大阪府柏原市から大阪市住之江区にある人工島・咲洲(さきしま)までを結ぶ距離約26kmのサイクリングコース、「大和川リバーサイドサイクルライン」。周辺には、小さな空港やフェリーターミナルなどがあり、飽きの来ないユニークなコースです。今回のルートは少しアレンジしていますが、大半は大和川沿いの自転車道を走るため、クルマを気にせずに快適に走ることができます。全体に起伏がないコースなので、ビギナーの方やクロスバイクにもおすすめです。

オススメポイント | 大阪・関西万博の開催に伴って整備が進められたサイクリングコース。大和川沿いの自転車道を主に走るため、全体を通して起伏が少なく初心者でも走りやすいコース。コース上にトイレや休憩スポットも多く、徐々に変わっていく街の雰囲気を自分のペースで気持ちよく走れます。 |
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レベル | ★(初心者向け) |
距離 | 37.7km |
獲得標高 | 196m |
出発地 | 柏原市民文化会館・リビエールホール |
終着地 | 大阪メトロ コスモスクエア駅 |
立ち寄りスポット | 八尾空港、DiningCafe PROTIO、松原JCT道路休憩施設、大和川サイクルマップモニュメント、大和川サイクルモニュメント「廻」、大和川陶板画ストリート、THE JEWELRY |
スタートは市民文化会館「サイクリスト伝言板」に意気込みを!
コースのスタート地点は、大阪府柏原市の市民文化会館「リビエールホール」です。近鉄大阪線の安堂駅のすぐ近くにあるこの施設は、サイクルラックが設置されているだけでなく、空気入れの貸し出しやトイレを利用することもできます。また施設の1階には喫茶店がありランチや軽食、ドリンク、スイーツを楽しむことができます。

そしてここには「サイクリスト伝言板」なるものがあります。そこには、誰でも参加可能なグループライドの情報やサイクリングの感想などが自由に書かれています。訪れた際はぜひ、ライドの意気込みや感想を書いて参加してみてください。

大和川リバーサイドサイクルラインはリビエールホール前の自転車道から始まります。石川リバーサイドサイクルラインとの合流地点から始まるので、路面標示に書かれている“咲洲”(さきしま)を目指して走ります。

大和川リバーサイドサイクルラインは、大阪・関西万博の開催に伴い、自転車道上の表示の統一や一部道路の整備が行われた走りやすくきれいな自転車道です。快適なサイクリングを楽しめるとあって、この日もたくさんの人がサイクリングを楽しんでいました。

街中に飛行機?突如現れる不思議な空港
スタートから約4km地点で少し寄り道を。この辺りは大阪府八尾市という地域で、なんと住宅地の真ん中に空港が存在します。

1938年に阪神飛行学校として設置された八尾空港は、戦時中には陸軍専用飛行場になり、米軍の管理下にあった歴史を持ちます。この空港の特徴は、交差している2本の滑走路。国内でも交差滑走路を持つ空港は珍しく、八尾空港の他に東京国際(羽田)空港、新潟空港、仙台空港のみだそうです。
旅客機の定期便がないものの遊覧飛行の離発着、消防や警察、自衛隊などの災害拠点があるため、ヘリコプターの離発着など年間1万回以上の離発着がある忙しい空港です。滑走を近くから見ることができるので、休憩がてら小型飛行機の離発着を見るのもおすすめです。

クルマ好きには堪らない クラシックカーを眺めながらのランチタイム
八尾空港を後にして、サイクルラインへは戻らずにもう少し走った先にある「DiningCafe PROTIO」でランチ休憩です。以前はサイクルラックがあったのですが老朽化で壊れてしまったそうで、お店の方いわく、「空いているスペースに立てかけていいですよ」とのこと。サイクリストも温かく歓迎してくれます。

