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関西でも開催「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」 乗って、聞いて感じた参加者の声

 大阪府河内長野市のプラザ阪下で11月20日、自転車販売店向けのオフロード自転車の試乗イベント「SBAA オフロードバイク ディーラー サミット」(主催:一般社団法人自転車協会)が開催された。関東では11月12、13日に静岡県御殿場市で行われたイベントの関西会場版。関西だけでなく東は愛知県、北陸の富山、西は九州の大分や宮崎まで、約120人のショップ関係者が集まり、各ブランドの最新モデルに試乗。知識を深める実技・座学の講座にも熱心に耳を傾けた。

e-MTB、グラベルなど、トレンドのオフロードバイクが集結

 関東会場と同様、BESV(ベスビー)、JAMIS(ジェイミス)、KONA(コナ)、MERIDA(メリダ)、MIYATA(ミヤタ)、NESTO(ネスト)、Panasonic(パナソニック)、PANARACER(パナレーサー)、SHIMANO(シマノ)、YAMAHA(ヤマハ)といった多数のブランドが出展。e-MTB(電動アシスト付きマウンテンバイク)を中心に、最新モデルのオフロードバイクの試乗車が並んだ。

ジェイミスはアドベンチャーバイク「レネゲード」に、シマノGRXを装備したモデルが登場。グラベル専用コンポにより、より多くの場面に無理なく対応できるようになったという
ネストのグラベルバイク「ガベル」はドロップハンドル、フラットハンドルを両ラインアップ。エントリー層向けの価格帯ながら、スルーアクスル、扁平ステー、チューブレスレディなど作り込んだ
パナソニックは今年100台限定で発売したフルサスe-MTBの「XM-D2」が好評で完売。リヤの変速だけでなく、ユニット内にフロント内装2段変速を装備する
ミヤタサイクルの「ロードレックス」はグラベルe-Bike。ミヤタ6車種、メリダ6車種と、合計12車種ものe-Bikeをラインアップする

 会場のプラザ阪下は河内長野駅からすぐという絶好のロケーション。モータースポーツ向けのオフロードコースだが、かつてはマウンテンバイク(MTB)のレースイベントも頻繁に開催されていた、1990年代のMTBブーム時代を知る層には懐かしいコースだ。急峻なアップダウンとコブや溝もあるダウンヒルは、e-MTBを含めた最新バイクの性能を試すのに最適なコースだ。試乗コースはタフな上り下りで試せるe-MTBコースと、アップダウンの少ないMTBコース、舗装路のクロスバイク向けコースが用意された。

知識や乗り方などの実践的研修も

 講座も関東会場と同様に、MTBプロライダーの井手川直樹選手と小笠原崇裕選手が、「初心者向け基礎レッスン」「顧客向けワンポイントアドバイス方法」「プロライダーと走るフリーライド」を実施。各回とも定員一杯の参加があり、プロライダーの実践的なテクニック解説に、ショップ関係者が真剣に耳を傾ける姿が見られた。

小笠原崇裕選手による基礎レッスン。バイクの中心に乗る感覚をつかむスタンディング練習
井手川直樹選手のワンポイントアドバイスは、コブ上の体重移動で加速するプッシュ&プルなど、実用的なテクニックをレクチャー
フリーライドでは激坂チャレンジ大会も。MTBの楽しさ・醍醐味を実体験した

 座学講座は、MTBメカニックに精通するドゥロワーの山路篤さんによる「最新情報をご存じですか? MTBメンテナンス習得事情」と、海外の自転車・e-Bike事情に詳しい自転車ジャーナリストの難波賢二さんによる「流行前のいま必要な学習 日本で成功するためのe-Bikeビジネス」が開かれた。こちらも会場は席が一杯に埋まり、講座修了後も熱心に講師へ質問をぶつける姿が見られた。

