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自転車通勤を始めるなら知っておきたい通勤災害のこと

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スポーツバイクで始める自転車通勤<7>
自転車通勤を始めるなら知っておきたい通勤災害のこと

 自転車通勤は、高速で移動できる性質や温暖化ガスを出さない環境性能、省スペースの経済性、適度な運動による健康への好影響などがメリットとして挙げられます。そんなメリットの多い自転車通勤ですが、通勤中に事故に遭ったときのことをあらかじめ考えておく必要があります。

Photo: KatarzynaBialasiewicz / iStock / Getty Images Plus /ゲッティイメージズ

通勤災害とは

 通勤災害とは、労働者が通勤途中に負傷や疾病をしたり、障害や死亡することを指します。電車であっても、自動車であっても、通勤途中に事故に遭った場合には、通勤災害として労働者災害補償保険(以下、労災保険)から補償が受けられます。

 しかし通勤途中で、書店に寄ったり、外食をしたりして、通常の通勤経路を離れてプライベートな行動をすることはありませんか? 自転車は、その身軽さからいろいろと寄り道をすることが可能です(それも自転車通勤の面白さでもあるのですが)。仮に自転車通勤途中に寄り道をして事故に遭った場合、通勤災害にならないのではないかという疑問も出てきます。

労災保険における通勤災害の取り扱い

 合理的な通勤経路から外れた場合は「逸脱」、通勤途中で通勤とは異なる行為を行った場合は「中断」と言われますが、実際に労災保険でどう取り扱われるのかを見てみましょう。労災保険では、「就業に関し(中略)合理的な経路及び方法」で通勤している限り、その通勤中の事故は通勤災害と扱われます。

 例えば、通勤経路の近くの店に立ち寄った程度ではその合理的な経路から逸脱することはありません。途中の公園のベンチで休憩すること、自販機で飲み物を買うこと、経路上の売店でたばこや雑誌などを買うことなどは、通勤の逸脱または中断には当たりません。

 逆に合理的な理由なく著しく遠回りした場合や、立ち寄り先に数時間滞在した場合には通勤からの逸脱または中断とされる可能性があります。通勤経路からはそう遠くない場所で、数時間にわたり飲食を行ったケースは、通勤経路からの逸脱または中断とされた例もあります。

 また、合理的な通勤経路及び方法から外れて、通勤経路からの逸脱または中断とされる場合であっても、日常生活上必要な行為で、日用品の購入、職業訓練学校等に通うこと、病院で診療を受けること、要介護の親族の介護をすることのいずれかに該当する場合は、それが必要最小限度である限り、通勤経路からの逸脱または中断として扱われません。

  • 通勤経路からの逸脱または中断として扱われない4つのケース
  • ① 日用品の購入などの行為
  • ② 職業訓練学校等に通うこと
  • ③ 病院で診療を受けること
  • ④ 要介護の親族の介護をすること

 この必要最小限度の程度ですが、帰宅中に自宅を通り越し、就業場所と自宅を挟んで自宅から140m離れた反対側にあるスーパーで買い物をした場合に、通勤経路からの逸脱であると判断された例や、終業後に数時間サークル活動を行ったあと、自転車で帰宅した場合で通勤ではないと判断されたこともあります。また、終業時間後3~4時間の仮眠をとり、さらに労働組合の業務を3~4時間を行ったあとに帰宅した場合でも通勤ではないとされた例があります。この判断は終業後、労働とは別の活動を行うことによって、通勤と就業との関連性が認められなくなるという考え方に基づくものです。

 このように通勤途中の行為によっては、逸脱や中断と判断され、通勤災害に該当するかどうかの判断が難しい場合もあり得ます。防衛策としては、自転車保険のうち、自分がけがした際の補償をしてくれる特約がついた商品を選んでおくということも考えるべきかと思われます。

本田聡
監修:本田聡(ほんだ・さとし)
2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。