江ノ島まで200km…クロスバイク初心者が無計画旅で得た大切な教訓しくじりサイクリスト<7>

2025/08/20    

 tom’s cyclingというYouTubeチャンネルで動画をアップしているTOMIです。今ではスポーツバイクに乗り始めて10年以上となりましたが、乗り始めたころはたくさんの失敗を経てきました。ここでは、初めてのロングライドで大失敗した話をさせていただきたいと思います。

初心者の時の失敗が今に活きる!360kmのロングライドに出かける筆者(左)と妻のYOPI(右)

クロスバイクでいきなり200kmのロングライドに挑戦!?

 「自転車旅がしてみたい!」

 クロスバイクに乗り始めた私は、最初は10km前後のサイクリングを楽しんでいましたが、「もっと遠くまで行ってみたい」と考えるようになりました。

 当時、私が住んでいたのは千葉県千葉市稲毛区。そこから片道約100kmの神奈川県・江ノ島をゴールとする自転車旅に挑戦することにします。この頃の私は100kmどころか、50kmすら走ったことのない初心者。何もわからないからこその無謀な挑戦でした。

 朝5時、気合を入れてスタート。一眼レフカメラやタオル、着替え、充電器類、2リットルの水までリュックに詰め込み、旅の準備は万全……のつもりでした。慣れた人にはわかると思いますが、ロングライドの際に重たいリュックを背負うのはあまりオススメできません。初心者の私は、大きなリュックを背負って出発します。肩こりと首の痛みに悩まされることも知らずに──。

 走り出しは快調で、天気も風向きも良好。路上の青看板が「千葉」から「東京」、そして「神奈川」と変わっていく様子にワクワクしたのを覚えています。しかし、神奈川県に入ってすぐ、大幅にペースダウン。まだ半分も走っていないのに、辛くて漕げなくなってしまいました。今思えば、これは補給不足によるエネルギー切れ。当時の私は「補給」という概念がなく、栄養補給がまったく足りていなかったのです。

 「もう限界」と思って入ったファミレスで食事を取ると、急に回復。再び走り出せるようになりました。

肩・手・お尻の痛みと、まさかのトラブル

 なんとか再出発できたものの、すでに肩はバキバキ。重い荷物の影響で、手もお尻も痛くてサドルにまたがるのも辛い状態でした。とはいえ、途中で帰るという選択肢はなく、ただひたすら前へ。

 午後3時頃、なんとか江ノ島に到着。出発から10時間が経過していました。自分の脚でこんな場所まで来られた感動と、「まだ折り返し地点に過ぎない」という絶望が同時に湧き上がります。

スタートから10時間が経過し、ようやく折り返しの江ノ島に到着

 脚は“売り切れ”、肩も手も限界。お尻はサドルに触れるだけで痛い。今なら「輪行する」という選択肢もあったと思いますが、当時の私にはその知識がなく、ただ「帰るしかない」と考えていました。

 江ノ島到着時点で、予定より3時間の遅れ。出発前は「江ノ島でランチして帰ろう」なんて甘いことを考えていましたが、もはや帰りは夜になるのは確実です。

 それでも気合と根性でなんとか横浜へ。しかし、ここでまさかのスコール。予報にもなかった大雨と雷に心が折れ、日帰りを諦めてビジネスホテルで一泊することにしました。

翌朝の回復と、装備のありがたみ

 翌朝、足の疲労はある程度回復していたものの、お尻と手の痛みは我慢できないレベルに。近くの自転車ショップに駆け込み、パッド付きインナーとサイクルグローブを購入しました。これが想像以上に効果的で、装備のありがたみを全身で実感することになります。気合だけではどうにもなりません。

 その後、なんとか自宅まで帰ることができました。想定の倍以上の時間がかかり、「肩・手・お尻」という“スポーツバイク初心者あるあるの痛み”を、すべて体験したロングライドでした。

思いがけない2日目のスタートの朝。“初心者あるある”の全てを経験して強くなったライドでした

補給・計画・準備

 このロングライドから私が学んだことは、大きく3つあります。

1. 補給の重要性

 疲れてからでは遅い。走行中はコンスタントに栄養を摂り続ける必要があります。あのときの「もう踏めない…」という感覚は、いわゆる**ハンガーノック(低血糖状態)**の前兆だったのかもしれません。エネルギーがなければ、人間の体は動かないのです。

2. 計画の大切さ

 自分の脚力を理解せず、いきなり無理な距離に挑戦してしまいました。ロングライドは、徐々に距離を伸ばしながら無理のない範囲で挑むのが鉄則です。

 また、自身の走行ペースを把握することで、所要時間の見積もりが可能になります。それによって「何時にどこに着く」「何時までに帰る」という計画が立てられます。私のように時間の見積もりが甘いと、一泊するはめになることも。

3. 準備と装備

 重たいリュックではなく、サドルバッグやフレームバッグなどを使えば、肩や首への負担は減らせたでしょう。また、最初からパッド付きインナーやサイクルグローブがあれば、手やお尻の痛みももっと軽かったはずです。

 さらに、輪行の知識があれば「無理なら電車で帰る」という選択肢も取れたはず。必要な装備や知識を整えることの大切さを痛感しました。

失敗の経験があったからこそ、今ではもっと自転車を楽しめています!

 以上が私の体験です。今振り返ると、知識不足による恥ずかしい経験ですが、こうした失敗があったからこそ、東京から新潟までの360kmや、千葉県一周・500km超えのロングライドにも挑戦できました。

 失敗から学び、成長できることも、自転車の大きな魅力ですね。

tom's cycling(トムズサイクリング)

夫(TOMI)と妻(YOPI)のユニット。2017年より、ロードバイクをはじめとして、自転車関連の動画を配信。ポタリング・レース・ロングライド・機材紹介などから、本職である理学療法士の知識を生かしたフィジカルセミナーなど、様々な情報を発信している。
HP:https://tomscycling.com/
YouTube:https://www.youtube.com/c/tomscycling/videos
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