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高効率に走りたい場所へ!快適な高速バス輪行旅のススメ

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輪行OKのバス会社一覧も掲載
高効率に走りたい場所へ!快適な高速バス輪行旅のススメ

 『輪行』に電車や飛行機を思い浮かべるサイクリストがほとんどではないでしょうか。ですが輪行袋を抱えての駅での乗り換えやコンコースの移動で疲れてしまいますよね。そこで、今回は高速バスを利用した輪行旅をご紹介。効率よく快適に移動できる便利なスタイルです。輪行可能なバス会社の一覧も載せていますので、ぜひ最後までご覧ください!(Photo & Text by Shusaku Matsuo)

バス旅で輪行する流れをレポートでご紹介します

バスにも自転車積めます

 今回、高速バス輪行で選んだ行先は、群馬県渋川市にある伊香保です。上毛三山のひとつ、榛名山のお膝元で、言わずもがな名湯の伊香保温泉がある観光地です。電車で東京都内から向かうには駅での乗り継ぎを経て、渋川駅へ到着後、さらに路線バスで移動する必要があります。都内在住の筆者にとって決して遠くはないですが、近くもなくてちょっと行きづらい場所でした。

 しかし、高速バスを使えば直行で伊香保温泉まで向かうことができます。今回はジェイアールバス関東を利用。毎日運航している「東京ゆめぐり号」で東京駅から伊香保温泉を往復しました。読者の中には「高速バスで自転車を載せることはできるの?」と疑問に思う方がいるでしょう。確かに禁止しているバス会社もありますが、規定に則った状態であればOKというケースも意外とあります。(記事下段で紹介します)

旅の拠点はバスのターミナルである東京駅八重洲口南から
ジェイアールバス関東の場合、乗車券のほか有料手回り切符を買う必要がある。要事前予約

 ジェイアールバス関東の場合、全ての路線で輪行できるわけではありません。東京ゆめぐり号は自転車を含むスキーやスノーボードなどの大型荷物を事前に予約のうえ、乗車券とは別に有料手回り切符を購入することで積載OKとなります。料金は荷物1個につき500円です。

 旅の出発の地は東京駅八重洲南口。日本全国にバスが行き交うターミナルです。筆者は高速バスに乗車するのが初めてでしたが、電光掲示板の情報はわかりやすく、すぐに東京ゆめぐり303号を見つけることができました。乗車の時間が近づくと、スタッフの方がバスの荷室のドアを開けてくれます。ここに輪行袋に収納した自転車を自分の手で載せます。ディレーラー側を上にして、丁寧に…。飛行機の輪行では荷物を預けた後の扱いがちょっと心配ですが、自分の手で積めるので安心しました。

ジェイアールバス関東の場合、乗車券のほか有料手回り切符を買う必要がある。要事前予約

 乗車時間は2時間半ほど。途中、上里サービスエリアで休憩を挟みつつ、バスは草津温泉まで向かいます。伊香保温泉は途中下車することになります。車内はトイレもあり、各座席に電源も完備。遠足気分で窓に流れていく景色を楽しみつつ、快適に過ごしました。

乗車した「東京ゆめぐり303号」の車内。最後部にはトイレ付き
各座席に電源があるので、スマホは充電満タンで現地に到着

バスを降りればすぐ観光地、即ライド

 バスはスムーズに高速道路を進み、定刻通りに伊香保温泉に到着。積んである自転車を再び自分でピックアップして草津へ向かうバスを見送ります。振り向けば石段街があり、湯けむり立ち上る様はまさに温泉街という情緒ある景色です。

バス停のすぐ目の前が湯けむり立ち登る伊香保温泉
観光客で賑わう伊香保石段街

 すぐ湯に浸かりたいのもやまやまですが、サイクリングが先です。伊香保石段街の目の前には県道33号があり、すぐに榛名山のヒルクライムを楽しむことが可能です。輪行袋に入れた自転車を組立て、ウェアへと着替えてヒルクライムに備えます。なお、バス停前には市が運営する観光案内所があり、コインロッカーも完備。荷物をロッカーにしまい、身軽になったらいざ榛名山ヒルクライムのスタートです。

バス停のすぐ側には観光案内所が併設
コインロッカーも完備。コイン返却式でした

 県道33号のヒルクライムは約8km。比較的緩い勾配のルートなので、ロードバイクビギナーでも上りきることができるでしょう。ワインディングロードらしい5連続ヘアピンコーナーや、渋川市を一望できる高根展望台が道中にあり、飽きを感じさせずにあっという間にゴール地点へと到着しました。なお、上りきった先を少し下っていくと榛名湖が現れます。湖畔にはレストランもありますので、一息ついてもいいかもしれません。

チャレンジングな榛名山の5連続ヘアピンコーナー
渋川市を一望できる展望台も
余裕があれば足を伸ばして榛名湖まで来てみてもいいかもしれません

 来た道を戻り、ダウンヒルを終えれば待ちに待った温泉タイムです。石段街には宿も多くありますが、日帰り温泉も点在しています。階段や坂道が多い地なので、自転車を抱えての移動は少々大変ですが、ここの名湯は堪能すべきでしょう。また、温泉まんじゅうや、味の染みた玉こんにゃくといったグルメも盛りだくさんです。

