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前傾姿勢の基本

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スポーツ用自転車の乗り方、走り方<3>
前傾姿勢の基本

 第3回は前傾姿勢の取り方についてです。スポーツ用自転車が軽快車(ママチャリ)と大きく異なるポイントとして、自転車に乗る際の前傾姿勢がありますよね。でも初めて乗ると、正しい前傾姿勢を取れていない人も多いようです。ポジションの合わせ方(フィッティング理論)に行く前に、前傾姿勢の基本を知っておきましょう。

前傾姿勢の基本とは

お腹をへこませない理由

 筆者がロードバイクを始める際、師匠に教わったポイントがあります。それは「お腹を凹ませない」ということです。お腹を膨らませたまま前傾することを試してみてください。意識としては腰を曲げるというよりも、股関節を中心に前傾を作っていくイメージになります。

 理由としては以下の2点を説明されました。

① ハンドルが近くなる(自然に深い前傾姿勢を取れる)
② 腹式呼吸ができる

「お腹を凹ませた」前傾姿勢。ハンドルが遠くなり、腕が伸びきってしまう

 お腹の中には内臓が詰まっていますよね。つまりお腹を凹ませて前傾姿勢を取ろうとすると、背骨がお腹の中身を迂回する形で前傾していかなくてはなりません。これに対してお腹が出るような形で前傾すると、背骨を真っ直ぐ前に出すことができます。これにより、より遠い位置のハンドルを、無理なく握ることができます。

 2点目(腹式呼吸ができなくなる)についてですが、お腹を凹ませているということは、お腹を潰しているということです。実際にやってみると分かりますが、この状態でお腹を膨らませてみても大きく膨らみません。呼吸は浅くなってしまいますし、腹圧を使って体幹を支えることもできなくなります。

写真を並べると違いが一目瞭然ですね

 さてもう一点、筆者が付け加えたい、お腹を凹ませない理由があります。

③ 腰の上側で前傾を作ると、腰を痛めやすい!

 スポーツジムでスクワットなどウエイトトレーニングをする際、フォームについて注意を受けたことはありませんか? いくつかポイントはありますが、故障予防として重要なのが「猫背にならない」というもの。重たいウエイトを使ってのトレーニングでは、腰にベルトを巻いてサポートしたりもしますよね。

スクワットには猫背は厳禁

 同じことが、自転車乗車時にも言えます。お腹を凹ませて前傾するというのは、要するに猫背なのですが、この状態で乗り続けると腰への負担が増えます。この問題は運動の質と量が増えるに従って、より顕在化しやすくなり、腰痛の発症や、最終的には腰の致命的な故障につながる懸念があります。

 筆者は長年ロードレースの選手をしてきた際、腰に深刻な故障を発生した選手を身近に3人知っていますが、3人とも前傾姿勢が猫背でした。詳しい理論付けは人体のプロではないので省きますが、決してトンデモ理論ではないと確信しています。

 他のスポーツでも深い前傾姿勢を取る際に、例えばスピードスケート、競馬の騎手、相撲の立ち会いなど、ロードバイクと同じようなイメージで前傾していることが分かります。さほど前傾を深く取らないクロスバイクなどでも、胴体の途中で曲げずに、股関節を軸に前傾姿勢を取ることを意識すると、無駄な力を使わずに乗れるようになりますよ。

米山一輝(よねやま・いっき)
スポーツサイクル歴25年の自転車乗りで元ロードレーサー。選手歴は15年ほどで、実業団レースや国際レースなど入賞多数。自転車に本格的に乗り始めたのは電気街通いの電車賃を節約するためという、どこかのマンガを先取りしたような動機でした。人気のない山中より街中を走る方が好き。脚質は平地番長。