リーズナブル&楽しさで注目! 速さや軽さにこだわららない「グラベルロードバイク」お金で見るサイクルスポーツライフ<5>
本連載のテーマは「自転車×お金」にまつわることですが、自転車に関する“お金”といえば、なんといっても自転車本体の価格でしょう。現在の自転車業界は機材の価格が高騰しており、ハイエンドモデルのロードバイクに至っては200万円を超えるモデルも見られるようになりました。そこまで高価格帯でなくても、機材の「性能・機能」は基本的に「価格」と比例します。それがより顕著に現れるのが、シャープに加速し、スピードを維持しやすく、快適で遠くまで行くことができ、坂もスイスイと上れる「ロードバイク」です。

「スピード」と「軽さ」はお金がかかる
リードバイクはいわゆる「レース機材」として進化を遂げており、加速、効率、快適性、登坂性能、そのすべてが製造コストの影響を大きく受けます。低価格に抑えようとすると軽量なパーツは使えませんし、フレームも軽くできないので、どうしても車重は重くなる。効率を左右する駆動系やホイールやタイヤも高性能なものは使えません。タイヤも細く、どうしても振動吸収性も低くなりがちです。そういう意味ではロードバイクは、「価格差による乗り心地の違い」を感じやすい自転車であるとも言えます。
しかし、「オールロード」や「グラベルロード」といわれる多目的なロードバイクであれば、価格差に伴う質の違いがそれほど気にならなくなるのです。
グラベルロードは「何に乗るか」より「何をするか」
まず、グラベルロードは、ロードバイクとは違ってスピード優先ではありません。荒れた路面でも、砂利道でも、どっしり安定。安心したまま走ることができ、フレームやパーツが多少重くなっても気になりにくいのです。
それに、グラベルロードは悪路や荷物の積載を前提としているため、そもそも車重が嵩む傾向にあり、なので多少重量があるエントリーグレードだとしても、重さは目立ちません。また、太いタイヤを履いているため、ロードバイクよりも空気圧を少なくできるので快適性(振動吸収性)も増します。その点では最初のスポーツ用自転車として始めやすく、ビギナーにもおすすめといえます。

実際、仕事柄多くのモデルに乗る者としての印象としては、ロードバイクと違ってグラベルロードはエントリーモデルでも、コンポが入門グレードでも、重いホイールを履いていても、「性能低下」があまり気になりません。それどころか、太いタイヤの快適さ、段差にもびくともしない万能感、オフロードを走る高揚感といった「楽しさ」が上回ります。上りもマウンテンバイク(MTB)のようなワイドなギヤがカバーしてくれるので、重量があってもそれほど気になりません。
スポーツ用自転車は「何をするかが大切」といわれますが、価格と性能と乗車体験の質(軽さとスピード)とが比例するロードバイクにおいては、ある程度「何に乗るか」も大切なポイントとなります。それに対してスピードや軽さといった要素から解放されたグラベルロードは、これまでとはまったく違った乗り方をこちらに提案してくれます。「何に乗るかより何をするか」─。その言葉がそのまま素直に適用される素晴らしい乗り物だといえます。
用途別のコンセプトを知ろう
一点、グラベルバイクを選ぶ際に知っておいてほしいことがあります。それはコンセプトが多種多様である点です。砂利道を駆け抜ける「グラベルレース」のためのバイクから、キャンプ道具を積んでジャングルのような悪路を走り回る「アドベンチャーライド」のための1台まで、“用途”別に応じた特性があるのです。

なので、せっかくお気に入りの1台を選ぶなら知見のあるショップに相談するなどして、コンセプトをしっかりと知ることから始めましょう。街乗りで始めたグラベルロードが、いつしかあなたをアドベンチャーライドに誘ってくれるかもしれません。

自転車ライター。大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆し、信頼性と独自の視点が多くの自転車ファンからの支持を集める。「今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた」という自称、自転車大好き人間。
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