山路篤さんによるMTBメンテナンス講座
難波賢二さんによるe-Bikeビジネス講座

e-MTBはこれまでにない新たな可能性

 会場にて、参加したショップ関係者に話を聞いた。地域やショップ色、オフロード経験などさまざま立場が異なる中で、今回感じたことを率直に語ってもらった。

くわはら自転車(大阪府)桑原徹行さん

 普段はロードもマウンテンも乗ります。e-Bikeは単純に、「楽しい」という一言になるのかも知れませんね。言い表す言葉が難しいのですが、一番近いのは「ファンライド」で、「楽」ではなく「楽しい」。電動だから楽だという一言で終わらせてしまうと、ママチャリの電動と何が違うのってなってくるので。その楽しさを感じる部分は人によって違うと思うので、こういうオフロードで走ったり、道を走ったりできると、ユーザーごとの楽しさを見つけてもらえるのかなという気がします。

自転車処どてるし(滋賀県)吉本丈一さん

 MTBに興味を持っているお客様がちょこちょこ出てきたのですが、実際に自分が全く(MTBには)乗らず、組立て以外は全くできないので、いろいろ一緒に乗れるようにしていければいいなと思って今回来ました。MTBはロードではあり得ないボコボコした穴などを、どうやって乗り越えていけるのかというところが、面白いし怖い。逆に怖いし面白いですね。e-Bikeはとんでもない坂でも上がって行けるので、遊びの幅が広いなと思いました。

CYCLES NANGO(大阪府)南郷有彦さん

 MTBは1988年から乗っています。今日はe-MTBの乗り比べをしたかったので来ました。やっぱりオフロードで走らないと自転車の違いは分からないので、メーカーの方にもオフロードの試乗会をやってくれと要望していたので、今回実現してもらって嬉しいです。やっぱり一台一台違うので、乗り比べたら実際に違いがよく分かりました。ライディングスクールは、パンプトラックというのを走ったことがなかったので、今日走って難しさが分かりました。これから帰って練習しなきゃと思いました。

サイクルヒーロー 富田林店(大阪府)桑村禮光さん

 MTBは普段からかなり乗っています。南大阪界隈とか奈良の矢田丘陵とか、パノラマリゾート、ふじてん等もちょくちょく行っています。e-MTBも増えてきて、お客様から求められることも増えていますので、現状がどれほどのものかと思い来ました。乗らせて頂いて、MTBは基本的にケイデンスで乗るものなのですが、踏み込みの微妙な変化に電動が追い付いていない感じが結構しましたが、乗り方を変えるのであればe-MTBも十分いいのかと思いました。あと日本のトレイル事情として、全部を乗って走れるというところが意外と少なく、階段とかを担いで登らないといけなかったりするので、まだ難しいところはあるなと感じました。海外の使い方を聞くと、(トレイルに)行くまでを電動(アシスト)を使って、下りではもうアシストを切るという話もあって、そういう使い方ができるなら有りかなと思います。フィーリングで言うと、下りでは車重もありますし、通常のMTBよりもかなり地面に食いつくような感じがあって、面白いなと思いました。

サイクルショップコダマ ファンキーファラゴ店(大分)矢野政輝さん

 大分から日帰りで来ました。MTBは日本でブームだった頃から20年くらいは関わっています。e-Bikeが今後流行りそうなので、その前に海外の情報を持っている方の話を聞ける機会ということで来ました。e-MTBは、まずは電動アシストが付くと、非常に楽で、別の乗り物みたいな感じですね。バイク(オートバイ)のような、バイクじゃないけどバイクみたいな。ただ輪行で気軽に持ち運べないのは、自転車ツーリングもしていた人間からすると残念ですね。販売において電動アシストは年配の方がまずご購入いただいているところがあり、これから先はヨーロッパの話を聞くと女性や、さらに女性と一緒に来た男性とか、街を走っている男性が影響されていくという話を聞き、今後e-Bikeに関しては明るいんじゃないかなと思いました。

文・写真/米山一輝