TOPインタビュー女子大生レーサー・矢吹優夏が語る”MTBとクロスカントリーレースの魅力”

Interview インタビュー

女子大生レーサー・矢吹優夏が語る”MTBとクロスカントリーレースの魅力”

矢吹優夏(やぶき・ゆうか)
 1999年東京都生まれ。日本女子体育大学4年生。MTBを趣味とする父の影響で、幼少の頃からMTBが周囲にある環境で育つ。小学生から高校性まではバスケットボールに専念しつつ、大学進学を機に、MTBの世界へ。当初は楽しむだけのつりだったが、チームメンバーから背中を押されMTBクロスカントリーレースに参戦。徐々にのめり込み、2019年および2020年の全日本マウンテンバイク選手権大会U23カテゴリーで2位に

─マウンテンバイク(MTB)との出会いは?

 父が「MTB TEAM B.B.Q」というアマチュアのマウンテンバイク(MTB)チームに所属していて、クロスカントリーレースによく出ていたんです。小さいころから父が出場するレースの応援に行ったり、MTBに乗ったりと、MTBは身近な存在でした。

 でも、私自身、幼少のころからMTBに力を入れていたわけではありません。初めてMTBを買ってもらったのは小学校1年生でしたが、基本的な乗り方を教えてもらうくらいでした。熱心にやっていたのはバスケットボールのほうです。高校もバスケットボールのスポーツ推薦で入学したので、高校を卒業するまで、バスケットボール一筋でした。

 それでも、小学校4年生のときに、MTBレースに出てみないか、と父に誘われて、MTBレースに出たことはあります。「レースに出たらメダルがもらえるかもしれないよ。欲しいものも買ってあげるよ」と言われて、MTBの練習は本当に嫌でしたが、メダルにすごく惹かれたんですよね。それから毎年1回くらいはイベントを楽しむという感覚でレースに出ていましたが、MTBとのかかわりはそれほど多くありませんでした。

─本格的にMTBレースをやろうと思ったのはいつからですか?

 18歳からです。大学入学後は、バスケットボールとは別のことをしようと思っていました。体を動かすのが好きなので別のスポーツをやろうと考えたときに自転車が浮かんできたんです。バスケットボールで集団競技をしてきて、今度は個人でも楽しめるスポーツをやってみようと。どこかでMTBが好きという気持ちがあったのかもしれません。自分からMTBに乗りたいと父に言って乗り始めました。

 乗り始めた頃は「楽しくやれて、結果もついてきたらいいな」という考えだったんですけど、父の所属するチームメンバーと一緒に走ると、「レースに出てみなよ。大丈夫だよ、いけるよ」と後押しされて、練習するようになりました。

 父やチームメンバーがみんなクロスカントリーレースに出ていたので、自然とその種目に出ることになるんですけど、出るからには、自信をもって走りたかったので、ライン取りやポジションの取り方など、父やチームメンバーにいろいろ教わりました。

─今や日本自転車競技連盟のU23の強化指定選手にまでなっています。この先はどうですか?

 MTBレースは続けたいですが、プロになりたいというよりも、今は楽しんでいるという感じですね。MTBの非日常的な感じ、スピード感、スリル感、浮遊感がいいですね。路面のコンディションも時間とともに変わっていって、きちんと走破できるか、毎回挑戦している感じが楽しいんですよ。走破できたときはひときわ嬉しいです。

2021年5月4日開催のCoupe du Japon びわ湖高島Stage. ウーマンエリートカテゴリにて優勝 写真提供:ホダカ株式会社

─持久力が試されるクロスカントリーの練習はきつくないですか?