店内に入ると、様々な年代のクルマの写真やミニカーがずらりと並んでいます。そして、1960年代の実物のクラシックカーも展示されているので、クルマ好きには堪らない空間です。そうでなくても、わくわくする素敵な空間でランチをいただきます。


立ち寄りスポットが盛りだくさん!愛車のための“映えスポット”も
お腹と目が満たされたところで再び、大和川リバーサイドサイクルラインに戻ります。サイクルラインまで府道2号線を進みますが、交通量がかなり多いので歩行者自転車道を走ることをおすすめします。
大和川リバーサイドサイクルラインは、6つの市にまたがっています。それぞれの地域が独自に休憩スポットや立ち寄りスポットを提供してくれているので、それを巡るだけでも楽しいサイクリングになります。

休憩スポットにはベンチやサイクルラック、トイレがあり、大和川を眺めながら休憩できます。他にも愛車映えスポットが点在しており、22km地点にある愛車映えスポット「大和川サイクルマップモニュメント」では大和川をバックに撮影ができます。モニュメントをよく見てみると鉄製で、文字や地図が精巧にくり抜かれています。このモニュメントは金属加工で有名な大阪府堺市にあり、自然によってできたサビがどこか哀愁さを感じさせます。

大和川リバーサイドサイクルラインの“目玉スポット”とも言える愛車映えスポットが、大和川サイクルモニュメント「廻(かい)」です。「自転車」×「アート」をテーマに、堺市と大阪芸術大学の連携によって2023(令和5)年に誕生しました。モニュメントに注目してみると、小さい人型が散りばめられています。人型は自転車にまつわる動作から抽出したもので、全部で24種類あるそうです。ぜひ立ち寄った際にじっくり見てみてください。

ここからゴールまで残り15kmほど。サイクルラインから見える景色を楽しみながら走って行きます。


大阪湾が近づいてくると、突然「大和川陶板画ストリート」が現れます。これは、2001年から始まった「日本一汚い川」と言われていた大和川の再生プロジェクトの一環とのこと。こいのぼりや子供たちの絵、川魚など全長600mにわたって作品を見ることができます。

ゴール地点まであと7km。ここからは歩行者自転車道がサイクルラインになっているため、歩行者に注意しながら走ります。途中、フェリーターミナルが2カ所あります。停泊しているフェリーは、主に九州へ行く大型船です。

脱“大阪の負の遺産” これからが楽しみな「THE JEWELRY」
最後の立ち寄りスポットは元「なにわの海の時空間」で、2025年4月より「THE JEWELRY」としてオープンしたカフェ&バーです。なにわの海の時空館は2000年に開館した大阪の海と港の交流史をテーマにした海事博物館でしたが、2013年に閉館。その後長らく放置されており“大阪の負の遺産”と呼ばれていました。2025年4月に次世代型ショープラットフォームとして再スタートを切り、現在はカフェの他、オープンスペースに不定期でキッチンカーが出店しています。

ここからシーサイドプロムナードをゆったり走ると、ゴールのコスモスクエア駅です。ここからは大阪府のランドマークである海遊館や天保山大観覧車が見えます。駅前のスペースも広いので輪行することも可能です。

観光地へのアクセスも良好
大和川リバーサイドサイクルラインは、コース全体が平坦基調で走りやすい一方で少し複雑なところがありましたが、迷いやすいところにルート表示があるので安心して進むことができます。

サイクルラインからは大阪城や通天閣、大仙古墳など有名な観光スポットへのアクセスも良いので、サイクリングの起点としてもおすすめです。

父親の影響で自転車競技に出会い、高校入学と同時に自転車競技部に所属。高校在学時に全国大会へ出場、入賞を果たす。大学ではサイクルツーリズムを学びながら、実業団チームに所属しJBCFに参戦。選手活動だけでは飽き足りず自転車レースの審判資格を取得し西日本を飛び回る。大学卒業後、産経デジタルへ入社し競技活動は一時お休み中。自称・自転車に生かされている自転車オタク。
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