2018.5.18
サイクリングって楽しいですけど、「コースを決める」って地味にストレスじゃないですか? どこをどう走るか、自由に決めてよいのだけど逆にそれが足かせになってしまうことありますよね。結果、走り慣れたいつもの場所にばかり足が向いて、ちょっと退屈してしまう…。「いや、サイクリングそのものは楽しいんだけど、もっとこう…いろんな場所を開拓したいし、新しい景色を愛でたいな」─。そんなアナタに、ソロライドでもグループライドでも使える“サイクリングコースを決めるときに役立つコツ”を伝授します。
まず「都道府県」を先に決めましょう。そんな雑でいいの? いいんです。ピンポイントに目的地を決めようとするから苦労するのです。もっとテキトーに「今週末は群馬に行くぞ」と言い切っちゃう。群馬のどこに行くかはあとで考えればOK。
人間とは、選択肢が多すぎると思考停止して行動ができなくなる生き物です。あえて狭めることで邪念が消え、思考がクリアになり、具体的なアクションがとれる。絞り込みに迷うなら、消去法でもいいでしょう。グループのメンバーに最近行った場所を聞き出し、その都道府県を外していく。「昼にラーメンを食べたから、夜は麺類以外にしたいな」ってやりとりしながら晩御飯の場所を絞り込んだりしますよね? あれと同じです。
私は最近大洗市に行ってきましたが、「茨城に行くぞ」とだけ心のなかで宣言しました。茨城にはほぼ行ったことがなく、知識はゼロに近い。しかし、そんなことは関係ないのです。
行くと決めてからGoogle Mapを開き、グリグリ地図を動かしながら「…水戸でもいいけど、ありがちだよな…。もっとこう、面白そうな場所は…海方面に何かないかな…ん?大洗には水族館があるし、海水浴場も海産物市場あるぞ。ということはそれなりに観光地なのだろう。そういえば、見たことはないけどアニメ『ガールズアンドパンツァー』の舞台とも聞くなぁ」…という流れで行ってきました。
ルートは当日走りながらスマホのGoogle Mapで適宜確認しながら走ったので、とくに迷うこともなかったです。海を見て、海産物市場をブラブラし、寿司を食べて帰ってきました。とても楽しかったです。
都道府県以外から思考をスタートさせてもよくて、場所が思いつかなければ「食事」から逆算してみましょう。「それを食べに行くために100km走る」はサイクリストには極めてふつうの行為です(非サイクリストには狂気の沙汰らしいですが…)。
その土地の名物を食べに行くのも定番的な楽しみ方でいいものですが、名物が思い浮かばなければ「海鮮丼のデカ盛り」とか「パンケーキがうまい」とかでも構いません。千葉の◯◯にあるカフェに行かへん?とかでもアリ。
「パンケーキなんてどこでも食えるし、わざわざそのために1日費やすなんてコスパ悪いでしょ?」と考えるのはご法度。そんなことはサイクリストもわかり切っています。我々は「言い訳」がほしいだけ。酒飲みがなんだかんだ理由をつけて夜の街に繰り出そうとしますよね? 彼らは呑めればなんだっていいし、サイクリストも走れればなんだっていい。それと同じです。
ひとつグッドニュースがありまして、遠くに行けば行くほどカロリーを消費しているので、ハイカロリーなものを罪悪感なく、たらふく食べることができます。私はこの方法で数kg太ったことがあります。
都道府県を決める…に似た方法で、景色から逆算する方法がこれ。その景色がどこにあるかはあとで決めるとして、まず「海を見たい」のか、それとも「山の頂上から見下ろしたい気分」なのか、はたまた「東京スカイツリーのような観光名所やランドマークを見物したい」のか。このとき、なぜその景色を見たいのかの合理的理由は不要です。「ただなんとなく」でよいのです。
景色が決まれば選択肢をリストアップしましょう。山であれば、自分の住んでいる地域から行けそうな場所を挙げて「ここもいいけど、まだ寒いからパス」「ここはどう?あ、1人アクセスがしにくい場所に住む仲間がいるか、じゃあパスで」と絞り込んでいき、全員が等しくアクセスできて、そこそこ走りがいのある山を選べばよいです。
このとき、候補が2つあって決めかねる場合は、上記の「食べ物」という要素でもって決定打にするのもアリ。「◯◯山だとわらじカツが有名だよ」「△△山はなんかあるの?」「△△山は食事場所はあんましないんだよね」「じゃあ◯◯山にしようか~」ってかんじでアッサリ決まるものです。
「いろいろ検討も議論もしたけど、それでも絞り込めん!場所が決まらん!」ということもあります。そんなとき、覚えておいてほしいのが「行ったことのない場所を選ぶ」という心構えです。行き慣れたコースは迷子にもならないし、心理的に安心感はあるし、店やコンビニの位置も熟知しているので滞りなくエンジョイできる…のはそのとおりですが、逆に言えば驚きや発見は期待できません。
行き慣れたコースではなく、あえて「未踏の地」を目指す。下調べは必要になるでしょう。道に迷ったり、予想に反してコンビニの少なさに戸惑うこともあるかもしれません。やっとの思いで道の駅にたどり着き、「ようやく甘いものを補給できる…」と入ってみたら地元の野菜と果物市場販売の面積が9割を占めていて、「この場で食べられるものがない!」と泣きをみるのも味わい深い経験です。で、レジの横にあった唯一の甘味である不格好な饅頭を、しぶしぶ買ってかじってみたら、そのおいしさに腰を抜かす…これもひとつのハプニング。
さすがに奥深い山に事前情報無しでソロで突撃するのは、冒険が過ぎているのでオススメしませんが、街中であればなんの問題もないでしょう。
知らない土地に行くのは、行くまでは不安がありますが、行ってしまうと意外になんとかなるもの。多少道に迷ったところで自転車なら簡単にUターンできるし、横道や住宅街を蛇行しながらウロウロしているうちに太い道に出ます。日本国内ならどこ行っても、きれいなアスファルト舗装がされていますしね。
意識して知らない場所を開拓しているウチに土地勘が身につき、脳内マップがちょっとずつ広がっていきます。このようにしてサイクリストは成長していくのです。
以上、ソロライドでもグループライドでも使える”サイクリングコースを決めるときに役立つコツ”のご紹介でした。
写真・文/中山順司
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