎏の錘を付けて600㎜落下させる
性能あご紐最大伸び35㎜以下あご紐最大伸び35㎜未満あご紐最大伸び35㎜未満
※ SG規格は、公表されていませんがJIS規格に準じていると考えられます。

 また、これらの規格にはそれぞれ特徴があり、JIS規格、CE規格は、試験により製品の安全基準に適合することを認証するものですが、それに加え、SG規格は製品の欠陥による人身事故の場合の賠償制度が付帯していますし、JCF公認は自転車競技での使用が認められます。これらのほかにも、CPSC規格(アメリカの大統領直属の独立政府機関が定める企画)、SNELL規格(アメリカのスネル記念財団が定める民間規格)などがあり、さらに厳格な安全基準を定めています。

 このように、まずは規格に準拠した製品を選ぶことで最低限の安全性が保証されていると考えることができます。その上で、補償の有無、競技への参加の可能性、より高い安全性を求めるかどうかなどを考えて購入するのが良いでしょう。

回答者: 本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

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