日帰り温泉も数多くあります
石段街で売っていた玉こんにゃく。1串100円

 この日の滞在時間は約4時間。超弾丸ツアーでしたが、乗り換えも無く、快適に観光ライドを楽しむことができました。今回利用したJRバス関東に限らず、高速バスを使ったサイクリングのメリットを挙げると

・座席を予約するので必ず座って移動できる

・荷物の収納スペースに自転車を積むため車内では身軽

・新幹線や特急を使った移動より比較的安価

・電車で行きづらい場所へダイレクトに向かうことができる →乗り換えが発生することが少なく、輪行袋を抱えて歩く時間も減少

 以上のような利点があります。高効率に巡ることができるのもバス輪行の魅力だと思います。行き先はバス会社によって限られていますが、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。きっと新しいサイクリングの魅力を発見できるはずです。

バス輪行なら効率よく、中身の濃い輪行旅ができるのでおすすめです!
バス会社 主な運行地域 URL 条件
JRバス関東 東京・新宿⇔草津温泉
新宿・東京⇔佐野
新宿⇔佐久・小諸
東京・新宿⇔館山・安房白浜
https://www.jrbuskanto.co.jp/bus_info/notice.html

http://www.jrbuskanto.co.jp/topics03/38.html
・輪行袋に収納できれば積み込み可
・積み下ろしは利用者自身で行う
・有料手荷物料500円
・2階建て車両は対象外
・高速バスネットもしくは電話にて予約のうえ、当日支払い
アミイファクト 関東⇔関西
関東⇔名古屋
関東⇔新潟
名古屋⇔新潟
仙台⇔新潟
https://www.amy-go.com/ ・事前予約制
・追加料金1,500円
・バス1台に付き自転車2台まで
・ハードケース不可
・1辺1.5m以下かつ3辺合計2.3m以内
・両輪を外したもののみ可
(ただし、折りたたみ自転車の車輪は輪行袋に入れば外さなくてもOK)
・積み下ろしは利用者自身で行う
・WEBでの申し込み後、別途電話で申し込み
・自社サイトからバス座席を予約された方
JR四国バス なんごくエクスプレス号(松山⇔高知)
観音寺エクスプレス号(観音寺・坂出⇔神戸・大阪)※自社運行便のみ
https://www.jr-shikokubus.co.jp/event/2016/01/post-3.html ・観音寺エクスプレス号は無料、なんごくエクスプレス号は300円
・4列シートバスは2台、3列シートバスは1台まで
・輪行袋に収納かつ3辺合計が2.5m以内
・積み降ろしは利用者自身で行う
・事前予約制
・電話またはバスセンターにて申し込み
九州産交バス 熊本⇔九州各地 https://www.kyusanko.co.jp/sankobus/qa/ ・事前予約必要なし
・追加料金も無し
・輪行袋に収納
・バスによっては、トランクがない、または小さい場合があり、積み込めない可能性も有る
豊鉄バス 豊橋⇔京都 https://www.toyotetsu.jp/ufile/library/50_file.pdf ・バス1台につき最大5台まで
・事前予約制
・追加料金は無し
・輪行袋不要(緩衝毛布の用意あり)
・一部停留所では、積載不可
・車輪着脱、または折り畳みが可能な自転車に限る
四国高速バス 高松⇔東京・横浜
高松⇔神戸・大阪・京都
高松⇔名古屋
高松⇔四国
高松⇔福岡
http://www.yonkou-bus.co.jp/fqa/ ・昼便のみ対応
・事前予約は不要
・トランク状況によっては、積載出来ないことも有り
・輪行袋に収納
ウィラー 東京⇔大阪・京都
東京⇔名古屋
東京⇔仙台
東京⇔新潟
東京⇔長野
東京⇔金沢
東京⇔三重
東京⇔岡山・広島
東京⇔島根
大阪⇔新潟
大阪⇔静岡
大阪⇔広島
大阪⇔松山
大阪⇔博多
https://travel.willer.co.jp/campaign/load-a-bike/ ・事前予約が必要(専用プラン有)
・追加料金1,500円
・輪行袋に収納(前後輪外す)
・バス1台につき最大2台まで
・寝かした状態での搭載
・積み下ろしは利用者自身で行う
・バス1台につき最大2台まで(一部便、日程で除外設定あり)
西鉄バス 福岡⇔新宿
福岡⇔名古屋
福岡~岡山
福岡⇔九州
http://www.nishitetsu.jp/bus/highwaybus/guide/pet/#2 ・総重量30㎏以下、3辺合計2m以下
・事前予約の必要なし
・追加料金は無し
・輪行袋に収納
松尾修作(まつお・しゅうさく)

10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体「Cyclist」の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在はYouTubeチャンネル「サイクリストTV」でナビゲーターを務めるほか、自治体の自転車施策プロデュース業務を担当。

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