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日本のラルプ・デュエズ「車坂峠」を上る軽井沢~小諸 “ヒルクライムあり・グラベルあり”の盛りだくさんコース(長野)

 世界で最も歴史ある自転車レース「ツール・ド・フランス」で数々の名勝負の舞台となった峠「ラルプ・デュエズ」。その峠にコースプロファイルが似ていることから“日本のラルプ・デュエズ”といわれている峠があります。群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県小諸市の間に位置する標高1973mの車坂峠です。国内にいながらにしてフランスのラルプ・デュエズ(のきつさ)を体験できるヒルクライムに、未舗装路も組み合わせたチャレンジングなコースを紹介します。
車坂峠の頂上からの眺望
オススメポイント東京から日帰り輪行できる軽井沢拠点の山岳コース。八ヶ岳の絶景と美味しいランチに加え、グラベルライドに地元のスイーツまで味わえる盛りだくさんのコース。
レベル★★★(上級者向け)
距離61km
獲得標高1,485m
出発・終着地JR軽井沢駅〜しなの鉄道小諸駅
立ち寄りグルメ高峰高原ホテル(ランチ)、アトリエ・ド・フロマージュ(スイーツ)
立ち寄りスポット高峰高原、池の平湿原、小諸城址懐古園

スタートは軽井沢駅から

スタート地点は長野県と群馬県の県境に位置するリゾートタウン、軽井沢町。東京から新幹線で1時間ちょっとで行けるので、日帰り輪行もしやすい。
JR軽井沢駅の旧駅舎
JR軽井沢駅には3階改札口前にコインロッカーがある他、旧駅舎口では手荷物の一時預かりの有料サービスもあるので、不要な荷物を置いていけば身軽な状態でライドを楽しむことができる。今回のライドは軽井沢から出発し、小諸駅を終点として最後は軽井沢駅へ輪行で戻るプランだが、時間や脚力に余裕があれば軽井沢駅発着のコースにしても良いだろう。
旧駅舎口では手荷物の一時預かりのサービスも
身支度が整ったところで出発。高峰高原を目指して中山道(国道18号線)を5kmほど走る。都心ほどではないがクルマの交通量が比較的多く、自転車の走行スペースも確保されていないので注意して走行しよう。
中山道(国道18号)から見える浅間山。クルマの交通量が多いので、この区間の走行には少し注意が必要
6kmほど走ったところで「千メートル林道」と呼ばれる林道に入る。その名の通り標高1000mに位置する林道で、ここまで来るとクルマの喧騒から離れ、軽井沢ならではの自然を感じながらサイクリングを楽しむことができる。
6kmほど走ったところで「千メートル林道」に入る
木々の間を縫って差し込む木漏れ日。四季によって表情が変わる景色に癒されながらペダルを漕ぎ進める。そして林道を抜けた先には、1000mの標高から見る八ヶ岳連峰の絶景が広がる。
「千メートル林道」からの眺望。天気が良ければ間近に八ヶ岳連峰を一望できる

名勝負を想像しながらヒルクライム

16kmほど走って千メートル林道を抜けたところで、いよいよ車坂峠に向かう「チェリーパークライン」のお目見え。「高峰温泉」という看板から約10km、920mアップのヒルクライムがスタートする。
千メートル林道を抜けていよいよ車坂峠ヒルクラムがスタート
ここ、車坂峠では毎年5月にヒルクライム大会(車坂峠ヒルクライム)が開催されており、そのコースプロファイルは距離11km、獲得標高950m。それに加えて平均傾斜度8%を超える急傾斜のコースがフランスのラルプ・デュエズに似ていることから、「日本のラルプ・デュエズ」という異名がついた。 とくに序盤は斜度がきつく、心の準備の間もなく最初から心拍が急上昇。10kmほどの坂と分かっていても、そのスケール以上のきつさがある。
ところどころのコーナーに歌碑がある
坂の途中に、小諸にゆかりのある歌人24人の句歌碑が点在する。「ふるさと小諸」を詠んだ歌らしいが、残念ながらここを上るサイクリストに足を止めて読む余裕はないだろう。
チェリーパークラインを上ってくるサイクリスト
途中、「乙女スロープ」という一瞬斜度が緩む場所があるが、それ以降は頂上が近づいても一向に斜度は緩まない。なるほど、これは数々の名勝負が生まれるコースプロファイルだと納得する。
車坂峠のフィニッシュ地点、高峰高原ホテルに到着
午前10時に軽井沢駅を出発し、ここまでの所要時間はのんびり走って3時間程度。高峰高原ホテルにあるレストハウスでランチ休憩をとるのにちょうどよい時間だ。
高峰高原ホテルでランチ休憩
ここ、高峰高原ホテルでランチ休憩をおすすめしたい理由がこの絶景。ホテル内のレストランからは、眼下に広がる小諸市とその奥に連なる八ヶ岳連峰の大パノラマを眺めることができる。
高峰高原ホテルのレストランからの眺め。遠くの山々を見るための双眼鏡が用意されている
地産地消のメニューが味わえるレストランでのおすすめは、上田市のブランド豚「信州太郎ポーク」を使った豚丼。肉厚で味わいのある豚肉が豪快に乗った豚丼は、ヒルクライムを1本終えた体にしっかりエネルギーをチャージしてくれる。
上田市のブランド豚「信州太郎ポーク」を使った豚丼(1500円)

