レバー操作だけじゃない MTBの上達のカギを握るブレーキングのテクニックプロライダーが伝授! 自宅周辺で実践できるMTBスキルアップTips<4>
ブレーキは減速して止まるための操作で、安全なライディングのための第一歩ですが、マウンテンバイク(MTB)ではバイクコントロールの基本を支える大切な要素でもあります。これから上達して「もっと上手く走りたい」「もっと速く走りたい」「もっときれいに曲がりたい」と思った時に、このブレーキングの操作が重要なカギとなります。それには単にブレーキレバーを握るだけでなく全身の動きも必要となります。今回は後輪の上に体重を移動させる、基本のフォームづくりを目指します。

レバーにかける指は2本まで
はじめに乗車の前にハンドルの握りを確認しましょう。グリップエンドに薬指と小指をしっかりかけて、親指で握り込みます。ブレーキレバーには人差し指1本だけをかけます。

ブレーキを握り込む力が足りないと感じたら、中指を足して、2本の指をブレーキレバーにかけるのもOKです。ただし、ブレーキレバーにかける指は2本まで! 薬指と小指はハンドルをしっかりと握るため、ブレーキレバーにかけてはいけません。
体重移動でブレーキをコントロール
ニュートラルポジションからスタートします。まずはブレーキレバーを操作する前の段階で、どこで止まりたいかをイメージします。

止まりたい場所で止まれるようにブレーキレバーを操作し、それに合わせてポジションを変えていきます。ブレーキレバーを引き始めると同時に、お尻を後輪の方へ移動させていきます。この体重移動によってタイヤが地面に強く接地し、タイヤがロック(急なブレーキングでタイヤの回転が止まる現象)したりバランスを崩すことを避けることができます。

前ブレーキと後ろブレーキの比率は一概に言えるものではありませんが、前後ともに、タイヤがロックするようなブレーキは強すぎます。そうならないように、けれど思った場所までに止まれるように、ブレーキを握る力加減を調整します。これを「ブレーキコントロール」と言います。ブレーキはオンとオフだけではありません。無段階に滑らかに力加減を調整してしっかりと、思ったところで止まれるようにレバーを握る力を調整しましょう。
後輪を地面に押し付ける
しっかりと減速する段階に入っていくと「慣性の法則」によって体が前のめりになってしまいます。そのままさらに強く前ブレーキをかけると前転してしまうかもしれません。そうならないように、減速する動きに合わせて、後輪を地面に押し付けるように腰をしっかりと落としていきます。

しっかりとスピードをコントロールするには、体を動かして、積極的に体重移動することが大切です。最初はフラットな路面から、徐々に斜度のある場所で練習しましょう。
【練習のポイント】
1、目標を決める(止まりたい場所、落としたい速度)
2、前後のブレーキ比率はタイヤがロックしないように常に調整
3、後輪の上にしっかりと荷重
次回はこの動きにカーブを曲がる「コーナリング」の動きを連動させていきます。

MTBプロライダー。3歳のときに初めて自転車レースに参加し、様々な競技を経験した後12歳でMTBダウンヒルに専念。2009年に全日本選手権ジュニア優勝を皮切りに国内レースを牽引する存在になり、エリートカテゴリーで歴代トップとなる5度の全日本選手権制覇や2度のアジアチャンピオン獲得など輝かしい戦績を記録し続けている。2023年には初開催の全日本選手権マウンテンバイク・エンデューロも制する。
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