2024.7.12
当連載の第3回「通販で買う?お店で買う? スポーツ用自転車購入方法の正解」で、ロードバイクのサイズ選びの重要性について解説しました。自転車店で購入すれば体型に合ったサイズのバイクを手にしていることでしょう。ただ、正しいサイズのバイクを買うことは、あくまでロードバイクを体にフィットさせるためのスタートにすぎません。
同じ身長でフレームサイズが同じ人でも、手脚の長さ、骨格、筋肉の付き方、筋力、柔軟性などは千差万別です。さらに、ロードバイクはライダーの能力を最大限に発揮させながら走らせるもの。それにはライダーと自転車の接点であるハンドル、サドル、ペダルの位置を細かく(場合によっては1mm単位で)調整し、体にジャストフィットさせる必要があるのです。
自転車店で購入すれば、納車時に簡単なフィッティングは済ませていると思いますが、乗り込んでいくうちに体力や柔軟性や技術が変化して、適切なポジションは変わっていくものです。どんなに高価なロードバイクでも、ポジションが合っていなければ快適に走ることはできませんし、無理な体勢で乗っていれば関節を痛めるなど怪我の原因になることも。間違ったポジションはなにもかもが台無しになってしまいます。
そのため、ロードバイクはハンドルの幅・形・位置と角度、レバーの位置、サドルのタイプ・位置・角度などを細かく調整できる作りになっています。ビンディングペダルを使っている人なら、これにクリート位置の調整が加わります。
このように、ロードバイクのオーナーが各部を調整して自分の乗り方や体に合わせる必要がありますが、調整項目が多く、乗り始めたばかりの頃はどのようなポジションが正しいのか分かりません。そんなときは、「フィッティングサービス」を試してみましょう。
フィッティングサービスとは、プロのフィッター(ライダーの体や目的をバイクのポジションに落とし込む専門家)が、ライディングフォームをチェックして最適なポジションを導き出してくれるサービスです。中には、体の各所にセンサーを取り付けてペダリングを行い、動作を計測するという本格的なサービスもあります。
フィッティングサービスは種々あります。フィッターの資格を持ったスタッフが常駐している自転車店もあれば、フィッティングサービスを専門に行っているフィッターもいます。それらのサービスを受けてみてください。どんなサービスがあるのか分からないという人は、買ったショップに相談してみましょう。お勧めのサービスを教えてくれるはずです。
ちなみに、僕はずっと自己流でやってきましたが、それゆえにベストポジションにたどり着くまで右往左往しました。サドル、ハンドル、クランク、クリート位置の調整など……。何度もドツボにはまってまともに走れなくなることもありました。
しかしあるとき、世界的に有名なフィッティングサービスを受けました。今でもそれが僕のポジションの基本になっています。
シンプルがゆえに、ポジションは自転車の速さや快適さを大きく左右します。レバーの角度をほんのちょっと変えただけで乗りやすさが激変することもあります。
最終的には自分でミリ単位の微調整をする必要がありますが、プロの目で見てもらえば、間違いのない基本的なポジションは導き出せます。費用はかかりますが、それがロードバイクを乗りこなせるようになるための近道となることでしょう。
自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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