2023.7.21
ロードバイクやクロスバイクに乗る際、サドルの高さをどのように合わせたらいいのか分からないというサイクリストは実はとても多く見受けられます。街中ではサドルが高すぎていたり、逆に低すぎて窮屈な姿勢で乗っていたり…。適正に近いサドルの高さで乗車することでたくさんのメリットがありますので、その調節方法や注意点をご紹介していきます。
ロードバイクやクロスバイクに限らず、いわゆる“ママチャリ”と呼ばれる軽快車であっても、自転車のサドルを適切に調整することでたくさんのメリットがあります。まず、脚の筋肉を効率よく使うことができ、より少ないパワーとトルクでペダルを踏むことが可能になり、少ない疲労で走ることに繋がります。
また、脚に無理な負担をかけないため、膝や筋を痛めることを抑え、怪我を防止することも可能です。一般的にサドルが高すぎる場合は膝の裏の筋を傷めやすく、また、低すぎるケースは膝の前側にある“皿”の周りの筋を傷めやすいと言われています。
スポーツ用自転車は前傾姿勢で乗車することが多く、身体に無理な負担をかけた状態で乗り続けると、怪我や不調だけでなく、集中力の低下も招き、思わぬ事故につながる恐れもあります。たかがサドルの高さと侮ることなかれ、快適にライドするためにも適切なサドル高に合わせていきましょう。
サドルの高さは「シートポスト」と呼ばれるサドルと自転車をつなげるパーツを上下して行います。一般的なロードバイクの場合、自転車のフレーム側に「シートポストクランプ」というシートポストを固定しているパーツがあり、ボルトを緩めることで上下させることが可能になります。10万円以下のクロスバイクの場合、レバーの開閉で簡単に調整できるケースもあります。
シートクランプには、シートポストの形状によっていくつか種類があります。従来であれば円筒タイプのシートポストが一般的で、シートクランプもそれを挟み込む円型のものが主流でした。一方、近年ではエアロタイプのフレームが増え、フレームごとにシートポストやシートポストクランプの形状が異なるケースも多くなりました。
共通しているのは、クランプにはボルトがあること。外に見えている場合もありますし、フレーム内に隠れていることもあります。六角タイプが多く、4mmや5mmのケースが多く見受けられます。必ず適応する工具を用意して調整するようにしましょう。
肝心のサドルの高さの合わせ方ですが、サドルの上部からクランクの中心までを「股下の長さ×0.875」の方式をあてはめて計算して合わせると良いと言われています。自宅で測る場合は厚めの本を股に挟み、壁などに印をつけ、床からの高さを測ると良いでしょう。シューズを履いた状態でサドルにまたがり、「足を伸ばした状態で、踵がぎりぎりペダルに接触するかしないか」の高さも適正に近いとされています。ロードバイクのようにシビアに調整したい方は、まずこちらの方法で基準を決めてみてはいかがでしょうか。
また、最も簡単なのは、車体を地面と垂直に立て、腰の高さにサドルの座面の高さを合わせる方法です。こちらはざっくりと合わせるやり方ですので、気軽に街乗りをするクロスバイクなどで用いてみてはいかがでしょうか。
いずれの測り方も体格差や乗る環境によって個人差がありますので、あくまで基準として捉え、乗りながら微調整を行うと良いでしょう。
最も注意すべきはシートクランプボルトの締めすぎによるシートポストやボルトの破断です。シートポストは近年、より軽量なカーボン製である場合が多く、クランプを締めすぎると圧力に耐えられずに割れてしまうことがあります。また、ボルトもねじ切れてしまう場合もあるため、適正トルクで締めることをこころがけてください。適正トルク値はシートクランプやフレームに記載されていることが多いでしょう。
トルクを測る工具がない場合は、少しずつボルトを締めていき、サドルに体重をかけても下がらない具合まで徐々に締めていくことをお勧めします。乗車中、段差などの衝撃で突然シートポストが下がることもあるので、体重をかける際には少々大袈裟にアクションしても良いでしょう。ボルトの締め付けは“良いあんばい”が難しいところですが、強すぎず弱すぎずを心がけてください。
また、サドルの高さを調整する際は一回で何cmも動かさず、数mmずつ動かしましょう。例え1mmの違いであっても、乗ってみると感覚が変わってきます。一度に大きく動かすと、身体に不調が出る場合もあるので、ある程度高さが定まってきた場合は1日で2〜3mmくらいの幅で調整することをお勧めします。
いずれの場合も、不安な場合はお近くのプロショップで作業してもらうことをおすすめします。サドルを適正に合わせる知識もスタッフの方はよくご存知だと思います。
10代からスイスのサイクルロードレースチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーへ参戦。引退後は産経デジタルが運営した自転車専門媒体「Cyclist」の記者、編集者として自転車やアイテムのインプレッション記事を担当した。現在はYouTubeチャンネル「サイクリストTV」でナビゲーターを務めるほか、自治体の自転車施策プロデュース業務を担当。
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