TOP HOW TO 弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<4>
自転車の防犯登録シールは絶対に貼らねばなりませんか?

News / Column弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問

弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<4>
自転車の防犯登録シールは絶対に貼らねばなりませんか?

 これってあり? なし? こんなときはどうする? 自転車に乗っていて、ふとした疑問を抱いた経験はないでしょうか。ここでは自転車にまつわる交通ルールを中心に、Q&A方式で弁護士が素朴な疑問に答えていきます。

自転車愛が強すぎて余計なシールは貼りたくないという気持ちはわかりますが……果たして。

Q 自転車の防犯登録シールを貼るのがどうしても嫌です。盗まれてもいいから貼りたくないのですが、これってダメですか?

A 防犯登録は、自転車利用者の申し出に基づき登録されますので、申し出をしない限り、強制的に登録されることはありません。また、登録しなくても罰則はありません。しかし、自転車の防犯登録は、自転車を利用する者の義務ということになっています。各都道府県ごとに、防犯登録を付与する団体(東京都の場合には一般社団法人東京都自転車商防犯協力会)が指定されており、この団体が、自転車の利用者から申出を受けて利用者の氏名や住所などを収集して、管轄の警察にその情報を通知します。

 そこで、防犯登録シールは不格好なので貼りたくないという人は、登録はしてもその後にシールをはがしてしまうということを考えるかもしれません。しかし、防犯登録には、自転車に「登録番号票を表示する」ことが含まれています。防犯登録シールをはがすことは、「登録番号票」の「表示」をしないことになるため、許されていないと考えるべきでしょう。

 そのため、防犯登録シールを貼りたくないというのであれば、自転車を“利用しないでおく”しかないと思われます。防犯登録は、自転車の利用者に対する義務ですので、自転車本来の効用のための利用ではない、例えば、インテリアとして展示するとか、販売するために保管しているとかの場合には、防犯登録を行う義務はないと考えられるからです。

 ただ、質問の趣旨からは少し外れますが、自転車を譲り受けた場合には、新所有者の氏名や住所を改めて登録しなければなりませんが、前所有者の譲渡証明書などが要求されるため、そういう書類がない場合には事実上防犯登録ができないということもあります。

回答者: 本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

この人の記事一覧へ