TOP HOW TO e-MTBで広がるMTBの新たな楽しみ方e-MTBで広がるMTBの新たな楽しみ方<2>
体力がなくてもOK! e-MTBで行く富士山絶景ヒルクライム

How to ride and enjoy e-MTBで広がるMTBの新たな楽しみ方

e-MTBで広がるMTBの新たな楽しみ方<2>
体力がなくてもOK! e-MTBで行く富士山絶景ヒルクライム

 激しいアップダウンで、健脚サイクリスト以外を寄せ付けない絶景のヒルクラムスポットとして知られる静岡県の伊豆半島エリア。しかし、それは今や昔の話。電動アシストマウンテンバイク(e-MTB)があれば、脚力やスキルがなくても、上りも下りも楽々楽しむことができます。そんなe-MTBを伊豆の国市にあるサイクリングの拠点「MERIDA X BASE」でレンタルし、伊豆半島西部にある達磨山を目指すヒルクライムを紹介します。
e-MTBで楽ちん西伊豆ヒルクライム
この記事の内容

伊豆半島のサイクリングの拠点

  ライドのスタート地点となる道の駅「伊豆のへそ」内には地元の食材やグルメを扱う飲食施設が併設している他、宿泊施設等もあり、日帰りでも宿泊でも様々な楽しみ方ができる、まさに拠点的な存在となっています。
道の駅「伊豆のへそ」内にある和洋スイーツいちごの専門店「いちごファクトリー」
ユニークないちごのスイーツで腹ごしらえ
道の駅「伊豆のへそ」を出発

悪路も激坂も楽しいe-MTB

 自然豊かで富士山を望む絶景スポットが数多く点在する伊豆半島の北西部は、「西伊豆スカイライン」など人気のドライブコースとしても知られていますが、その険しさゆえにサイクリングのフィールドとしてはいわゆる“健脚”サイクリスト向けで、ビギナーにとってはハードルの高いエリアです。数あるコースの中で、今回セレクトしたのは富士山の絶景スポットとして知られる「達磨山展望台」を目指すルートです。 走行距離は約40kmとそれほど長くはありませんが、獲得標高1000m超と、プロチームもトレーニングに利用するなかなかのハードなコースです。すっかりヒルクライムから遠のき、脚が向かなくなっていた西伊豆ですが、e-MTBなら精神的なハードルを感じることはまったくありません。
今回走行するコース(MERIDA X BASEの公式サイトから引用)
今回は修善寺経由で達磨山を目指すルートを行きます。出発後、少し街中を走りますが、その時点で早くもMTBの恩恵を感じることができます。舗装路とはいえ、意外と路肩は路面が荒れているもの。ロードの場合、ストレスになるところですが、MTBの太いタイヤはとにかく無敵。路面の状況を問わない安定感に、往来するクルマに恐怖を覚えることもありません。
狩野川沿いの「読売巨人軍長嶋茂雄ランニングロード」を走る
信号によるストップ&ゴーも電動アシストがあるとまったく漕ぎ出しのストレスを感じません。乗車姿勢もMTBならではのアップライトなので、車道走行に不安を感じているビギナーの方にも、実はMTBは向いているといえるでしょう。
途中にある修善寺に寄り道。観光もゆったりと楽しめます
そしてe-MTBの本領発揮ともいえるのが、上りの悪路。ロードバイクなら避けてしまう林道もe-MTBならば、なんら問題はありません。むしろ普段味わえない走破性が新鮮で、そんな道をみつけては挑戦したくなります。
ちょっとコースを外れて敢えて悪路の坂道へ。e-MTBはそんな非日常感が楽しめる
出発して約25km、途中16%超の坂もありましたが、電動アシストのパワーを最大にして難なくクリア。まったく疲れを感じることなく800mアップで達磨山展望台に到着です。 ロードバイクだったら疲労困憊になるところを、e-MTBではペダルを漕いでいたら到着したという感覚。それでも、しっかり運動した感覚も味わえます。 展望台からは、駿河湾を挟んで眼前に富士山の絶景が広がります。健脚同志、達成感とともに眺める富士山も格別ですが、脚力に自信のない方やスポーツバイク未経験者でも自力でここまで来られるので、どんな仲間を連れてきても感動を共有できるのはe-MTBならではの楽しみ方でしょう。
達磨山展望台から望む富士山の絶景
展望台にはバイクラックが完備されている

太いタイヤで下山も安心

 ヒルクライムには上りだけでなく下りもあります。その点でe-MTBは、上りは電動アシストが威力を発揮し、下りは太いタイヤが安全なダウンヒルをサポートするという、ヒルクライムビギナーをトータルでサポートしてくれる機材なのです。また伊豆半島エリアは場所柄、下った先で再び突然急な上り返しの坂が現れることが多々ありますが、そんなときでも臆することなく突き進むことができるのはe-MTBの特権でしょう。
突然現れる激坂にもe-MTBならストレスを感じずに上り・下りができる
ただ、タイヤが太いからといっても必ずしも安全ではなく、特にロードバイクに乗り慣れている人の場合、同様に車体を傾けるイメージでコーナーを曲がろうとすると落車の危険性が高まるので、あまりスピードを出さずに下るようにしましょう。 達磨山から沼津方面へ下ると、今度は駿河湾沿いに富士山が眼前に迫りくるサイクリングが楽しめます。内浦湾周辺では地魚を提供する食堂も多いので、ランチ時間を狙ってライドスケジュールを組んでみるのも良いでしょう。
沼津から内浦湾越しに臨む富士山。西伊豆は様々な角度から富士山の絶景が楽しめる
ロードバイクでは覚悟を決めて臨んでいた西伊豆エリアですが、e-MTBでは気持ちに余裕をもって、絶景はもちろん、途中のサイクリングも楽しむことができました。 ビギナーの方はもちろん、サイクリストの方もいつもと違ったサイクリングを楽しむことができるe-MTB。ぜひ、新感覚のライド体験を味わってみてください。
文: 後藤恭子(ごとう・きょうこ)

アウトドアメーカーの広報担当を経て、2015年に産経デジタルに入社。5年間にわたって自転車専門webメディア『Cyclist』編集部の記者として活動。主に自転車旅やスポーツ・アクティビティとして自転車の魅力を発信する取材・企画提案に従事。私生活でもロードバイクを趣味とし、社会における自転車活用の推進拡大をライフワークとしている。

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