TOPインタビュー自転車系ユーチューバーtom's cyclingの二人が語る「自転車が育む夫婦の絆」

Interview インタビュー

自転車系ユーチューバーtom's cyclingの二人が語る「自転車が育む夫婦の絆」

tom's cycling(トムズサイクリング)

夫(TOMI)と妻(YOPI)のユニット。2017年より、ロードバイクをはじめとして、自転車関連の動画を配信。ポタリング・レース・ロングライド・機材紹介などから、本職である理学療法士の知識を生かしたフィジカルセミナーなど、様々な情報を発信している。
HP:https://tomscycling.com/
YouTube:https://www.youtube.com/c/tomscycling/videos
X(Twitter):https://twitter.com/toms_cycle?lang=ja
instagram:https://www.instagram.com/toms_cycling/?hl=ja

この人の記事一覧へ

─夫婦でロードバイクにハマったきっかけは何ですか?

TOMI 僕が先に始めていて彼女を誘いました。僕がハマったきっかけは、大学卒業後、病院に勤務し始めたとき、サイクリング好きでロードバイクを7台くらい持っている医者がいたことです。その方にロードバイクを借りて、半強制的ながらもサイクリングに参加したのですが、それが楽しかったのです。最初から200kmくらい走ることになり、手も痛く、お尻の皮も破れて痛く、ボロボロでトラウマになりましたが、しばらく乗らないと不思議とあの達成感がもう一回味わいたいと思うようになりました。再度、誘われたときに一緒に走って、その後、自分のロードバイクを買いました。

YOPI TOMIとは大学生のときから交際していたので、自転車に乗っていたことは私も知っていました。私はもともと趣味が何もなくて、せっかく結婚したのだから夫婦共通の趣味があればいいと思っていました。TOMIからは「自転車は楽しいよ」と何度も言われていて、自分もやってみようと思いました。もともと通勤でクロスバイクに乗っていたので、ロードバイクに抵抗はありませんでした。

─なぜ自転車のYouTubeチャンネルを始めようと思ったのでしょうか?

TOMI 二人の結婚式のときに、プロフィールムービーをはじめ、全部自分たちで動画を制作しました。それが面白く、結婚式を終えた後にYOPIにYouTubeをやろうと誘いました。

YOPI TOMIの職場の後輩にYouTuberがいて、その後輩とTOMIが仲が良く、影響を受けたようです。自転車を題材にしてYouTubeをやってみたいと言われました。TOMIは自転車のYouTubeチャンネルを観るのが好きで、動画をいつも観ていました。私は自転車のことは分からなかったのですが、夫婦でできることが欲しかったので一緒に始めました。

─最初はどんな動画を撮りましたか?

YOPI 私がロードバイクを始めたところから、富士山を上るまでの過程です。私は運動経験がまったくなく、部活をしたこともなかったので、本当に初めて運動をするという状態でした。まったくのゼロから日本一高い富士山に上れるようになるまでのドキュメンタリーのような動画でした。最初は動画をアップロードしても、再生回数は5回、10回程度でした(笑)。

TOMI しかも、自分で再生したのを含めてその数でした(笑)。

YOPI 初めて100回再生されたときはすごく嬉しかったです。「100個コメントが付いた!」「グッドボタンが付いた!」と二人で大喜びしていました。1,000回再生のときは「ええっ!!1,000回!!」という感じで驚きでした。やはり観てくれる人がいるのが一番モチベーションになります。私は自転車に乗るモチベーションにもなっていました。ロードバイクで山を上るのはキツいことなので、コメントを寄せてくれたり、観てくれたりする人がいるのが心の支えになりましたね。

─今はどのような自転車の楽しみ方をしていますか?

YOPI 一番の楽しみは主人や友人とのサイクリングですね。何かを見に行ったり、食べに行ったり、知らない土地に行ってたり、目的を持って誰かと一緒に走るのが楽しいです。動画の企画で、景色が綺麗な場所や美味しいものがあるところを調べていて、行きたい場所を頭のなかでリストにしています。場所探し自体も楽しいですね。

TOMI 僕は…基本的にドMなので(笑)、苦しいとき、キツいときが終わった瞬間や、前より成長できたと感じられる時が好きですね。練習がキツければキツいほど、終わったときの達成感が好きです。ご飯も好きなので、練習後は罪悪感なく好きなものが食べられるのも魅力です。実は太りやすい体質で、小学生のときは食事指導を受けるくらい太っていました。自転車を始めたときも73、74kgあり、結構太っていましたが、気づいたら痩せていました。体を絞っているときは鏡を見るのが楽しかったですね。今は65kgくらいですが、60kgくらいまで絞ったこともあります。

─TOMIさんはシクロクロスも始められたとか?