 乗っているのは週4回ほどです。1回あたり1時間30分くらいで短いですし、周囲と比べたら少ないほうだと思います。それも、自転車に乗って楽しみたいから乗るという感じです。基本的に外にいるのが好きで、風を浴びるのが気持ちいいんですよ。寒いのは苦手なので、冬はさすがに乗るまでは気が重いんですけど、乗ってしまえば結果オーライ、乗ってよかったと思っています。ですから、毎回、練習しているという感覚はないです。

 ただ、レースが迫っていれば、強度をあげなければいけないので、さすがにそこは練習をすることにしています。レース前は1周20分ほどの舗装路の周回コースを4周する練習をチームメートとしています。平日でも呼びかけるとチームメートが集まってくれるんですよ。

─クロスカントリーレースの面白さは何ですか?

 アップダウンの多いテクニカルなコースは、走っているだけで楽しいです。1個1個のセクションを走破できるかをチャンレンジするような感じです。

テクニカルなコースほど楽しめて走れるという 写真提供:ホダカ株式会社

 始めた当初に比べて、今はスキルもあがってきて、新しい面白さもわかってきました。以前は背中さえ視界に入らなかったトップレベルの選手の背中を追えるようになったんです。すると、ライバルと競るようになって、学びがたくさんあって面白いです。

 たとえば、ライン取りです。試走段階でチームメートと、どのラインを走るかを実走しながら検討するんですけど、レースになるとライバルは別のラインを走ったりします。「えっ、そこ走るの?」みたいに思うことが多々あるんですよ。ライバルの後ろについてそのまま、想定外のラインを走ってしまうこともありますし、事前に想定していたラインを走ることもあります。そして、そのワンアクションの違いで前との差が開いたり、縮まったりするのも面白いですね。レースに出ると学べることが多くあります。

レースではライバルのラインどりなど学びが多い 写真提供:ホダカ株式会社

 あとは、チームメートとの戦いも楽しんでいます。チームメートの多くはマスターズクラスに出場するんですけど、多くのレースで女子の2分前スタートなんです。なので、後発スタートの私がチームメートを何人抜けるか、を目標に走っていたりします。レースが終わってみんなでリザルトを見て、「今日は勝った」とか「負けた」とかいいながら、チームメートと盛り上がっています。

─普段のメンテナンスはどうしていますか?

 自分では洗車したり注油したり調整したり、タイヤ交換は行っていますけど、最終的には父がチェックしてくれます。私のメカニックとサポートをやってくれています。

 父もかつてはレースに出ていたんですけど、父なりに心配があるらしく、レースには出ないで監督兼サポート兼メカニックのような形で助けてもらっています。レース前に一緒に試走に出て、コースを確認して、私の弱点を踏まえたうで、走り方のアドバイスをくれます。レース中はピットエリアでドリンクやエナジージェルの手渡しをしてくれたりもします。

─レース後の振り返りはどうしていますか?

 実はレース会場には母も来ていて、ビデオ撮影をしてくれています。コースを歩き回って、撮影してくれて、レース後にそのビデオを見返したりしています。レースの所感とあわせて、問題点を洗い出して、どういう練習がいいのかを考えたりもします。両親のサポートがあるからできているというのは大きいですね。

─家族からの期待も高そうですね

 「やりたいようにやってね」と言われています。もっと上を目指してほしいとは言われません。「楽しければいいよ」といった感じで、結果がついてきたらいいよねくらいですね。

─ご両親としては、子供が大きくなってからも、同じことで楽しめるのは嬉しいのではないでしょうか?

 父もMTBに乗るので、週末は一緒に過ごすことが多いですね。一緒に走れるのは嬉しいようです。「自転車をやってくれてありがとう」なんてことを父から言われます。大きくなってから自転車に乗ってくれるとは思っていなかったらしいですね。

 趣味嗜好が似ているのかもしれないのですが、最近は、釣りにも一緒に行ったりします。休日の午前は自転車で一緒に走って、午後に川に行って2人で釣りへ、なんてこともありました。アクティブな性格は似たんですかね。

─将来の目標は?

 自転車競技は続けたいですし、自転車にも関わっていきたいと思います。選手としては、XCO(クロスカントリー・オリンピック)で日本一になりたいですね。その先をどうするかはまだ先のことですが、もうひとつ、MTBを楽しむ女性を増やせるような仕事に就けたらいいなと思っています。