Q,2026年4月から自転車に適用される“青切符” 外国人旅行者もその対象に?弁護士に聞く、自転車のルールの素朴な疑問<42>

2025/12/08    

 自転車の走行に関する道路交通法のルールの多くは、昨今の法改正のずっと以前から違反した場合に罰則を科すという規定になっており、遵守しない場合には、違反者は罰金や拘禁刑に処せられることになっていました。道路交通法のルールには「車両等」や「車両」を対象としているものが多くあり、自動車だけでなく、車両である自転車も罰則の対象となるからです。もっとも、自転車は長らく反則金制度の対象外とされてきたのですが、令和8年4月から施行される改正法では、自動車や二輪車と同様に反則金制度の対象に含まれるようになりました。

ガイド付きツアーで並走をする外国人観光客。2026年4月からは反則金(青切符)の対象となるが…

国籍問わず適用

 では、この罰則や反則金は、日本で自転車に乗る外国人にも適用されるのでしょうか。令和6年の訪日外国人数は約3,687万人(出典:観光庁)、在留資格を有して日本に居住する外国人数は令和6年末の時点で約377万人(出典:出入国管理庁)であり、自転車に乗る外国人も多く見かけます。

 外国人にも一時旅行者もいれば、永住している人もいて、国籍も様々ですが、いずれであっても、日本人と同じように日本の道路交通法に従う必要があります。運転者の国籍を問わず、日本で走る車両のすべてに道路交通法が適用されます。歩行者も同様です。そのため、外国人が“ながらスマホ”をして検挙されれば、刑事罰に問われる可能性がありますし、反則金を支払って刑事罰を免れるということも日本人と同様に起きることになります。

日本特有のルールの周知も課題に

 しかし、日本の道路交通法は、必ずしも世界的に統一されたルールとなっているわけではありません。日本は、道路交通に関する条約(※ウィーン条約)に加盟していないこともあり、外国人には馴染のない交通ルールがあったり、道路標識及び信号に関する条約に加盟していないこともあって、外国人には見慣れない標識があったりすることから、外国人が思わぬ違反をしてしまうという恐れもあります。

(※1968年にウィーンで締結された、国際的な道路交通の安全と円滑化を図るための国際条約。運転免許や道路標識、交通ルールについて統一的な基準を定めるもの)

国際条約(左)と日本の標識の違い(例)

 外国人に刑罰を科したり、反則金制度を適用したりするとしても、交通ルールの周知徹底も同時に進めていく必要があるものと思われます。

文:本田聡(ほんだ・さとし)

2009年弁護士登録。会社関係法務、独占禁止法関係対応、税務対応を中心に取り扱う傍ら、2台のロードバイクを使い分けながら都内往復20kmの自転車通勤を日課とする。久留米大学附設高校卒・東京大学法学部卒・早稲田大学法務研究科卒。

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