TOMI シクロクロスを始めたのは、ロードバイクのスキル向上になると思ったからです。カーブを曲がるのが下手だったので練習になると思いました。実際にやってみると、スキル向上にも役立つけれど、シクロクロスという競技自体が面白いと思いました。ロードバイクですごく強い人が同じカテゴリーを走っていて、順位が変わらなかったりすることがあります。スキルも重要だと思うと面白くやりがいを感じます。そして、レースコースに「こんなの上れるのかよ?」と思わせるキャンバーに突っ込んでいくこともあるのですが、それもワクワクします。そこをクリアするのもスキルですが、細かい話をする以前に、童心に帰れた気分になれて楽しいですね。

YOPI 私もやりたい気持ちはあるのですが、家に自転車が多すぎて…(笑)。今二人で5台所有していて、3LDKの2部屋がほぼ自転車に使われているので、もう1台増やすのは難しそうです。私は不器用でテクニックが求められることは苦手で、ケガをしそうで怖いのですが、それでも、シクロクロスの雰囲気はすごく楽しいので、怖い物見たさで一回出てみようかなと思っています。

TOMI シクロクロスはレースで走っていると観客がすごく声を掛けてくれてます。ヤジが凄い(笑)。Roppongi Expressというチームに所属し、レースに出場していますが「六本木鈍行!各駅停車じゃないか!」「カメラ回すんじゃなくて脚を回せ!」などと、全然知らない人が言ってくるんです。レースは苦しいのに、それを聞くと笑えてきますね。

YOPI よくそんなことを一瞬で思いつくなと…(笑)。

─YOPIさんは結婚後、まったくの初心者でロードバイクを始めましたが、苦労はありましたか?

YOPI ロードバイクに乗り始めた頃は、手が痛い、お尻が痛い、踏みすぎて脚がボロボロで痛い、首が痛い、肩が痛い、背中が痛いと、その都度痛みを感じていました。その度にTOMIが「こうしたらいいよ」「ポジションを変えてみたらいいよ」と、いつも助けてくれました。そこは体のスペシャリストですし、ロードバイクでは先輩なので、いろいろ教えてもらい、乗り越えられたのは大きいですね。

TOMI 二人とも理学療法士なので、お互い伝えやすかったです。知識があって良かったと思いますね。

YOPI 「ナントカ関節がこうなって、ナントカ筋があれしてる」といったような感じですね。自分も知識があるのでスッと入ってきて直せて、割と早い段階で修正していけました。痛みをあまり引きずらなかったので、乗るのが嫌になることはありませんでした。

─身体の知識があると、トレーニングには役立ちますか?

TOMI 筋肉の種類と場所を知っているとトレーニングもやりやすいですね。運動パフォーマンスからは、意識をするとその筋肉が疲労しやすくなり、筋肉はそれほど意識しないほうが良いらしいです。筋力トレーニングでは、筋肉に意識的に負荷をかけたほうが良いといいますが、パフォーマンスの側面から微妙です。ですから、最初は意識しながらトレーニングをし、それが無意識になるまで練習しています。

─動画の企画はどのように考えていますか? 目指している目標などはありますか?

TOMI 僕が始めた頃はYouTubeはそれほど盛んではなく、自転車の情報は書籍やブログが主流でした。そうした情報を読んで、自分で乗り越えたことを動画にして発信し、初心者が壁にぶつからずにロードバイクを楽しめるようにしたいと意識していました。今はYouTubeではハウツー系の自転車動画を制作する人が増えたので、ハウツー動画ではなく、自転車の楽しさが伝わる動画をメインにしています。サイクリング動画はただ走行シーンを流してもあまり面白くないので、頑張った後のきれいな景色や、美味しいご飯など、共感してもらえるように作っています。二人で喋りながら撮影しているので、面白い会話も拾って動画に入れていますね。

YOPI 走りやすい場所が二人とも好きなので、交通量が少なかったり、程良い感じのアップダウンがあったり、練習にもなってその先に目的地もあるといったようなルートを二人で考えています。動画編集は私が基本構成を作っていますが、二人の合作で私が独断で上げることはなく、出来上がったものをTOMIに見てもらって修正してもらっています。走行中はガチガチに追い込むとき以外は、なるべく喋るようにしていて、膨大なデータを取っておき、そこからチョイスをしてつなげています。フリー素材も活用して、少しでも「ふふっ」と思ってもらえるようにしています。

─これからどんな動画を撮りたいですか?

TOMI サイクリングをしているだけの動画を上げていくのが理想です。今の形が理想だと思います。休日に思いついたところにパッと行って走って、その様子を動画にして伝えられたらそれが一番です。普通にやると面白くないので、面白くなるように工夫していく感じでしょうか。

YOPI 私もそれが一番自然だと思います。そして、TOMIがロードレースに向けて頑張っているので、レースの様子も入れていきたいです。チームにも所属しているので、頑張っている人向けの動画もよいと思っています。

TOMI 最初は動画のネタとしてレースに出場しました。一回出てみたら、すごく熱くなるものがあって、何度か出るようになりました。そこで知り合った友人がツール・ド・沖縄に出ようと誘ってくれて、そのために一生懸命練習していく過程がすごく楽しかったのです。やはり成長したときが楽しいですね。以前より良いタイムで走れたり、良い数値が出たり…。あとはハアハアするのも嫌いではなく、脚がバキバキになるのも嬉しいです。疲れれば疲れるほど嬉しいんですよ。

YOPI 根がドMなんですよ。もはや、天性だと思います(笑)。