デザートはグラベルライドとチーズケーキ

おなかが満たされたところで、次の難所、湯の丸高原まで未舗装路区間を走る。距離は約4km。細かい砂利が行く手を阻むが、太さ28C程度のタイヤを履いてれば、グラベルライドを心ゆくまで楽しむことができるだろう。
高峰高原から湯の丸方面に向かうダート
未舗装路の終点、池の平湿原に到着。時間に余裕があれば、ここで自転車を降りて湿原を散歩するのも良いだろう。その場合はあらかじめ、駐輪用のカギを持参し、歩行用にクリートが外に剥き出しになっていないMTB用のシューズ等を履いてくることをおすすめする。
ダートを抜けたところにある池の平湿原
ここまで来れば、あとは東御市までダウンヒル。湯の丸高原の美しい自然を横目に爽快に下ろう。ただ、20kmで1500mほどの標高を一気に下ることになるので、スピードの出し過ぎや、疲労による集中力の低下にはくれぐれも注意しよう。
冬にはスキーのゲレンデになる湯の丸エリア
小諸までは「地蔵峠」と呼ばれる坂を下る。この坂は麓にある東御市新張(にいばり)から鹿沢温泉に向かう山道(約12km)の間にある峠道で、12kmの区間に一番から百番まで何種類もの観音様が1町(約110m)ごとに祀られている。
約110m間隔で観音仏が祀られている地蔵峠
険しい山道(湯道)を越えて湯治場である鹿沢温泉に向かう人々を見守る観音様で、道しるべとしての役割も果たしているという。それぞれに趣がある観音様なので、ダウンヒルの休憩を兼ねて無事故安全を祈願してみてはいかがだろうか。 休憩といえば、もう一つおすすめしたいのがダウンヒルの途中にあるチーズ専門店「アトリエ・ド・フロマージュ」。“日本のブルゴーニュ”といわれる、チーズの本場に似た風土をもつ東御市の標高900mほどの丘陵地帯に立地している。
峠の途中にあるチーズのお店「アトリエ・ド・フロマージュ」
レストランとカフェが併設されているが、休憩にはカフェの利用をおすすめしたい。チーズフォンデュやピザ等の軽食の他に、バリエーション豊かなチーズケーキを楽しむことができる。ダウンヒルで緊張していた肩や腕を、美味しいお茶とケーキでリラックスさせよう。
3つの味のレアチーズが楽しめる「生チーズケーキバリエ」
休憩を終えてさらに下り、旧北国街道を東に6km進むとそこは小諸市、「小諸なる古城のほとり」という島崎藤村の詞でおなじみの小諸城址「懐古園」に到着。小諸城は城郭が城下町よりも低い場所に位置する、いわゆる「穴城」(あなじろ)と呼ばれる城で、日本ではこれが唯一とのこと。開園時間は午後5時まで。時間があれば、自転車を降りて散策するのも良いだろう。
島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」でおなじみの小諸城址、懐古園
ライドの走りどころ、見どころを堪能したところで、小諸駅をフィニッシュ地点としたが、ここからスタート地点の軽井沢駅までは自転車で20kmほどなので、体力が残っているという人はそのまま軽井沢まで走るのも良いだろう。
フィニッシュ地点の小諸駅で輪行
東京から日帰りで行ける“ラルプ・デュエズ”。海外に走りに行けない昨今、国内で脚を伸ばして「妄想ツール・ド・フランス」を体験してみてはいかがだろう。

■高峰高原ホテル

住所:長野県小諸市 高峰高原704 営業時間:11:00~14:00(土日祝日は14時半L.O) 定休日:なし TEL:0267-25-3000 ウェブサイト:https://www.takamine-kougen.co.jp/

■アトリエ・ド・フロマージュ

住所:長野県東御市新張504-6 営業時間:10:00~17:00(L.O.) 定休日:なし TEL:0268-64-2767 ウェブサイト:https://www.a-fromage.co.jp/archives/shop/honten/
文: 後藤恭子(ごとう・きょうこ)

アウトドアメーカーの広報担当を経て、2015年に産経デジタルに入社。5年間にわたって自転車専門webメディア『Cyclist』編集部の記者として活動。主に自転車旅やスポーツ・アクティビティとして自転車の魅力を発信する取材・企画提案に従事。私生活でもロードバイクを趣味とし、社会における自転車活用の推進拡大をライフワークとしている。

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